ハース氏は、「Keplerアーキテクチャの持つ優れた消費電力あたりのパフォーマンスによって、Ultrabookにも搭載できる外付けGPUを実現する」とGeForce GT 640Mを紹介した。このGPUは、“GK107”と呼ばれるGPUコアを採用し、TSMCの28ナノメートルプロセスルールで最大384基のCUDAコアを統合、グラフィックスメモリインタフェースは128ビット幅でGDDR5をサポートする。なお、NVIDIAは、このGK107コアのトランジスタ数やダイサイズ、各モデルのTDPなどの詳細を明らかにしていない。
ハース氏は、Keplerアーキテクチャを採用するGeForce GT 640Mのパフォーマンスについて、「消費電力あたりの性能はGeForce GT 540Mの2倍」とする一方で、「Sandy Bridge世代のCPUを搭載するノートPCの多くで採用されたGeForce GT 540Mと同じパフォーマンス設定であれば、消費電力は半分となる」と説明する。Acerが“プレミアムUltrabook”と呼ぶ「Acer Timeline Ultra M3」では、GeForce GT 640Mを搭載することで、8時間のバッテリー駆動時間と本体厚さ20ミリ、重さ約2.2キロを実現し、「GeForce GTX 285MやGeForce GTX 460Mと同等のグラフィックス性能をもったノートPCで、デイパックに詰め込んで持ち歩ける携帯性を実現した」とアピールした。
なお、ハース氏は「Kepler世代のノートPC向けGPUでは、GPU Boost機能は非対応になる」ことを明らかにした。デスクトップPC向けのGPUに導入した動的オーバークロック制御機能は、熱設計がシビアなノートPCには不向きだというのがその理由だ。ただし、CPU負荷が低く、TDPに余裕が生じた場合は、そのTDPの余裕分をGPUに当てることで、パフォーマンスを引き上げることもできると説明し、ノートPCベンダーの設計次第では、わずかながらのオーバークロック制御もできるようになるとした。
一方、GeForce 600Mシリーズのエントリーモデルには、Fermi世代のアーキテクチャをそのまま採用しながら28ナノメートルプロセスルールに微細化した“GF117”と呼ぶGPUコアを用意し、「GeForce GT 620M」などのエントリーモデルで展開する。GeForce GT 620Mは、28ナノメートルプロセスルールを導入して、96基のCUDAコアを集積、128ビット幅で接続したGDDR3グラフィックスメモリインタフェースを採用する。NVIDIAでは、1スピンドルのUltrabookにも搭載できる低消費電力を実現すると説明している。
なお、GeForce 600Mシリーズでは、従来と同様に、CPUの統合グラフィックスコアと外付けのGPUを動的に切り替える「Optimus Technology」をサポートするほか、GPU利用時にもIntel Quick Sync Videoによる動画エンコードなどのアクセラレーション機能が有効になる見通しであることも明らかした。
ハース氏は、「ユーザーはUltrabookに、薄くて、長時間使えることだけでなく、優れたパフォーマンスも求めるはずだ」とし、「省電力性能とパフォーマンスを高いレベルでバランスを取ったGeForce 600M搭載ノートPCこそが、ユーザーが求めるパフォーマンスを実現する“真のUltrabook”、そして“完璧なノートPC”となる」と主張する。なお、NVIDIAは、Intelの次期CPU“Ivy Bridge”の発表と同時にGeForce 600M搭載ノートPCが数多く発表される見通しであることを示すとともに、今後は最新ゲームタイトルが楽しめるノートPCが数多く登場すると予告した。
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