NVIDIAは、GPUにあまり負荷をかけずにより高品質な描画を実現する、新しいアンチエイリアシング処理の導入に積極的だ。2009年に“FXAA”(Fast approXimate Anti-Aliasing)と呼ぶ、CUDAコアを利用してアンチエイリアシングを後処理する技術を開発し、従来のMSAA(Multi Sampled Anti-Aliasing)と同等の高品質描画を、より低負荷で実現できるようにした。
この技術は、レンダリング中にアンチエイリアシング処理を施すMSAAと異なり、GPUコアを使ってレンダリング後のデータからエッジを検出して補正するため、GPUへの負荷が低く済むメリットがある。2011年の末には「Battle Field 3」が「アンチエイリアス・ポスト」として同技術をサポートしている。
NVIDIAは、FXAAを同技術に対応していないゲームタイトルでも利用できるように、NVIDIAコントロールパネルで設定することで、GPUのリソースをパフォーマンス優先に振り分ける。同社はさらに高品位なポストプロセス(後処理)型のアンチエイリアシング技術として「TXAA」(Temporal approXimate Anti-Aliasing)も開発している。TXAAでは、8x MSAA相当の画面描画品質を2x MSAA相当の負荷で実現するほか、2つのフレームを合成してより高画質描画を実現するTXAA2では、8x MSAAを上回る品質を4x MSAA相当の負荷で実現する計画だ。
ヘンリー氏は、「TXAA技術により、これまでSLIなどのマルチGPU構成でなければ実用的ではなかった8x MSAAクラスの描画品質によるゲームプレイも、シングルGPUのグラフィックスカード単体構成で実質的に動作できるようになる」と訴求する。すでに主要ゲームデベロッパが、TXAAのサポートを表明しており、早ければ2012年のクリスマス商戦に対応するゲームタイトルが登場する見通しだ。なお、これらの新しいアンチエイリアシング技術は、従来モデルでも利用できるようになる予定だ。
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