個人的にdynabook R631で最も評価しているのは携帯性の高さだ。もちろん軽さも評価しているが、それ以上にバッテリー動作時間の長さが気に入った。それは学生時代にACアダプタを日々持ち歩いた経験からきている。
ACアダプタは意外に重い。Studio XPS(約2.2キロ)のACアダプタは376グラム(実測値)だった。重い上にかさばるのでバッグの中にも入れづらい。ちなみにdynabook R631のACアダプタは240グラム(実測値)。たった240グラムなのだが、これでもバッグに入れると意外に重さを感じる。
PCを1日中持ち歩いてもバッテリーが切れないならば、ACアダプタは持ち歩く必要はない。モバイルPCにとって、バッテリー動作時間や省電力機能は注目するポイントだ。dynabook R631をはじめとする東芝製PCには、省電力モードの電源プラン「eco」モードや、消費電力をグラフ化して省電力設定を確認できる「東芝ecoユーティリティ」が備わっている。
dynabook R631の標準電源プランは「eco」「バランス」「高パフォーマンス」「省電力」の4種類があり、東芝ecoユーティリティを使えば、各設定ごとの消費電力や省電力設定も確認できる。
各設定ごとの消費電力と省電力設定(初期設定、バッテリー動作時) | ||||
---|---|---|---|---|
項目 | eco | バランス | 省電力 | 高パフォーマンス |
アイドル時の消費電力 | 6〜8ワット | 8〜10ワット | 8〜10ワット | 10〜12ワット |
輝度レベル(8が最大、[]内は暗転時) | 3[1] | 4[4] | 5[4] | 8[4] |
キーボードバックライト | オフ | オン | オン | オン |
ディスプレイ暗転までの時間 | 1分 | 2分 | 1分 | 5分 |
ディスプレイ電源オフまでの時間 | 2分 | 5分 | 2分 | 10分 |
SSDの電源が切れるまでの時間 | 3分 | 10分 | 5分 | 20分 |
スリープモードへ移行する時間 | 5分 | 15分 | 10分 | なし |
詳細設定を参照すると、各設定間の差異はこのほかに内蔵グラフィックス、CPU発熱時の対処、動画再生時の画質などがある。省電力設定と通常設定(または高パフォーマンス設定)では、高負荷時にパフォーマンスに差が出る。
各設定ごとの詳細設定(初期設定、バッテリー動作時) | ||||
---|---|---|---|---|
項目 | eco | バランス | 省電力 | 高パフォーマンス |
内蔵グラフィックス | バッテリー重視 | バランス | バッテリー重視 | パフォーマンス重視 |
CPU発熱時の処理 | ファン冷却 | 静音重視 | CPU速度低下 | 静音重視 |
動画再生時の画質 | バッテリー重視 | バランス | バッテリー重視 | 画質重視 |
各設定でWebブラウジングや文書作成などを試してみたが、ecoモードや省電力モードでも十分だった。輝度に関しては蛍光灯がある屋内、大学ならば教室内で作業するならレベル2〜3で十分だし、キーボードバックライトもあまり必要ない。
ただし、ディスプレイが2分で切れ、スリープモードへ5分で移行という設定は好みが分かれそうだ。授業のノートを取るなど、集中してPCに向かっているときなら、この設定でも支障はないだろう。一方で、友達と雑談をしながらPCで作業するなら、これでは少し短すぎる。ちょっと目を離せば、ディスプレイの電源がすぐに切れてしまう。いちいちタッチパッドに触れて、ディスプレイを復帰させるのは少々面倒だ。
最も消費電力を抑えるには、ecoモードの設定で輝度を1まで落とす。これだと消費電力は4〜5ワット(アイドル時)となる。この状態でBBench 1.01(海人氏作)の標準設定のまま、IEEE802.11n接続環境下で実行したところ、満充電から残量2%で休止状態になるまで約7時間15分で、ecoモードの動作時間より15分程度長くなった。
筆者の出身大学はフルコマで授業を受けた場合、90分×5コマで450分(7時間半)となる。もちろんすべての授業でPCを使うことはまれだろう。だが、筆者もゼミに入ってからは午前11時から午後8時まで、9時間ほど断続的にPCを使う日は確かにあった。dynabook R631のバッテリー動作時間は公称値で9時間だが、eco設定をうまく使えば公称値に近づけるような使い方もできる。
ecoモードは、キーボード左上にある「eco」ボタンを押すとecoモードのオン/オフを切り替えられ、東芝ecoユーティリティも起動する。ワンアクションで動くので、輝度を変えるためのボタンだと思うとなかなか使い勝手がよい。
ただ、ecoモードはタスクバー内に設置されたアイコンから設定できることもあり、キーボード上のボタンを使わなくてもよい。不必要に感じるなら「ボタンサポート」ユーティリティで、ecoボタンに別のアプリケーションを割り当てるのもいい。ecoボタンの右にある「インテルワイヤレスディスプレイ」の起動ボタンも同様だ。授業でノートを取るなら、メモ帳やWordなどの文書作成ソフトなどを割り当てておくと便利だろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.