「VTC-350M/US3」は、micro ATXフォームファクタに対応したスリムタワータイプのPCケースだ。95(幅)×280(高さ)×427(奥行き)ミリで、「VTC-300IT/US3」より大きいものの、それでもコンパクトといえる。こちらも本体を縦置きで設置するスタンドを用意する。基本的な構造は「VTC-300IT/US3」と共通で、USB 3.0インタフェースもマザーボードの背面にケーブルを回して取り付ける。フロントパネルのUSB 3.0へのアクセスも、カバーを開けて行う。
フロントのオープンベイは、5インチ対応が1基で、汎用で安価なデスクトップPC向け光学ドライブを利用できる。オープンベイに光学ドライブ用のカバーをつけたデザインであるため、トレイタイプの光学ドライブ専用になる。シャドウベイは1基で2.5インチと3.5インチが共用という構造だ。固定方法は3.5インチHDDのネジ止めはサイドから、2.5インチSSDは背面のネジで固定する。2.5インチ/3.5インチドライブベイはPCケースと一体となっている。
本体が大きいこともあり、付属電源ユニットの出力は350ワット、+12ボルトは19アンペアで出力は228ワットを確保する。電源ユニットに付属するコネクタは、ATX20+4ピンが1基、ATX12Vの4ピンが1基、ペリフェラルが2基だ。ペリフェラルの1基を冷却ファンに使用するが、ファン側に分岐用のコネクタがついているので占有せずに済む。PCケースファンは8センチ角の風量重視タイプで動作音が大きい。
運用にあたっては、CPUの補助電源が4ピンしかない点が気になる。「VTC-300IT/US3」のMini-ITXマザーは4ピン対応が一般的だが、micro ATXではEPS12Vの8ピンを必要とするマザーボードも多い。ピーク時の消費電力の大きなCPUと組み合わせる場合は注意が必要だ。micro ATXフォームファクタに対応したPCケースなので、背面には拡張スロット用のブラケットを4基用意する。ロープロファイルサイズの拡張カードが利用できる。CPUクーラーユニットは高さ6センチ前後のモデルが取り付け可能だ。
以上、今回はPOWEREXのスリムPCケース2モデルを紹介した。全体的な作りとして、鋼材の質などは低価格モデルなりの剛性や加工精度の甘さが見られるが、基本構造は標準的でクセがなく、パーツを組み込みやすい。「VTC-300IT/US3」「VTC-350M/US3」ともに実売が7000円前後であるため、予算の少ない自作PCユーザーでも購入しやすいPCケースといえる。
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