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» 2012年04月19日 12時15分 UPDATE

3世代のiPadを横並び比較(3):“新しいiPad”は本当に熱いのか?――サーモグラフィで徹底検証 (1/3)

新しいiPadの問題点としてよく指摘される発熱。初代iPadやiPad 2と比較して、どれくらい熱いのか? 新旧iPadの温度をサーモグラフィでじっくり計測してみた。

[前橋豪,ITmedia]

「iPadの死角」といわれる発熱をチェック

tm_1204ipad_c3_01.jpg 今回は初代iPad、iPad 2、新しいiPadの温度を赤外線サーモグラフィで比較する

 第3世代の“新しいiPad”は、従来のiPad 2から大幅な進化を遂げた。

 2048×1536ドット(264ppi)の9.7型Retinaディスプレイや、4つのグラフィックスコアを持つデュアルコアプロセッサ「A5X」などの高性能と、最大約10時間というバッテリー駆動時間を両立しながら、iPad 2に近い薄型軽量ボディを実現しており、タブレットデバイスとしての完成度は高い。2012年3月16日の金曜日に発売され、その週末だけで300万台売れたという人気ぶりもうなずける。

 それでは、新しいiPadに死角はないのか? 意見が分かれるところだが、販売開始からいくつかの問題を指摘されているのは事実だ。特に発熱の問題は海外メディアでの報道をはじめ、さまざまなユーザーの声が挙がっている。基本スペックとバッテリーの強化に伴い、iPad 2よりもボディが発熱しやすくなったというのだ。実際、筆者も1カ月ほど新しいiPadを使ってみたが、確かにiPad 2よりボディがほんのり温かく感じられる。

 そこで今回は初代iPad、iPad 2、新しいiPadの3台(いずれもWi-Fiモデル)でどれだけ発熱に違いがあるのか、赤外線サーモグラフィ装置を使用して表面温度の違いを比較してみた(今回のテスト結果は筆者が所有する3台のiPadによるもので、製品の個体差やパーツベンダーの違いなどは考慮していない)。

赤外線サーモグラフィー装置で温度の傾向を調べる

 温度の計測に使用したのは、NECAvio赤外線テクノロジーの赤外線サーモグラフィー装置「InfReC Thermography R300」だ。

 同一条件で表面温度を比較するため、初代iPad、iPad 2、新しいiPadの3台はカバーやフィルムを付けない状態で、木製のデスク上に置いて計測した。実際は手で持って操作することも多いが、握った手の熱が本体に伝わってしまうため、机上に置き、必要に応じて指で最小限のタッチパネル操作をしている。バッテリーは満充電でケーブルを外した状態、バックライト輝度は環境光に応じた自動調整機能をオンに設定、自動ロックのタイマーはオフにした。バックグラウンドで起動中のアプリはすべて終了している。

 3台のiPadは、徐々にシステムへの負荷が高くなる(温度が上がる)よう、30分ごとに条件を変えて表面温度を計測した。具体的には、アイドル状態で30分間放置した直後、SafariでPC USERのWebサイトを30分間巡回した直後(30秒に1回ページ切り替え)、YouTubeのITmediaチャンネルで動画を新着順に30分間再生し続けた直後、Namco Networks Americaの3Dフライトシューティングゲームアプリ「Sky Gamblers: Air Supremacy」を30分間プレイした直後の4回で計測している。テスト時の室温は約24度だ。

 画像で示したサーモグラフィ装置の計測結果は、すべて下限を25度、上限を37度に設定した。低温から高温になるにつれて、黒、青、緑、黄、赤、白と色が変化する。それぞれの計測結果で最も高温になったポイントは、画像内に温度の値とともに示した。

InfReC Thermography R300

tm_1204ipad_c3_02.jpg InfReC Thermography R300

 NECAvio赤外線テクノロジーの「InfReC Thermography R300」は、研究開発や高度な診断・検査向けの赤外線サーモグラフィー装置だ。

 測定温度範囲はマイナス40度〜500度(2000度までオプションで対応)、温度分解能0.03度、空間分解能1.21mradと、クラス最高水準の画質と感度を実現している。ホールドしやすい約105(幅)×193(奥行き)×121(高さ)ミリのボディに、チルト調整や反転表示が可能な3.5型の液晶モニタを搭載。記録メディアにはSDメモリーカードを採用し、動画撮影も可能だ。熱画像、可視画像、合成画像の動画を同時に撮影できる。

メーカー:NECAvio赤外線テクノロジー

価格:186万9000円(税込み)



アイドル時の温度比較

・アイドル状態で30分間放置

tm_1204ipad_c3_03.jpgtm_1204ipad_c3_04.jpgtm_1204ipad_c3_05.jpg 表面(液晶ディスプレイ面)の温度。左が初代iPad、中央がiPad 2、右が新しいiPad

tm_1204ipad_c3_06.jpgtm_1204ipad_c3_07.jpgtm_1204ipad_c3_08.jpg 裏面の温度。左が初代iPad、中央がiPad 2、右が新しいiPad

 まずはアイドル状態で30分間放置した直後の温度を計測したところ、初代iPadは32.4度、iPad 2は31度、新しいiPadは33.3度が最高温度だった。アイドル状態でも新しいiPadは一番温まったが、明らかな体感差があるほどの違いではない。総じて、3台ともクールといえる。iPad 2は3機種の中で最も薄型軽量のボディだが、温度が低いのは見事だ。

 iPad 2と新しいiPadは正面から見て左側が発熱しているが、この奥にはメイン基板とプロセッサが配置されている。初代iPadはメイン基板とプロセッサが上部に配置されているが、最も発熱したのはディスプレイ部を接続する基板がある右側だった。いずれもバッテリー部分の温度は低く、裏面は低温に保たれている。

 次は、それぞれのiPadに負荷をかけた状態での温度変化をチェックしていこう。

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