Windows StoreとWindows 8の潜在的可能性を日本で紹介Microsoft Windows Developer Days(1/2 ページ)

» 2012年04月25日 03時23分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

Windowsトップのお土産はConsumer Previewの次

 すでに一般配布を開始している「Windows 8 Consumer Preview」(W8CP)は、新たにサポートした日本語環境のおかげで、日本でも体験しているユーザーが多い。3月の配布開始から時間もたっているので、W8CPがメインのWDDでは目新しいトピックがないと考えてしまうが、それでも、興味深い話題が紹介された。

 その1つが、Windows開発部門トップのスティーブン・シノフスキー氏が来日して、日本の関係者に講演を行ったことだ。米国におけるWindows 7の発表では「ウルトラセブン」のテーマをかけて場を盛り上げるなど、日本文化に詳しいシノフスキー氏だが、Windows 8の開発で多忙を極めるこの時期に来日して、日本のパートナーや開発者を鼓舞すること自体、非常に大きな意味がある。

 そのシノフスキー氏は、W8CPの次のマイルストーンとなる「Release Preview」の配布を6月第1週に行うとWDDの基調講演で発表した。過去にリリースされたWindows 8 Developer Preview(W8DP)とW8CPは、「β版」という扱いで、最終リリースであるRTM(Release to Manufacture)が登場する工程までに「RC」(Release Candidate)版を残している。このRCにあたる「Release Preview」が6月初旬に提供することが初めて明らかにされたことになる。これまでは、x86/x64版のみが提供されてきたWindows 8だが、このRelease Previewでは初めて「ARM」版を提供する。

米Microsoft Windows & Windows Live部門担当プレジデントのスティーブン・シノフスキー氏(写真=左)。今回のWDDに合わせてシノフスキー氏が日本へのお土産として持ってきた話題が、6月第1週に「Release Preview」と呼ばれるWindows 8の最新バージョンの配布を開始するというアナウンスだ。マイルストーン的に「RC」(Release Candidate)にあたり、その次には、発売前最終版となる「RTM」(Release to Manufacture)を残すのみとなる(写真=右)

アプリ連携でWindows 8の利用方法を広げる

 WDDの基調講演では、W8CPの特徴を紹介し、デモストレーショも行われていたが、すでに多くの参加者が基本機能を理解しているということもあって、講演の多くは、アプリの連携機能や、Windows Storeの紹介に割かれていた。シノフスキー氏は、来場した開発者らに対して「Windows 8はMetroスタイルといった新しい機能を取り込む一方で、既存のWindowsで培われてきた強力なプラットフォームの上に成り立っている。既存のアプリケーションがそのまま動作するだけでなく、それがより高速で、少ないメモリ消費量となる」など、さらに強力なプラットフォームとなっている点を強調する。

 デモストレーションでは、従来からのWindowsプラットフォームに加え、新機能やアプリの連携が新たな可能性をもたらすことを紹介した。SkyDrive連携やSNS、Webメールサービスなど、各種オンラインサービスの利用をOSレベルでサポートするなど、新世代OSの姿が垣間見える設計になっている。例えば、Charmと呼ばれるWindows 8で採用した新しいシステム共通メニューを使うことで、アプリ内の情報を複数ユーザーで共有できる。写真をSNSにアップロードしたり、相手にそのまま送信したりといった形だ。今回のデモストレーションでは「フォト」と呼ばれるアルバムアプリで複数の写真を選択して、メールで相手に送信する方法を紹介した。ただし、写真はメールにそのまま添付するわけではなく、大きいサイズのものはSkyDrive上にアップロードされ、サムネイルのみを相手に送信する。

Windows 8における設計思想の中核が「Windowsの再創造」(Re-designing)だ。タッチ操作がメインのデバイスを操作体系に加え、既存の互換性や操作感を生かしつつ、新たなフレームワークを構築する(写真=左)。Windows 8の特徴を一覧としてまとめた。多くのトピックがあるが、今回のWDDでは、特に「SkyDrive」のようなWebサービスとの連携と、今回初めて導入されたアプリのオンラインストア「Windows Store」にフォーカスした内容になるという(写真=右)

WinRTという新しいフレームワークの提供だけでなく、既存のWindows 7まで培われてきた強固な基盤の上に、プラットフォームを構築しているのがWindows 8の特徴だ。既存のアプリケーションも、より高速で、かつ、少ないメモリ消費で動作する(写真=左)。デモを紹介するのは、日本マイクロソフト Windows担当BGリード 兼 ディレクターの藤本恭史氏だ。タッチスクリーンだけでなく、マウスやキーボードも駆使して、同じ画面で複数の操作が問題なく行えることをアピールする(写真=中央)。W8CPのスタート画面で、「Charm」と呼ばれるメニューを表示したところ(写真=右)

例えば「フォト」と呼ばれる写真アルバムを開いて画像を選択し、Charmメニューから「共有」を選ぶことで、写真をほかのユーザーと共有できるアプリ(あるいはサービス)の一覧が表示される。ここではメールを開いて、選択した写真を送信する。ただし、メールに添付されるのはサムネイルのみで、大きいサイズの写真はSkyDrive上にアップロードする。大容量ファイルをそのまま相手に送信することはない

USBを差すだけでいつもの環境が再現。抜くと跡形なし

 デモストレーションでもう1つ紹介したのが、BUILD Windowsカンファレンスでも紹介していた「Windows To Go」という機能だ。これは、USBキーにWindows 8のブータブルイメージを保存しておき、これを差したPCでWindows 8を起動して、どこでも自分のデスクトップ環境をそのまま再現可能というものだ。「さまざまなデバイスや環境で仕事を行う」というワークスタイルを反映した企業ユーザー向けの機能で、Window 8 Enterpriseエディションで提供する。

 その特徴は2つあり、1つが、LiveCDのように起動して元の環境に影響を与えず、システムをシャットダウンするとすべてのテンポラリの作業データが消えること。もう1つは、USBキーを差している間だけマシンが使用できるというセキュリティ方式を採用しており、作業中にUSBキーを抜くと動作をロックし、さらに、抜いたまま放置すると自動的にシャットダウンする。セキュリティを確保しつつ、その場ですぐ使えるPCで作業する用途に特化している。

「Windows To Go」と呼ばれる企業向けのUSBキーによるブート機能を紹介する。藤本氏が手にする大容量のUSBキー(USB 3.0対応)をWindows 7を導入するノートPCに差して再起動すると、Windows 8が立ち上がって自分が普段利用しているデスクトップ画面が立ち上がる。この環境はセキュリティ的に保護されており、動作中にUSBキーを引き抜くと、再生中の動画がストップする。すぐにUSBキーを戻せば動画の再生が再開するが、60秒間放置するとマシンは自動的にシャットダウンする。作業していたデータはマシンに残らない

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