Ivy BridgeのCPUアーキテクチャは、従来のSandy Bridge世代とほとんど変わらないため、同じ動作クロックであれば、ベンチマークテストの結果に大きな差は生じない。しかし、Ivy Bridgeは、3Dトライゲートトランジスタ技術の採用により、オーバークロック性能も大幅に向上しているとインテルは訴求する。“K”シリーズ(プロセッサーナンバーの末尾にKを付加したモデル。Core i7-3770K、Core i5-3570Kが相当する)において、システムを再起動することなくCPUコアの動作倍率を変更できるほか、よりきめ細かい駆動電圧制御ができるようにしている。ただし、「ダイが小さくなり熱密度が上がっているため、オーバークロック動作では、従来より高性能のCPUクーラーユニットを組み合わせるべきだ」と、マザーボードベンダーの関係者はアドバイスする。
また、メモリインタフェースは、標準でデュアルチャネルDDR3-1600に対応し、オーバークロック動作ではDDR3-2667相当の設定も可能としている。メモリベンダー関係者によれば「Ivy Bridgeでは200MHz刻みでメモリクロックを変更できるため、DDR3-2800相当の動作も実現しやすくなった」と、CPUコアだけでなく、メモリインタフェース周りでもチューニングがしやすいメリットを強調している。
Ivy Bridgeが、PCI Express 3.0に“正式対応”したことも注目したい変更点だ。インテルは、2012年2月にサンフランシスコで開催された半導体関連の国際会議「ISCC 2012」において、Ivy BridgeにPCI Express 3.0を20レーン統合することを明らかにしており、当初は、デスクトップPC向けCPUでも、Intel Z77 Express搭載マザーボードとの組み合わせに限って、PCI Express x16に加えて、PCI Express x4出力をサポートする計画が存在した。しかし、マザーボードベンダー関係者は「2012年に入って、PCI Express 3.0対応に関する変更があり、20レーン出力が非サポートとなった」と明かす。
この変更は、インテルがIvy Bridgeプラットフォームで主要な機能として訴求する1つとしていたThunderbolt対応に影響を与えた。あるマザーボードベンダー関係者は「Thunderbolt対応マザーボードは、CPU側のPCI Express x4出力に接続する予定だったため、大幅な設計変更が必要となる。このため、市場投入は6月までずれ込みそうだ」と説明する。
ThundeboltはPCI Express 2.0 x4接続を必要とするが、これをPCH側の8レーンから分配するデザインとした場合、有線のイーサネットコントローラやSerial ATA 6Gbpsコントローラ、PCI Expressスロットへの分配が足りなくなるため、スイッチチップの搭載なども検討しなければならなくなる。その一方で、CPU側からPCI Express x4出力を分配した場合、グラフィックスインタフェースがPCI Express x8接続となるため「帯域的にはハイエンドGPU搭載グラフィックスカードも十分サポートできるが、マーケティング的には大きなマイナスとなる」(同関係者)と語っている。
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