では実パフォーマンスをチェックしていこう。
今回はCPUにCore i5-3570K(3.4GHz/最大3.8GHz)、メインメモリ16Gバイト(4Gバイト×4)、40GバイトSSD+500GバイトHDDの“ISRT”構成ストレージ、グラフィックスはCPU統合のIntel HD Graphics 4000と、比較的低コストにIvy Bridge世代のメリットを満喫できる構成の評価機を用意した。OSは64ビット版のWindows 7 Professionalだ。ISRTは、OSのインストール類は大容量のHDDに、そして別途搭載した高速なSSDをシステムキャッシュとして活用し、容量と速度を両立する新技術である。
ISRT | 有効 | 無効 |
---|---|---|
電源オンから起動画面まで | 10秒 | 10秒 |
起動画面からデスクトップ表示まで | 24秒 | 47秒 |
合計 | 34秒 | 57秒 |
まずはISRTの効果がどれくらいあるか、PCの起動時間でチェックしてみよう。ISRTの設定ツールで機能を有効/無効に切り替え、それぞれの時間を計測。動作は、データ記録をリアルタイムにHDDへ反映し、データ消失のリスクを低減する「拡張モード」で行った。
結果はISRT有効時で約34秒、無効時で約57秒となった。電源ボタンを押してからWindows起動画面が表示されるまでの10秒はそれぞれ同じだが、そこからデスクトップが表示されるまでがグッと高速だ。
体感値としても、デスクトップが表示された直後の動作が特にISRTを有効すると明らかに軽快と感じ、これまでユーザーが(なんとなく無意識にでも)行っていたであろう「デスクトップが表示されてからも、スタートアップアプリの起動やバックグラウンドタスクが完了するのを待ってから使い始める」といった考慮などもしないで済む。細かいことなのだが、こういったことでストレスを感じていた人、かなり多いはずだ。
続いて、各種ベンチマークソフトでもISRTの有効/無効別に計測する。
PCMark7はISRT有効時のトータルスコアが約1.4倍となった。ほとんどディスクアクセスが発生しないComputationスコアのみ誤差範囲だったのを除き、どの項目でもやはり有効なようで、Productivityスコアなどはほぼ倍の値となった。
PCMark05においても、ストレージに関連するスコアが明確に良好だ。HDDの総合スコアはISRT有効により約2.5倍まで跳ね上がっており、当然だがCPU、Memory、Graphicsといった総合スコアへの影響も見られない。
アプリケーションのシミュレーション要素が増え、PCMark05よりも実使用に近いテストを行うPCMark Vantageではどうか。
こちらではトータルスコアこそISRT有効時で約1.13倍程度の値だが、ストレージアクセス頻度の高い項目ではおおむね倍近く、ストレージのアクセス速度を主に計測する「HDD」スコアに至っては3倍以上もの大差が付いた。念のため、こちらはまったく同じ構成のPCでのテストである。(PCMark VantageのテストはSSDの速度が端的に表れやすいとはいえ)ISRTがいかに有効か、何となくでも理解しやすい結果になったといえる。
続いてエントリークラスの外部グラフィックスカード並みとも言われる、CPU統合グラフィックス「Intel HD Graphics 4000」の効果もチェックする。
3DMark 06のスコアは6597。こちらは、旧モデル「Endeavor MR4000」(評価機はCore i5-661搭載)比で、3倍以上となる値だった。もちろんCPUの違いもあるが、Core i5-3570Kは3.4GHz/最大3.8GHz、対してCore i5-661は3.33GHz/最大3.6GHz。これだけで3倍までスコアに差が付く主な要因にはならない。
ちなみに、Core i5-661はCPU統合グラフィックスの動作クロックを引き上げて高速化した特別版的な位置付けのモデルだったにも関わらず──である。なお、6500前後のスコアとなるとATIやNVIDIAのエントリークラスの外部グラフィックスカード搭載時における値に匹敵する。このことから、本機のカスタマイズメニューにおいてCore i5-3570K以上に備わるIntel HD Graphics 4000はかなりグラフィックスパフォーマンスが高いといえるだろう。
続いてCPU統合グラフィックスの機能として提供され、描画性能と同様に高速化が図られた動画ハードウェアエンコード機能「Quick Sync Video」の効果もチェックする。インテルでは、第2世代のCore i7-2700Kと第3世代のCore i7-3700K比で約2倍のエンコード速度を持つとしている。
3分のHD動画エンコードテスト | 処理時間 |
---|---|
Quick Sync Video有効 | 1分28秒 |
ソフトウェアエンコード | 7分37秒 |
TMPGEnc Video Mastering Works 5を使用 | |
今回はQuick Sync Videoに対応する「TMPGEnc Video Mastering Works 5(v.5.2.4.66)」を用い、ビデオカメラで撮影した約3分間のハイビジョン動画(1440×1080ドット、MPEG-2)を、解像度そのままにMPEG-4 AVC/H.264に変換するまでの時間を計測した。
結果はQuick Sync Videoのエンコード機能を用いると1分28秒、対してソフトウェアエンコードのみは7分37秒。かなりの速度差を見せつけた。もちろん、エンコード後の画質がまったく同じになるわけではないのだが、ホームビデオの編集など一般用途であればおそらく分からない画質差であろう。何より処理時間が短いのは個人利用シーンはもちろん、資料・プレゼンデータなどでハイビジョンクラスの動画を扱うことも増えたビジネス利用シーンで大きな武器になることは間違いない。
Endeavor MR4300Eの魅力は、やはりその省スペース性とパフォーマンスを高水準で両立していることだ。コードネーム:Ivy Bridge世代のCPUは、基本パフォーマンスや省電力性などのポイントとともに、グラフィックス性能やエンコード速度の向上なども大きく向上したのが大きい。外部グラフィックスカードを選択しない場合でもある程度のゲーム利用に対応でき、高速に動画エンコードも行えるようになる。
そして、ISRTの効果も魅力だ。本機はISRT向けに容量控えめな40GバイトSSDと500Gバイトないし1TバイトのHDDを組み合わせるメニューを用意する。2012年5月現在、一般的に40GバイトSSD+1TバイトHDDの価格は、256GバイトSSDより安価だ。もちろんSSD単体のほうが基本的には実パフォーマンスに優れるのだが、ISRTは容量も速度も両立できるのが大きなポイントである。
最後に、改めて本機はとても静かだ。評価機はCore i5-3570KとハイエンドCPUではないとはいえ、高負荷のかかるベンチマークテスト中などもファンの音が目立つことはなく、生活騒音にかき消されるレベルだった。こちらは一定の音があるオフィスシーンにおいてはまったく問題なし、静かなプライベートルームでの利用でもおそらくほぼ気にならない範囲である。
省スペースとパフォーマンスの両立、高い静粛性も実現。良好なメンテナンス性と拡張性、さらに定評のある同社のユーザーサポートも付いている。場所を取らない静かなデスクトップPCを望み、パフォーマンスにはこだわりたい。もちろん安心して長く使いたい。このような個人ユーザー、そしてビジネスシーンに一考してほしい製品だ。
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提供:エプソンダイレクト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2012年6月5日
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