ソニー初のUltrabookはやっぱり気になる――「VAIO T」特大レビュー(前編)明日発売! 11.6型/13.3型を徹底比較(2/6 ページ)

» 2012年06月08日 14時00分 公開

Ultrabookとしては薄さと軽さを突き詰めていないが……

 本体サイズは、11.6型モデルが297(幅)×214.5(奥行き)×17.8(高さ)ミリ、13.3型モデルが323(幅)×226(奥行き)×17.8(高さ)ミリ。フットプリントは11.6型と13.3型のUltrabookで標準的なラインだが、国内大手PCメーカーのUltrabookとしては少々厚みがあり、通常電圧版CPUを搭載したVAIO Zの16.65ミリより1.15ミリも厚いのは気になる(逆にいえば、VAIO Zの性能に対しての薄さが際立っている)。14型未満のUltrabookの条件が厚さ18ミリ以下なので、ギリギリ合格といったところだ。

 重量についても11.6型の店頭モデルで約1.42キロ、11.6型の直販モデルで約1.32〜約1.42キロ、13.3型の店頭モデルで約1.6キロ、13.3型の直販モデルで約1.50〜約1.60キロとされており、薄型軽量を身上としてきたVAIOのモバイルノートとしては重く、他社のUltrabookと比較しても重いほうだ(直販モデルの重量は構成によって異なる)。

 今回入手した機材を実測したところ、11.6型店頭モデルのSVT11119FJSが1.394キロ、11.6型直販モデルのSVT1111AJが1.346キロ、13.3型店頭モデルのSVT13119FJSが1.539キロ、13.3型直販モデルのSVT1311AJが1.503キロと、ほぼ公称値通りだった。

天面のサイズ比較。左が13.3型モデル、右が11.6型モデル。フットプリントは11.6型モデルが一回り小さい

側面のサイズ比較。左が13.3型モデル、右が11.6型モデル。厚さはどちらも17.8ミリだ

VAIO Zと天面のサイズ比較。左が13.3型モデル、右が13.1型ワイド液晶搭載のVAIOだ。VAIO Zは幅が330ミリ、奥行きが210ミリで、VAIO Sのほうが幅が7ミリ短く、奥行きが16ミリ長い

VAIO Zと側面のサイズ比較。左が13.3型モデル、右がVAIO Zだ。通常電圧版CPU搭載のVAIO Zは、厚さがたった16.65ミリ。VAIO Tのほうが1.15ミリ厚い

 この厚さと重さの理由としては、有線LANやアナログRGBといった実装面積が大きい端子を省略せず側面にきちんと載せたこと、コスト等の関係で底面に金属ではなく肉厚の強化樹脂を使ったこと、ストレージにHDDとキャッシュ用SSDによるハイブリッド構成を採用したこと、上位モデルに比べて薄型化と軽量化を徹底していないことなどが挙げられるが、価格に配慮したエントリー寄りのモバイルノートという位置付けから、ここは割り切りが必要な部分となる。

 実際に持ってみると、画面サイズから予想されるよりズシッと重い感覚があるが、同時に剛性も伝わってきて、無理に薄型化や軽量化を追求してボディが貧弱になるよりは、よっぽど安心できる堅実な作りに思える。この厚さ、重さ、頑丈さ、端子の多さといったトータルバランスは、薄型軽量を重視する日本より、むしろ海外市場を意識したものかもしれない。

オプションで用意される薄型キャリングケース(ソニーストア直販価格は4980円)。ポリエステル製でシンプルなデザインだ

持ち運びしやすいハンドル付きのキャリングケースもオプションで用意される(ソニーストア直販価格は3480円)。素材はナイロンとポリエステルを組み合わせている

バッテリーは11.6型/13.3型で共通 ACアダプタは小型軽量

 底面のパームレスト直下に装着されたリチウムイオンバッテリーは、11.6型/13.3型ともに容量が45ワットアワー(11.1ボルト/4050ミリアンペアアワー)だ。バッテリーは共通で、画面サイズが一回り大きな13.3型に大容量バッテリーを採用しているようなことはない(13.3型は余ったスペースでスピーカーを大型化している)。つまり、バッテリー容量を重視して13.3型を選ぶ、という買い方はVAIO Tには当てはまらない。

 バッテリー駆動時間は、11.6型/13.3型の店頭モデルで約6.5時間、11.6型/13.3型の直販モデルで約6.5〜約7.5時間(構成によって異なる)とされている。11.6型モデルとしてはやや長め、13.3型モデルとしては標準的か少々短めの公称値だ。バッテリー駆動時間は、レビュー後編で実際に計測する。

 ちなみにUltrabookではバッテリーをボディに内蔵し、着脱できない構造にしている製品が大半だが、VAIO Tは3本のコインネジで固定されているだけなので、硬貨などでネジを回して簡単に取り外せる。ただし、これはメーカー側の保守を想定した設計で、交換用バッテリーのオプションが現状で用意されていないのは惜しい。せっかく着脱できる構造なのだから、ユーザーが購入して交換できるようにしてほしい。

 ACアダプタも11.6型/13.3型で同じものが付属する。突起部を除く本体サイズは37(幅)×92(奥行き)×26.5(高さ)ミリ、重量は本体のみで150グラム、電源ケーブルを含めた総重量で202グラム(実測値)だ。特に持ち運びに配慮したデザインではないが、ここまで小型軽量ならば、本体と一緒に持ち歩いても苦にならないだろう。

11.6型モデル(写真=左)/13.3型モデル(写真=中央)のバッテリーとACアダプタは共通化されている。コインネジで固定されたバッテリーは容量45ワットアワー(11.1ボルト/4050ミリアンペアアワー)だ

バッテリーの充電量を低く設定(80%もしくは50%)することで、バッテリーの寿命をより長持ちさせる「バッテリーいたわり充電モード」も用意する

スリープ時のデータ喪失リスクを抑えつつ、高速復帰する独自機能も

「Rapid Wake + Eco」は「VAIOの設定」でオン/オフを切り替えられるが、基本的にはオンのままでいいだろう

 電源に関する機能としては、独自の高速起動/低消費電力ソリューション「Rapid Wake + Eco」を備えている点にも注目したい。これはVAIOの2012年夏モデルでほとんどの機種に搭載された新機能だ。VAIO Tの場合は、Intel Rapid Start Technologyによるスリープからの高速復帰、スリープ状態での長時間バッテリー持続に加えて、ソニー独自の工夫としてスリープ時におけるデータ喪失リスクを低減している。

 具体的には、起動中に電源ボタンを押すか液晶ディスプレイを閉じると、スリープに移行するとともに作業状態をストレージに書き込むことで、スリープ時のデータ消失リスクを抑えることが可能だ。また、Intel Rapid Start Technologyによる省電力なスリープのおかげで、スリープ状態で休止状態のようにバッテリーを長時間持続させながら、電源ボタンを再び押すか、液晶ディスプレイを開くと即座に復帰できる。

 実際に今回入手した4台のVAIO TでRapid Wake + Ecoを試したところ、液晶ディスプレイを閉じてスリープに入るときは、ストレージにデータを書き込む必要があるため、特にHDD+キャッシュ用SSD搭載の店頭モデル2台で通常より時間がかかった。ここはデータ喪失リスク低減とのトレードオフとなる。しかし、液晶ディスプレイを開いて復帰するときは、SSD搭載の直販モデル2台もHDD+キャッシュ用SSD搭載の店頭モデル2台も、高速で即座に復帰できて快適だった。詳しい計測結果はレビューの後編でお届けする予定だ。

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