ソニー初のUltrabookはやっぱり気になる――「VAIO T」特大レビュー(前編)明日発売! 11.6型/13.3型を徹底比較(4/6 ページ)

» 2012年06月08日 14時00分 公開

Ultrabookとしては充実のインタフェース

 通信機能やインタフェースの仕様も11.6型と13.3型で同様だ。通信機能はIEEE802.11b/g/nの無線LAN(最大送受信150Mbps)、Bluetooth 4.0+HS、1000BASE-Tの有線LANを標準搭載する。WiMAXやLTEといったオプションは、店頭モデルはもちろん、直販モデルにも用意されていない。モバイルシーンでアクティブに活用したいユーザーにとっては、少々物足りない部分だろう。

 インタフェースについては左右の側面に、HDMI出力、アナログRGB出力、USB 3.0(電源オフ時の充電対応)、USB 2.0、ステレオミニのヘッドフォン出力を搭載。SDXC対応SDメモリーカード/メモリースティックPRO デュオ用スロットも備える。また、液晶ディスプレイの上部にはHD Webカメラ("Exmor for PC" COMSセンサー搭載、有効画素数131万画素)も内蔵する。

 2基のUSBポートが左側面に並んでいるため、本体の右側にUSBマウスや周辺機器を置いて使いたい場合などでは少し不便だが、Ultrabookとしては端子の種類と数が多いことから、通常のノートPCとほぼ同じ感覚で利用できるだろう。薄型軽量といった点で目立たないVAIO Tではあるが、拡張性は高いレベルにある。

11.6型モデルの前面と背面。前面にインタフェース類は用意されない(写真=左)。背面は液晶ディスプレイのヒンジ兼スタンドになっている(写真=右)

11.6型モデルの左右側面。左側面にはUSB 3.0(電源オフ時の充電対応)、USB 2.0、ACアダプタ接続用のDC入力、排気口が並ぶ(写真=左)。右側面には、ヘッドフォン出力、SDXC対応SDメモリーカード/メモリースティックPRO デュオ用スロット、HDMI出力、アナログRGB出力、有線LANを備えている(写真=右)

13.3型モデルの前面と背面。11.6型モデルと違って、前面の左右にスピーカーが配置されている(写真=左)。背面のデザインは11.6型モデルと変わらない(写真=右)

13.3型モデルの左右側面。インタフェースの構成は11.6型モデルと同様だ。左側面にUSB 3.0(電源オフ時の充電対応)、USB 2.0、ACアダプタ接続用のDC入力、排気口を用意(写真=左)。右側面には、ヘッドフォン出力、SDXC対応SDメモリーカード/メモリースティックPRO デュオ用スロット、HDMI出力、アナログRGB出力、有線LANが並ぶ(写真=右)

 特に薄型軽量を追求したUltrabookでは、有線LANの端子(RJ-45)やアナログRGB出力の端子(D-Sub 15ピン)が省かれてしまったり、外付けの変換アダプタで提供している機種が少なくないが、VAIO Tはこれらの端子をしっかり装備しているのがポイントだ。これらの端子の標準装備は、開発時にこだわったという。

 オフィスやホテルの客室など、無線LAN環境は用意されていないが、有線LANは敷かれている、といったケースはまだまだあり、こうした環境で有線LANは役立つ。また、プロジェクターを使ったプレゼン用途では、アナログRGB出力端子が重宝する。

液晶ディスプレイを開くと、ボディの後部が持ち上がるのがポイント

 ちなみに前述の通り、VAIO Tは液晶ディスプレイを開くと、背面のヒンジが底面に回り込んでフットスタンドになる。この際、ボディの後方が少し持ち上がるため、右側面の奥にある本体厚ギリギリに敷き詰められたアナログRGB出力や有線LANの端子にケーブルを接続しても、ケーブルのコネクタが地面と干渉しにくいのは好印象だ。

 ボディの後方が持ち上がって設置面との間に空間ができる機構は、キーボードを入力しやすくするチルトスタンドと、底面の吸気口をふさがないための放熱スペースの確保も兼ねており、なかなか合理的な設計だと感心させられた。

11.6型/13.3型では内蔵スピーカーが異なる

 VAIO Tは11.6型モデルと13.3型モデルでバッテリー容量が同じ、基本スペックも同じ、内蔵するインタフェースも同じとなると、ボディの大きな13.3型モデルは内部の余ったスペースをどう使っているのか気になるところだが、その答えはスピーカーだ。

 13.3型モデルはバッテリーの左右、つまりパームレストの端に大きめのステレオスピーカーを内蔵し、音質で差を付けている。ここはスペック表では分からない部分だ。11.1型モデルはバッテリーの左右にスペースが余っておらず、キーボードの上部にスピーカーを内蔵しているが、13.3型モデルに比べるとかなり小さい。実際に聴き比べてみても、やはり13.3型モデルのほうが高音質で、薄型ボディの割に表現力がある。

 なお、11.6型モデルも13.3型モデルも高音質化技術として、「xLOUD」と「Clear Phase」を備えている。xLOUDは音量増強技術によって、音質の劣化を抑えつつ、内蔵スピーカーの音圧を強めることで、Ultrabookの小型スピーカーでも迫力あるサウンドが味わえるというもの。Clear Phaseでは、デジタル信号処理で音響特性を補正し、より自然でクリアな音声が楽しめる。

 この高音質化技術のおかげで、11.6型モデルでもサウンドが貧弱にならず、カジュアルに音楽を聴いたり、ビデオチャットをする程度ならば、十分対応できるはずだ(音量を最大まで上げると、少々割れ気味になるが)。

13.3型モデルは前面の左右にステレオスピーカーを内蔵(写真=左)。11.6型モデルはキーボードの上部に小型のステレオスピーカーを配置している(写真=右)

「nasne」の追加でワイヤレステレビ機能も提供

 店頭モデルはプリインストールOSにWindows 7 Home Premium(SP1)を採用。オフィススイートのMicrosoft Office Home & Business 2010も標準搭載している。

 また、ソニー独自のアプリケーションとして、写真や動画の管理・編集に用いる「PlayMemories Home for VAIO」(旧Picture Motion Browser)、動画などのコンテンツ再生中に撮影時期が近い写真やほかの動画、同時期に発売された曲などをおすすめしてくれるメディアプレーヤー「Media Gallery」、トラブルシューティングやアップデート、バックアップ、リカバリなどがまとめて行える「VAIO Care」といったタイトルを備える。

「nasne」を増設していけば、多チャンネルの同時録画も対応できる

 なお、VAIOの2012年夏モデルではテレビチューナー内蔵モデルが完全になくなったが、ソニー・コンピュータエンタテインメントが7月19日に発売する500GバイトHDD/3波デジタルチューナー内蔵のネットワーク&メディアストレージ「nasne」(1万6980円)を購入すれば、VAIO Tでテレビ番組が気軽に楽しめるようになる。

 具体的には、VAIO Tから無線LANもしくは有線LANでホームネットワーク内のnasneにアクセスし、nasneで受信した3波デジタル放送や録画済み番組を視聴できる。ホームネットワーク上には最大8台のnasneを登録できるため、その気になれば、最大8番組の同時録画環境を構築することも可能だ。

 現状でVAIO用のnasne操作ソフト「VAIO TV with nasne」は無償ながらβ版での配布となっており、サポートは提供されないが、携帯性が高く、スマートフォンやタブレットより画面が大きなUltrabookを“家の中どこでもテレビ”として活用できるのは魅力的に思える。

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