基調講演の後半は、Windows 8に関する説明を行っている。グッケンハイマー氏によれば、デバイスが多様化する中でも、インターネットに接続できるデバイスの39%以上がWindows 7であり、その総ライセンス数は6億を突破しているという。Intelの主張と同様に、PCは依然メインストリームの中にあるというスタンスだ。ユーザーの期待は、当然次のWindows 8に移ることになるが、基調講演でも、新OSのメリットを訴求する。
Windows 8の訴求については、注目したいポイントをいくつか取り上げてみよう。Windows 8における大きな変更点の1つに、「Webサービスのアカウント統合」と「サービス連携」がある。アカウント統合では、Microsoftアカウントを使ってWindowsにログインするだけで、FacebookやTwitterといった複数のサービスが利用できる、ある意味での「シングルサインオン」(SSO)が実現できる。サービスへのログインが前提となったことで、SkyDriveなどのオンラインサービスが標準で利用できる。SkyDriveで使える興味深い機能の1つが、「外部マシンのローカルフォルダへのアクセス」だ。この機能を使えば、出先で自宅にあるPCのデスクトップ上にあるファイルにアクセスできる。Windows 8では、1アカウントで複数デバイスを管理できるが、そういった特性を生かした利用方法といえる。
Release Previewから、Windows Storeを拡充したことにより、こちらでも、注目したいアプリが出てきている。Wikipediaアプリでは、Metro UIでWikipediaを参照できる。項目間の移動をピンチズーム/アウトでできたり、お勧め記事を読めたり可能だ。360度視点で世界中のスポットを楽しめて旅行ガイドも得られるトラベルアプリや、天体シミュレーション、アニメーションを多用したペイントアプリなど、実用的で、視覚効果も利用できる環境が整いつつある。関係者の多くも、Windows 8の成否は、Windows Storeの盛り上げいかんにかかっているのではないかと考える。
講演の最後には、Windows 8 Release Previewとともに発表した「Windows 8アップグレードプログラム」の確認事項が示された。これは、2012年6月2日から2013年1月31日までに「“PC”を購入したユーザーが対象であり、パッケージ版は対象外」「Windows 8 Proへ14.99ドルでアップグレードが可能」「アップグレードは1ユーザーあたり最大5ライセンスまで(1 PCにつき1ライセンス)」となっている。これが、新OS発売前で問題になる“買い控え”を抑制する施策として期待されている。
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