ニュース
» 2012年06月15日 17時50分 UPDATE

LANケーブル1本で動作:これがシンクライアントの理想形――日本HP「t410 All-in-One Smart Zero Client」発表会

日本HPがLANケーブル1本のみで動作するシンクライアントを発表。PoEで動作するよう、ディスプレイの光透過率を上げ、消費電力を13ワット未満に抑えた。

[池田憲弘,ITmedia]

PoE対応、LANケーブルのみで動作するシンクライアント

photo HP t410 All-in-One Smart Zero Client

 日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)は6月15日、LANケーブル経由の電源供給に対応したディスプレイ一体型シンクライアント「HP t410 All-in-One Smart Zero Client」(以下、t410)発表した。本製品は、米Hewlett-Packardが2012年6月に上海で開催した「GIS 2012」で発表した製品で、今回日本での発売が決定した形になる。

 この製品は、LANケーブルを用いて給電するIEEE802.3af準拠のPoE(Power over Ethernet)に対応しており、別途電源を必要としないシンクライアント端末だ。IEEE802.3afで伝送可能な電力である12.95ワットより、消費電力を少なくしたことでLANケーブルのみでの動作を実現した。

 t410は1366×768ドット表示対応の18.5型ワイド液晶ディスプレイを内蔵しており、CPUはCortex A8(1.0GHz)、システムメモリは1Gバイト、ストレージはeMMC 2Gバイトを内蔵する。CPUは「1世代前のスマートフォン程度の性能」(日本HP)だが、画面転送用の専用DSP(デジタルシグナルプロセッサ)を搭載し、ハードウェアレベルでの描画処理を向上させたことで、動作の遅さは感じないとしている。

 インタフェースは有線LANポートのほか、USBポートを4基、音声入出力を備える。本体サイズは、449.3(幅)×159.1(奥行き)×341(高さ)ミリで、重量は約3.65キロ。発売は2012年7月下旬の予定で、実売価格は3万6750円(税込み)の見込みだ。

photophotophoto 接続しているのはLANケーブル1本のみ(写真=左)。右側面にはUSBポート2基と音声入出力を(写真=中央)、背面には有線LANポートや、USBポート2基を備える(写真=右)

シンクライアントの理想に挑戦

 製品発表会では、同社パーソナルシステムズ事業統括 クライアントソリューション本部長の九嶋俊一氏が登壇し、t410のコンセプトについて説明した。九嶋氏は、ユーザーにとって理想的なシンクライアントとして、電力消費が少ないこと、ケーブルが少ないこと、導入しやすいこと、ボディがコンパクトであることといった要素があると述べた上で、t410はこれらの要素をすべて満たす、シンクライアントの理想に挑戦した製品だとアピールした。

photophoto 同社パーソナルシステムズ事業統括 クライアントソリューション本部長の九嶋俊一氏(写真=左)。t410の特徴(写真=右)

 PCの設定はすべてネットワークから取得するなど、データセンターへ接続して利用することのみに特化し、機能を絞ることで13ワット未満という消費電力を実現したという。九嶋氏は「t410は最新のPCと比べても10分の1、一般的にオフィスで使われている2年前のPCとディスプレイの消費電力と比べれば20分の1くらいになる」と述べた。

 t410は、米3Mが開発したフィルム「DBEF(Dual Brightness Enhancement Film)」を採用することで、消費電力を抑えつつ、通常のPCと同程度の輝度を維持したという。DBEFは液晶パネルの背面(偏光板)で吸収されてしまう光を減らすことで、画面前方に出る光量を増やす機能を備える。「通常のディスプレイでは、バックライトが発する光量の5〜7%しかユーザーには届かないが、DBEFを採用することで光の透過率が32〜52%まで向上する」(3M オプティカルシステム事業部 ビジネスダイレクター エリック N. オーナン氏)という。光の透過率を上げ、バックライトの光量を減らしたことも消費電力の低減に大きく寄与している。

photophoto t410のディスプレイに採用したフィルムについて説明する、3M オプティカルシステム事業部 ビジネスダイレクター エリック N. オーナン氏(写真=左)。DBEFの仕組み。バックライトと偏光板の間にフィルムを挟むことで、偏光板に吸収されるS波(垂直偏向成分の光)を反射、画面前方に出る光量を増やす(写真=右)

 質疑応答では、「シンクライアントはPCに比べて普及していないが、需要はあるのか。今後台数は増えるのか」という質問に対し、九嶋氏は「世界的にみれば、セキュリティや事業継続性に対して意識が高い先進国にはニーズがある。ここ1年でHP内で使用するシンクライアントの台数は約2倍に増えた。受注案件も増えており、1万台規模で実装する企業も出てきている」と答えた。

photophoto ゲストスピーカーとして、東京大学大学院教授の江崎浩氏が登壇した(写真=左)。江崎氏は東京大学の節電に務める「東大グリーンICTプロジェクト」の代表を務めている(写真=右)。江崎氏はt410のメリットについて、ACアダプタを使う必要がなく、電気をDCのまま利用できるので、電力のロスが少ないことや、クラウド上でデータをやりとりするため、災害時の事業継続性に有利ということを挙げた

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.