「ThinkPad T430s」の“6列”キーボードをねっちり使ってみた正直、“Ivy Bridge”より気になる(2/3 ページ)

» 2012年06月22日 12時36分 公開
[長浜和也,ITmedia]

アイソレーションタイプで、あの“打ちごこち”は維持できるのか

 今回登場したThinkPadシリーズの特徴としてレノボ・ジャパンが訴求するのが、ほとんどのモデルと構成で“Ivy Bridge”世代のCPUとそれに対応するプラットフォームを搭載したことと、すべてのモデルで、“6列”レイアウトとアイソレーションタイプのキーボードを導入したことだ。特に、キーボードレイアウトの変更は、従来の“ThinkPad Classic”で長年採用してきた“7列”レイアウトに慣れてきた多くのベテランThinkPadユーザーが注目している。ThinkPadを選ぶ理由の1つに“気持ちよく使えるキーボード”を挙げるユーザーが多かっただけに、なおさらだろう。

ThinkPad T430sをはじめ、2012年6月に登場したThinkPadシリーズで一斉に導入した6列キーボード

 実測によるキーボードの主なサイズは、キーピッチがすべてのキーで横方向、縦方向とも約19ミリを確保する。キートップサイズは標準キーで横が約15ミリ、幅の狭いキーでは約10ミリとなる。縦方向のサイズはすべて同じで約13〜15ミリの中央部が長い形状になっている。アイソレーションタイプを採用しているので、キーボード面からキートップ面が突起した状態になっているが、その高さは、ファンクションキー以外が2〜2.5ミリで、中央部がくぼんだ形状になっている。最上列のファンクションキーは約3ミリとほかのキーより高くなっている。一番届きにくい場所だけに、1ミリの違いでも打ちやすさは変わる。

 レノボ・ジャパンは、製品説明会で新しいキーボードの「押したときの感触」(レノボ・ジャパンは、キータッチ・フィーリングと表現する)が、従来のキーボードとほぼ変わらないことを、キーの降下量と押すのに必要な力の関係を示したグラフとともに説明している。実際に、評価用のThinkPad T430sと、評価作業者が常用しているThinkPad X200を打ち比べると、(主観的な評価となってしまうが)キーを押す感触は大きく違わない。ストロークは浅いと感じるが、ストロークが浅いキーボードでよくある「打ったときの物足りなさ」はない。

 価格を抑えたアイソレーションタイプのキーボードでよくある、キーのぐらつきもない。ただ、通常の力で押している場合でたわみは発生しないが、例えば、文章を入力しているときに、間違いが多発してストレスがたまり、(本当はよくないことなんだけれども)イラッ、とした気持ちで力強くキーボードを叩いてしまうと、キーボード面がたわむのが確認できた。

キートップまでの高さは、通常のキーで2〜2.5ミリ、中央がくぼんだ形状となっている。最上列のファンクションキーは、ほかのキーより1ミリほど高い(写真=左)。2012円6月に登場したThinkPadシリーズではキーボードにLEDバックライトを内蔵するモデルが追加されたが、評価機材は従来と同じ、上からLEDで照射するタイプだった(写真=右)

使わないキーはなくして、使うキーを使いやすい場所に。

 レノボ・ジャパンは、6列のキーレイアウトについても、製品説明会で「合理的に整理されたレイアウト」と訴求している。その説明会では、すでに6列レイアウトを導入しているThinPad X1との比較で文字編集用キー(Home、End、Insert、Delete)とナビゲーション用のキー(上下左右のカーソルキーとPageUp、PageDown)をそれぞれ、右上と右下にまとめたことを挙げている。

 しかし、7列レイアウトに慣れているユーザーからすると、最上列にあった、PrintScreenやScroll Lock、Pause、Insert、Home、PageUpがどうなったのかも気になる。6列レイアウトでは、Scroll LockとPauseキーがなくなり、PrintScreenは、従来コンテキストメニューキー(右クリックと同じ働きをする)があった場所に移った(これに伴い、コンテキストメニューキーはなくなった)。Insert、Home、PageUpは、すでに述べたように、文字編集用とナビゲーション用のそれぞれのグループにまとめて配置している。

 ファンクションキー列の左端にはESCキー、右端にはDeleteキーがある。それぞれ、キートップ幅が、20ミリと、そのほかのキートップサイズが14ミリであるのと比べると横に長い。レノボは、ESCキーとDeleteキーを重要なキーと考えていて、従来のThinkPad Tシリーズでは、縦に2段分のサイズを確保したキーを用意した。横に長いESCキーとDeleteキーを用意したのも、この重要なキーの押しやすさを考慮したためといえる。ただ、横長サイズもさることながら、左右の角位置になるので、もともと打ち間違いが起こりにくい場所ではある。

 使用する機会が少ない(評価作業者個人とすれば、事実、ほとんど使っていない)キーをなくし、利用することが多いPrintScreenだけを右親指で操作できる場所に移したことで利便性は向上した(多くのキーボードでPrintScreenキーを右上に配置しているので、慣れないうちは、指が右上をさまようことも多かったが)。文字編集用とナビゲーション用のキーレイアウトについては、集中して配置したことよりも、Deleteキーを右上角に置いたことと、これまで、初期状態でWebページの進むと戻るだった場所がPageUpとPageDownになったことで使いやすくなったことのメリットは大きいだろう。

ThinkVantageボタンはSimpleTapに

 機能キーは、ミュート、ボリューム調整、マイクミュートのほかに“もう1つ”ある。このボタンは、従来ならThinkVantageを呼び出すのに利用してきたが、ThinkPad T430sでは、「Simple Taps」を起動するボタンとなっている。Simple Tapsは、アイコンをタイルのように並べた全画面表示のラウンチャーで、ポインティングデバイスでのみ操作可能だ。タッチパネルで使うのに適したユーザーインタフェースだが、ThinkPad T430sはディスプレイにタッチパネルを内蔵していないので、そのメリットはいまひとつユーザーに伝わってこない。

ThinkPad T430sは、14.0型ワイド液晶ディスプレイを搭載するが、その解像度は1600×900ドットと1366×768ドットから購入時に選べる(写真=左)。液晶ディスプレイは、従来モデルと同様に、水平“以上”に開く(写真=右)。

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