定番Ultrabookが“フルHDのIPS液晶”で劇的進化――「ZENBOOK Prime UX31A」を徹底チェックする2代目に死角なしか(4/5 ページ)

» 2012年07月10日 00時00分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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第2世代Ultrabookとして文句なしのパフォーマンス

 ZENBOOK Prime UX31Aの性能は先代機からどのくらい進化したのか、ベンチマークテストで確認してみよう。テストはノーマルの新ZENBOOK UX31A(UX31A-R5128)も同時に行なった。また、参考までに旧ZENBOOK UX31E(UX31E-RY256)の結果も併記している。

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア

 まずは、Windowsエクスペリエンスインデックスの結果だが、プロセッサで0.2、グラフィックスで0.3、ゲーム用グラフィックスで0.4と、いずれも先代機からサブスコアを上積みしており、はっきり進化を感じられる。

 プライマリハードディスクのサブスコアは7.5で先代機と変わらず、最高値の7.9には届かなかった。ところが、格下のはずの新ZENBOOK UX31Aはプライマリハードディスクが7.9に達している。これは搭載するSSDの違いによるものだろう。今回テストしたZENBOOK Prime UX31Aや旧ZENBOOK UX31EはSanDiskのU100、新ZENBOOK UX31AはA-DATAのXM11を搭載していた。

 CrystalDiskMark 3.0.1のテスト結果を見ると、ZENBOOK Prime UX31A(U100)はシーケンシャルリードとシーケンシャルライトのスコアはよいのだが、最近のSerial ATA 6Gbps対応SSDにしてはランダムアクセスのスコアがいまひとつだ。新ZENBOOK UX31A(XM11)のほうが断然上で、512Kライト、4Kライト、そして特に4K QD32のリードとライトは差が大きい。

CrystalDiskMark 3.0.1のスコア。左がZENBOOK Prime UX31Aの256GバイトSSD(U100)、右が新ZENBOOK UX31Aの128GバイトSSD(XM11)で実行した結果だ

 ちなみに、このSSDの違いは旧ZENBOOKの13.3型モデル(256GバイトのU100を搭載)と11.6型モデル(128GバイトのXM11を搭載)でも見られたことで、256GバイトSSDのほうが128GバイトSSDよりも総合的な性能が低いため、格下のモデルのほうが多くのテストで性能がよいという逆転現象が起きてしまっていた。

 もっとも、通常の利用シーンにおいてこの差が体感できるかというと、そうでもない。少なくとも、試用期間中に「ZENBOOK Primeのほうがもっさりしている」と感じたことはなかった。参考までにWindows 7の起動時間を計測してみたところ、ZENBOOK Prime UX31Aが24.91秒、新ZENBOOK UX31Aが25.89秒と前者のほうがわずかに高速だった(電源ボタンを押してから、タスクバーに全表示設定でアイコンがそろうまで。3回テストした平均値)。

 PCの処理全般をシミュレートするPCMark 7、PCMark Vantageにおいても、やはりSSDの性能差が影響しており、スコアは全体的に格下の新ZENBOOK UX31Aのほうが優勢だ。それでも、同じSSDを搭載する旧ZENBOOK UX31Eからは、PCMark 7で63%向上、PCMark Vantageでも34%向上と、CPUやメモリの高速化により、旧世代機から大幅に性能がアップしている。

PCMark 7のスコア(グラフ=左)。PCMark Vantage x64のスコア(グラフ=右)

 3D描画系のテストでもやはり先代機からの上積みは大きい。ZENBOOK Prime UX31Aは、旧ZENBOOK UX31Eに対して、3DMark06(総合スコア)で1.7倍、3DMark Vantage(総合スコア)で2倍、MHFベンチマーク【絆】で1.54倍、ストリートファイターIVベンチマークでは1.96倍のスコアをマークしており、第3世代Coreの採用で大きく3D描画性能がパワーアップしたグラフィックスコアのアドバンテージがよく現れている。

 なお、これらのテストはストレージ性能がほとんど反映されないため、ZENBOOK Prime UX31Aと新ZENBOOK UX31Aの差はほとんどない。また、これら3D描画系テストのスコアは以前にテストしたUltrabookである「LaVie Z」や「FMV LIFEBOOK UH75/H」なども大きく上回るが、メインメモリがデュアルチャンネルに対応していることが大きな理由だろう。

3DMark Vantageのスコア(グラフ=左)。3DMark06のスコア(グラフ=右)

ストリートファイターIVベンチマークのスコア(グラフ=左)。MHFベンチマーク【絆】のスコア(グラフ=右)

バッテリー駆動時間、静音性、放熱性も問題なし

 バッテリー駆動時間はBBench 1.01(海人氏・作)を利用して測定した。無線LAN経由でネットに常時接続し、「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」の設定でテストを行なっている。Bluetoothはオフ、キーボードバックライトの明るさも最小にしている。電源プランはASUS独自の設定は使わず、OS標準の「バランス(ディスプレイ輝度40%)」を利用した。

 この条件でテストし、バッテリー満充電の状態から残量5%で休止状態に入るまでの駆動時間は、ZENBOOK Prime UX31Aで6時間22分、新ZENBOOK UX31Aで6時間28分だった。公称の約8.5時間/8.7時間には及ばないものの、常時接続環境でこれだけ持てば心強い。特にZENBOOK Prime UX31Aは液晶が明るいため、最低輝度にすれば(それでも十分実用的な明るさだ)、もっと長くバッテリーで使えるだろう。

ASUS独自の電源管理機能「Power4Gear Hybrid」(画面=左)。4つの電源プランが用意されており、ホットキーなどで切り替えられる。標準では、バッテリー駆動時は自動的に「Battery Saving」へ移行するが、最大プロセッサの状態が60%とパフォーマンスにも影響する設定だったため、今回は利用せず、OS標準の「バランス」に変更してテストした。BBench 1.01によるバッテリー駆動時間のテスト結果(グラフ=右)

 静音性と放熱性にも優れている。低負荷時でもファンは回っているようだが、耳を近づけなければ分からない。高い負荷をかけるとファンの回転音は大きくなり、底面奥側のスリット付近を中心に発熱するが、パームレストまでは熱がほとんど伝わらず、うまく放熱できている。

排気口は液晶ディスプレイのヒンジ部に隠れており、通常は排気の熱をユーザーが意識することはない(写真=左)。暗騒音32デシベル/室温27度の環境において、本体手前5センチに騒音計を設置し、動作音を測定した結果(グラフ=中央)。室温27度の環境において、3DMark Vantageを実行した直後のボディ表面温度を放射温度計で測定した結果(グラフ=右)

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