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» 2012年07月18日 11時00分 UPDATE

本田雅一のクロスオーバーデジタル:「Windows 8は従来型のPCでも使いやすい」と確信するマイクロソフト (1/3)

Windows 8がタッチパネルに最適化されているのはよく分かったが、今使っているノートPCやデスクトップPCでも便利に使えるのか? Windows 8の企画・開発に携わるプログラムマネージャーに疑問をぶつけてみた。

[本田雅一,ITmedia]

Windows 8はタブレットだけのOSではない

tm_1207_w7_01.jpg Windows 8(Release Preview)のデスクトップ画面。Windowsロゴの入ったスタートボタンやスタートメニューを省いたシンプルなデザインになった

 これまでマイクロソフトは、Windows 8について「(従来のPCで使う上でもWindows 7を越える生産性を発揮できるが)タッチパネルにも最適化されたユーザーインタフェースを備える、今の技術トレンド、市場トレンドに沿った新しいWindows」だと主張してきた。Windows部門とWindows Live部門のプレジデントであるスティーブン・シノフスキー(Steven Sinofsky)氏は、何度も講演やインタビューで同様の話をしている。

 しかし、タッチパネルでの操作については多くが語られてきたが、カッコ付きで筆者が書き足している行間は、あまり直接的には訴求してこなかった。おそらくマイクロソフトとしては、それらを承知されているものと考えているのだろうが、説明が十分ではないと筆者は思っている。

 日米のWindows 8に関するレビュアーの反応を見ていると、新しいMetroインタフェースの部分に関しては、おおむねポジティブな反応だが、ノート型やデスクトップ型のコンピュータで、デスクトップアプリケーションを使う場合には「Windows 7のほうが慣れていて使いやすい」という声もある。

 これまで慣れ親しんできていた、Windows 3.1に始まるプログラムグループという考え方に加えて、Windows 95以降のスタートメニューも、今回は振る舞いが大きく変化している。「スタート」という名称のボタンはもはやなくなった。

 Windows RT版に関しては、「そもそもデスクトップを表示する機能が必要なのか?」という話もあるほどだ。実際には従来からあるアプリケーションを再コンパイルだけで動かしたいケースなどもあるが、少なくともコンシューマーが必要とする機能ぐらいは、すべてMetroで済ませてほしい。

 ……などなど、「マイクロソフトはWindows 8をタブレット専用OSとして企画しているのではないのか?」との声もある。

 こうした声は、当然、マイクロソフトも意識しているようだ。マイクロソフト本社でWindows 8の企画・開発に携わるプログラムマネージャーのジェイソン・ガームス(Jason Garms)氏は「Windows 8はタッチパネルを念頭に、新しいMetroユーザーインタフェースを搭載しているが、マウスやキーボードに触れたとたん、マウスとキーボードの操作に適したモードへと動作を切り替える」と話す。

“それとは気付かれない”範囲でマウスとタッチパネルのUIを微妙に変更

 これまでマイクロソフトは、従来のWindowsをタッチパネルで使う機能について集中的に説明を加えてきた。ソフトウェアキーボードの工夫だったり、あるいはロック画面からの復帰方法などがそれに当たる。

tm_1207_w7_02.jpg 任意の画像データ上を特定のパターンでタッチ操作することでパスワードを解除できるピクチャーパスワード機能

 ロック画面の解除は、従来の(キーボード入力が前提となる)パスワードに加えて、PINコードの入力やピクチャーパスワード(写真上の特定場所で3つのジェスチャーを組み合わせる入力方法)などを用意し、キーボードなしのデバイスでの使いやすさを向上させている。

 もちろん、スタートメニュー改め、Metroスタイルのスタートスクリーンも、スタートメニューをタッチパネル向けにアレンジした……と言えなくもない。単なるプログラム起動機能を越えて、画面上でプログラムからの情報アップデートを知らせる機能も兼ねている。

 WebブラウザのInternet Explorerも、デスクトップ版とは別に全画面のMetro版を用意し、ユーザーインタフェースの実装を変えたバージョンに仕上げている(両方が付属する)。Metro版は省力化を行うため、次に読むだろうページを予測。フリックすると次のページ(例えば、複数ページの記事などの場合はページめくりのように動く)へと遷移するといった機能を追加している。

 さらにはWindows IDを用いることで、クラウドベースで複数のWindows機器を同期可能になったのも、タブレット型を含む異なるタイプのWindowsデバイスを同一人物が使い分けることを想定したもので、今のマルチスクリーン、マルチデバイスの時代にフィットした改良と言える。

 iPadなど一般的なタブレットデバイスは個人にひも付いた振る舞いをするが、Windows 8はタブレット型の場合でもマルチユーザーで使うことが想定されているというのも、興味深い違いだ。ジェスチャーなどでログインする際にユーザーを認識し、Windows IDで同期することにより、共有するタブレットでもデスクトップ型やノート型のPCでやっていた作業を引き継げる。

tm_1207_w7_03.jpgtm_1207_w7_04.jpg Windows 8を象徴するMetroスタイルのスタートスクリーンは、次世代のスタートメニューとしての役割を担う(画面=左)。タッチ操作向けにデザインされたMetro版のInternet Explorer 10(画面=右)

 Windowsで当たり前に使っている機能を、きちんとタッチパネル+タブレット型でも使えるようにという工夫が、あちこちに施されているのだが、タブレット向けにドラスティックに変更された点(スタートメニューからスタートスクリーンへの変更)は、キーボードとマウスに対して、どのように対応しているのだろうか。

 ガームス氏は「マウスを動かした時点で、画面の振る舞いが変化している」と話す。

 例えば、タッチパネルでスタートスクリーンをスクロールさせているときには、表示されている画面位置が、細く目立たないインジケータで画面下にそれとなく表示される。これに対してマウスのホイールやキーボードでスクロールさせると、下部にはマウス操作しやすい従来通りの太いスクロールバーが表示される。

 このように、キーボードやマウスでの操作が始まると、ユーザーはその切り替わりの境目を気付かない程度に、キーボード/マウス向きの操作モードへと遷移しているという。

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