“Ivy Bridge”搭載で広がる「Let'snote SX2」の可能性を考えたUltrabookである必要はない(3/3 ページ)

» 2012年07月27日 11時30分 公開
[長浜和也(撮影:矢野渉),ITmedia]
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「1から2」に進化したIvy Bridge搭載による性能向上

 本体のデザイン、堅牢性、サイズ、重さ、搭載する液晶ディスプレイのサイズと解像度、そして、用意するインタフェースなど、Let'snote SX2の仕様はLet'snote SX1とほぼ共通する。しかし、内部構成は“Sandy Bridge”世代から“Ivy Bridge”世代へと進化した。インテルの正式名称としては、第2世代Coreプロセッサー・ファミリーから第3世代Coreプロセッサー・ファミリーという変化になる。第3世代では、プロセスルールが22ナノメートルにシュリンクしただけでなく、演算ユニットの最適化などでCPUコアの処理性能と省電力性能が上がったほか、統合するグラフィックスコアのIntel HD Graphics 4000が従来のIntel HD Graphics 3000と比べて処理性能が2倍近く向上したなど、PCとしての性能が大幅に上がっている。

評価機材で測定したWindows エクスペリエンスインデックス

 実際に、ベンチマークテストのPCMark 07、PCMark Vantage、CINEBENCH R11.5、CINEBENCH R10、CrystalDiskMark 3.0.1、3DMark 11(Entry)、3DMark Vantage(Entry、Professional)、3DMark 06で測定し、その結果をLet'snote SX1と比べてみた(3DMark 11の測定はLet'snote SX2のみ)。

 評価用のLet'snote SX2は、マイレッツ倶楽部モデルプレミアムエディションで、指紋センサーを搭載しないほかは最もハイエンドのパーツを採用する。CPUは、Core i7-3520M vPro(2.9GHz、Turbo Boost Technology有効時で最大3.6GHz、デュアルコア4スレッド対応、TDP 35ワット)、メモリはDDR3Lを8Gバイト載せる。データストレージは容量256GバイトのSSDを搭載。評価機材は、東芝の「THNSNC256GNJ」を載せていた。

 なお、比較用のLet'snote SX1は、2012年1月に掲載したレビュー記事で使用した評価機材の測定値を用いている。この機材もマイレッツ倶楽部モデルのプレミアムエディションで、CPUがCore i7-2640M vPro(2.8GHz、Turbo Boost Technology有効時で最大3.5GHz、デュアルコア4スレッド対応、TDP 35ワット)、システムメモリが、DDR3 1066MHzを8Gバイト、データストレージでは、容量256GバイトのSSDを内蔵し、評価用機材のSSDは東芝のTHNSNC256GNSJだった。

評価機材の構成をデバイスマネージャーで確認する

 ベンチマークテストの結果は、総じてLet'snote SX2が良好な結果を出している。ユーザーの利用場面を想定したPCMark 07やPCMark Vantageでは、総合スコアを示すPCMarksのほか、ストレージ系を除く各テスト項目でより高い値になっている。CPUによる演算能力を評価するCINEBENCH R11.5、CINEBENCH R10でもこの傾向は同じだ。

 また、グラフィックス処理能力を測定する3DMark Vantage、3DMark 06の結果を比較すると、“Ivy Bridge”世代のCPU(に統合するIntel HD Graphics 4000)を搭載するLet'snote SX2は、Let'snote SX1のスコアを大幅に上回る結果を出した。インテルは、“Ivy Bridge”世代のCPUが有するグラフィックス性能について、「最新のPCゲームでもプレイできる」と訴求しており、実際にTDP17ワットクラスの“Ivy Bridge”世代CPUを搭載するUltrabookで、Diablo IIIをプレイするデモを紹介している。TDP35ワットクラスのCPUを搭載するLet'snote SX2のベンチマークテストの結果も、PCゲームにおける性能の高さを示すものといえるだろう。

ベンチマークテスト項目 Let'snote SX2 Let'snote SX1
PCMark7 PCMarks 4099 3390
lightweight 3827 3591
productivity 3433 3086
creativity 6659 6006
entertainment 3210 2354
computation 10862 7930
system_storage 4157 4301
PCMarkVantage PCMarks 13202 10304
memories 7176 5475
TV and Movies 5119 4459
Gaming 8694 7418
Music 15905 13834
Communications 13038 11416
Productivity 16434 14342
HDD 26676 29180
CrystalDiskMark3.0 1000M:Read Seq 209.8 224.2
512K 192.6 204.4
4K 13.79 18.63
4K QD32 15.3 19.2
1000M:Write Seq 165.1 158.9
512K 149.7 147
4K 27.8 37.23
4K QD32 30.23 33.46
CINEBENCH R11.5 OpenGL 12.41 6.65
CPU Multi 3.38 2.13
CPU Single 1.47 1.94
CINEBENCH R10 CPU Single 6160 5052
CPU Multi 12823 8132
3DMarkVantage Entry E12837 E6840
Professional P3100 P1288
3DMark06 3DMarks 4489 2951
CPU 4157 2833
3DMark11 Entry 3DMarks E1163
Graphics 1012
Physics 3650
Combined 887


 Let'snote SX1の登場で、“軽くて、丈夫で、ずんぐり”というそれまでのLet'snoteのイメージが大きく変わった。それは、軽くて丈夫というLet'snoteの特徴を損なうことなく薄さを実現するもので、携帯利用を重視するノートPCとしての完成度を高める変化だった。Let'snote SX2は、従来モデルの完成度に“Ivy Bridge”世代のCPUによって実現した性能向上と省電力性能の向上が加わった。特に、グラフィックス関連の性能向上は、(製品企画担当の本意でないかもしれないが)ゲームや動画コンテンツ利用など、Let'snote SX2のホビーユースにおける可能性を広げてくれる。

 ビジネスにおける携帯利用を重視する、とパナソニックが訴求するLet'snote SX2だが、今回の変化は個人利用でこそメリットを享受できるのではないだろうか。そういう意味で、より幅広いユーザー層にLet'snoteシリーズが受け入れられる可能性を備えているといえるだろう。

 もちろん、Let'snote SX1のレビューでも述べたように、“Ultrabook”や“スタイリッシュなボディ”という単語に惑わされることなく、本当に使えるモバイル重視のノートPCを探しているユーザーに勧めたいモデルという意見は、Let'snote SX2でも変わらない。

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