UltrabookとWindows 8はPCを再発明する──「Intel Software Innovation Forum」基調講演価値を与えるのはソフトウェアなのです(2/2 ページ)

» 2012年07月31日 17時47分 公開
[長浜和也,ITmedia]
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UltrabookとWindows 8はPCを“再発明”する

米Intel デベロッパー・プログラム部門ディレクターのスコット・アペランド氏

 「インテルアーキテクチャは、すべてのデバイスに搭載される。しかし、デバイスに価値を与えるのはソフトウェアだ」と語るアペランド氏は、インテルのソフトウェアとサービスを提供する事業部の取り組みとして、「安全、かつ、最適で魅力的なアプリケーションとサービスを提供」「インテル・テクノロジーの革新的な機能を活用」「人々の生活を豊かにして、いつでも、どこでもあらゆるデバイスを接続できるようにする」という項目を掲げた。そのために、インテルでは自社開発だけでなく、McAfee、WIND RIVER、havokなどのソフトウェアベンダーの買収などを進める一方で、ほかのソフトウェアベンダーとの協業や、標準化規格の策定にも積極的に参加していることを紹介した。

インテルは、買収によって自前である程度のソフトウェアを提供できるようになったが(写真=左)、ソフトウェアベンダーとの協業も依然として重要であり(写真=中央)、かつ、標準規格の策定にも積極的にかかわる必要があると考えている(写真=右)

 アペランド氏は、Ultrabook、タブレットデバイス、Windows 8が、ユーザーのPC利用を“再発明”すると述べ、再発明のために必要となる新しいプラットフォームの実現には、ソフトウェアが中心的な役割を果たし、そのソフトウェア開発においてインテルが連携することで、アプリケーションの最適化と迅速な開発が可能になるだけでなく、アプリケーションの提供でインテルのマーケティングプログラムが利用できるとした。

 アペランド氏は、来場したソフトウェア開発者にUltrabookの特徴を説明したうえで、今後登場するUltrabookでは、タッチ機能が主要な機能としてユーザーから認識され、インテルはそのためにリソースを投入することを明らかにした。インテルの予測では、2012年第4四半期に登場するUltrabookでは、約30モデルがタッチ機能を搭載する予定(コンバーチブルタイプも含む)だが、2013年には、タッチ機能に対応するUltrabookは台数にして最大で10倍になるという。アペランド氏は、インテルが行ったユーザー調査において、クラムシェルタイプのノートPCにタッチパネルを搭載した場合、ユーザーの多くは自然にディスプレイをタッチして操作することを確認できたと説明した。

 さらに、インテルでは、Ultrabookに「電子コンパス」「加速度計」「ジャイロスコープ」「GPS」「照度センサー」を搭載するとともに、Windows 8で用意するセンサープログラミングは、Ultrabookとタブレットデバイスで共通し、Microsoftが用意するセンサー用APIを利用すると、インテルのプラットフォームで統一したセンサーアクセスが可能であるなど、ソフトウェア開発において利便性が高いことも紹介した。

Ultrabook、タブレットデバイス、そして、Windows 8によって新しいPC利用を“再発明”するとインテルは考えている(写真=左)。タッチ機能はUltrabookの主要な機能になる(写真=中央)。さらに、従来クラムシェルタイプのノートPCで積極的に搭載してこなかったセンサー類もUltrabookでは利用する(写真=右)

Androidもインテルアーキテクチャに最適化する

 アペランド氏は、インテルアーキテクチャがPCの枠を超えて拡大する可能性にも触れ、インターネットに接続できるユーザーもデバイスも増加する今後は、PCの枠を超えて、タブレットデバイスやスマートフォン、テレビや自動車、デジタルサイネージといったさまざまなデバイスによる新しいコンピューティングが求められるとし、そのためには、ハードウェアとソフトウェアの高度な連携が必要と述べた。アペランド氏は、その一例として、インテルとGoogleの協業による「Android on IA」を取り上げている。この協業では、AndroidをAtom向けに最適化し、Android SDKとNDKでx86アーキテクチャ向けネイティブアプリケーション開発を可能にするという。

インテルアーキテクチャは、プロセスルールの微細化と省電力化によって搭載できるデバイスが広がる。しかし、それぞれのデバイスでユーザーが利用できるようにするにはソフトウェアとの高度な連携が必須となる(写真=左)。Googleと協力して進めている「Android on IA」もその取り組みの1つだ(写真=右)

 また、吉田氏が紹介したインテルが取り組むソフトウェア開発者支援の取り組みについて、より具体的な内容を説明している。Ultrabook向けアプリケーションコンテストにおいては、2回に分けた応募期間(第1回目は7月31日から9月30日、第2回目は10月1日から11月30日)のそれぞれで、第1回目はUltabook向けのアプリケーション一般を募集するが、第2回目ではUltrabookでタッチ機能を利用することを意識したアプリケーションを募集することを明らかにしている。

 さらに、世界規模でソフトウェア開発者が技術情報を共有するオンラインコミュニティーでは、インテルの技術情報を、ホワイトペーパー、動画コンテンツ、コミュニティーの形で共有する「インテル ソフトウェア・ネットワーク」を紹介した。年間で900万ユーザーが利用するこのサービスでは、特定のテーマについて質疑応答、討論を行えるコミュニティーを設けている。特定テーマには、「Ultrabook」「Android」「ビジュアル・コンピューティング・ソース」「サーバ」「vPro」があり、Ultrabookの開発者コミュニティーでは、技術情報や開発ツール、メディアに掲載した記事などを共有するほか、開発ツール、SDKなどのダウンロード、Intle AppUPセンターを利用したアプリケーション販売などに対応する。

 基調講演の最後で、アペランド氏はさまざまなデバイスで利用できるクロスプラットフォーム開発におけるHTML 5の取り組みも紹介した。インテルでは、車載デバイス、モバイルデバイス、テレビなどの“Medfield”(開発コード名)搭載デバイスでHTML5を利用するためのモバイルOSとして、TizenをSamsungとの協業で用意するほか、Googleと共同でChrome OSをインテルプラットフォーム向けに最適化し、標準規格団体W3Cに参加して規格の定義への参画、そして、クロスプラットフォームツールと開発環境を用意することで、HTML5とクロスプラットフォームをサポートすると説明した。

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