ソニーが放つ“もう1つの”最上位モバイルノート――「VAIO Sシリーズ15」徹底検証大画面のフルHD/IPS液晶で薄くて軽い(3/5 ページ)

» 2012年08月10日 17時15分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

低電圧メモリを採用、光学ドライブはスロットインタイプへ

 基本スペックは、細かい部分もかなり変更され、魅力を増している。先代の上位モデルと比較できるような形で表にまとめてみた。

「VAIO Sシリーズ15」の新旧比較
シリーズ名 VAIO Sシリーズ15 VAIO S(SE)シリーズ VAIO S(SE)シリーズ
モデル名 SVS15119FJB VPCSE29FJ/B(上位モデル) VPCSE19FJ/B
発売時期 2012年6月 2012年2月 2011年10月
CPU Core i7-3612QM(2.1GHz/最大3.1GHz) Core i7-2640M(2.4GHz/最大3.0GHz) Core i5-2430M(2.4GHz/最大3.0GHz)
メモリ容量 標準/最大 4Gバイト(PC3L-10600)/12Gバイト 4Gバイト×1(PC3-10600)/8Gバイト 4Gバイト×1(PC3-10600)/8Gバイト
チップセット Intel HM77 Express Intel HM65 Express Intel HM65 Express
グラフィックス(SPEEDモード) GeForce GT 640M LE(2Gバイト)/Intel HD Graphics 4000 AMD Radeon HD 6470M(512Mバイト) AMD Radeon HD 6470M(512Mバイト)
グラフィックス(STAMINAモード) Intel HD Graphics 4000 Intel HD Graphics 3000 Intel HD Graphics 3000
データストレージ HDD 約750Gバイト(5400rpm) HDD 約750Gバイト(5400rpm) HDD 約750Gバイト(5400rpm)
光学ドライブ スロットインBD-REドライブ(読み5倍/書き4倍/書き換え2倍) BD-REドライブ(読み2倍/書き2倍/書き換え2倍) DVDスーパーマルチドライブ
通信機能(有線) 1000BASE-T 1000BASE-T 1000BASE-T
通信機能(無線) IEEE802.11b/g/n、WiMAX、Bluetooth 4.0 IEEE802.11b/g/n、WiMAX、Bluetooth 2.1+EDR IEEE802.11b/g/n、WiMAX、Bluetooth 2.1+EDR
メモリーカードスロット SDメモリーカード(SDXC、UHS/SDR50対応)、メモリースティックデュオ(PRO-HG対応) SDメモリーカード(SDXC対応)、メモリースティックデュオ(PRO-HG対応) SDメモリーカード(SDXC対応)、メモリースティックデュオ(PRO-HG対応)
USBポート USB 3.0×2、USB 2.0×1 USB 3.0×1、USB 2.0×2 USB 3.0×1、USB 2.0×2
Webカメラ 131万画素(Exmor CMOS) 131万画素(Exmor CMOS) 31万画素
ディスプレイ出力 HDMI(3D対応)、アナログRGB HDMI(3D対応)、アナログRGB HDMI(3D対応)、アナログRGB
その他インタフェース ヘッドフォン、マイク ヘッドフォン ヘッドフォン
液晶 15.5型IPS(VAIOディスプレイプラス) 15.5型IPS(VAIOディスプレイプラス) 15.5型IPS(VAIOディスプレイプラス)
液晶表示解像度 1920×1080ドット 1920×1080ドット 1920×1080ドット
サイズ(幅×奥行き×高さ) 380×255.4×23.9ミリ 380×255.9×24.5ミリ 380×255.9×24.5ミリ
重量 約2.0キロ 約2.04キロ 約1.99キロ
バッテリ駆動時間(充電時間) 約6時間(約3時間) 約6.5時間(約3時間) 約6.5時間(約3時間)
OS 64ビット版Windows 7 Home Premium(SP1) 64ビット版Windows 7 Home Premium(SP1) 64ビット版Windows 7 Home Premium(SP1)

 まずメモリについては、速度が据え置きだが、第3世代Coreからサポートされた低電圧駆動(1.35ボルト)のDDR3Lを採用している。既存のDDR3は1.5ボルト駆動だったので、より省電力なメモリになった。

 標準で4Gバイトのメモリ(PC3L-10600対応)がオンボードで実装されており、底面カバー内に1基のDDR3L SO-DIMMスロットが用意されている。ここに8Gバイトのメモリを装着することで、最大12Gバイトまで増設可能だ。メモリの最大容量は、従来の8Gバイトから12Gバイトへと増えている。

 データストレージは2.5インチのSerial ATA HDD(5400rpm)を内蔵。容量は約750Gバイトとなっており、大容量とコストを考慮した判断だろうが、少々保守的に感じる。ハイエンドモバイルやUltrabookではSSDの採用が進んでいるため、そろそろ標準仕様モデルにもSSD搭載機があってもいいのではないだろうか。

 もっとも、ソニーストア直販のVAIOオーナーメートモデルでは、最大約512GバイトのSSD RAIDも選択できる。容量や低価格より、速度や省電力、耐衝撃性などを重視するならば、こちらを検討したい。なお、底面のカバーを外すと、メモリスロットとともに2.5型ドライブベイにも簡単にアクセスできる。

 また、ボディ左側面奥に搭載する光学ドライブが、従来のトレイ式からスロットインタイプになったのもポイントだ。使い勝手の向上とボディの剛性強化が主な目的の変更だが、ドライブ自体のスペックも向上し、BD-ROMの読み出しで約5倍速、BD-Rの書き込みで約4倍速と、従来より高速なものになっている。メディアのイジェクトボタンはキーボード左奥に用意されている。

HDDは衝撃からの保護機能を備えており、「VAIOの設定」からオン/オフや通知領域のバルーン表示を設定できる(画面=左)。左側面にスロットインタイプのBlu-ray Discドライブを内蔵する(写真=右)

 そのほか、チップセットの更新にともなってUSB 3.0ポートが2基に増えたほか、BluetoothがBluetooth 4.0に対応。SDメモリーカードスロットも転送速度50Mバイト/秒のUHS(SDR50)に対応し、従来省かれていたマイク入力端子も用意された。

 Bluetooth以外の通信機能は1000BASE-T準拠の有線LAN、IEEE802.11b/g/n準拠の無線LAN(最大受信300Mbps/最大送信150Mbps)、IEEE802.16e-2005準拠のWiMAX(最大受信28Mbps/最大送信8Mbps)を標準で装備する。無線LANとWiMAXは排他利用だ。

 液晶フレーム上部のWebカメラは従来同様、131万画素のHD Webカメラだ。裏面照射型の"Exmor for PC" CMOSセンサーを搭載しているため、暗い場所でもノイズの少ない撮影が行える。

前面にはワイヤレス通信、電源、HDDのインジケータがあるのみで、端子類は用意されていない(写真=左)。背面には液晶ディスプレイのヒンジ部を配置しており、ヒンジの奥の目立たない場所にファンの排気口がある(写真=右)

左側面にヘッドフォン、マイク、盗難防止ロック用コネクタ、スロットインタイプの光学ドライブを備える(写真=左)。右側面に主要な端子類が集まっており、PRO-HG対応メモリースティック デュオスロット、SDXC/UHS(SDR50)対応SDメモリーカードスロット、有線LAN、アナログRGB出力、HDMI出力、2基のUSB 3.0、1基のUSB 2.0、ACアダプタ接続用のDC入力を搭載する(写真=右)

ソフトウェア面も充実

 プリインストールOSは、64ビット版Windows 7 Home Premium(SP1)を採用。アプリケーションはオフィススイートのMicrosoft Office 2010 Home and Business、フォトレタッチのAdobe Photoshop Elements 10、ビデオ編集のVegas Movie Studio HD Platinum 11など、実用度の高いものを用意する。

 また、写真や動画の管理、それらを利用した作品作りが手軽に行える「PlayMemories Home for VAIO」や、リコメンド機能付きコンテンツ再生ソフト「Media Gallery」など、独自のアプリケーションやユーティリティも備える。

 ソニーストア直販のVAIOオーナーメードモデルでは、プロ向けのビデオ制作スイート「Adobe Creative Suite 5.5 Production Premium」の追加や、Windows 7のエディション、付属アプリケーションのカスタマイズも可能だ。

テンキー付きのアイソレーションキーボードを搭載

テンキー付きのアイソレーションキーボードを搭載する

 キーボードは、キーボードベゼルからキートップのみを露出させたデザインのアイソレーションキーボードを採用。ボディのフットプリントの大きさを生かし、テンキーを搭載している。キーピッチが約19ミリ、キーストロークが約1.7ミリという仕様は従来と同じで、タッチ感も良好だ。

 配列は標準的な6段配列で特にクセがなく、打ちやすいようにカーソルキーを一段下げる配慮も見られる。通常キーとのテンキーとの間は5.5ミリとあまり離れていないが、Enterキーも大きめに確保されているので、ミスタイプしやすいというほどではない。

 通常キー部分は意識して強く押すと中央部が少し沈むものの、通常のタイピングでは気にならないだろう。パームレストも広く(奥行き約105ミリ、カーソルキーの下からボディの端までは約116ミリ)安定感があり、入力環境は快適といえる。

 キーボードバックライトも内蔵しており、標準では暗い場所で起動すると自動的に点灯し、一定時間キーボード操作をしないと自動的に消灯する。点灯の設定は「VAIOの設定」からカスタマイズでき、バッテリー駆動時には暗い場所でも点灯させないようにするといったことも可能だ。最近、キーボードバックライトを搭載する製品は多いが、こういう気の利いたユーティリティを用意しているのは、VAIOシリーズの優位点といえる。

 キーボードの奥には3つのワンタッチボタン(ASSIST/WEB/VAIO)があり、それぞれVAIO Care(システム診断)、Webブラウザ、PlayMemories Home for VIAO/Media Gallery(映像管理・編集/コンテンツ再生)の起動に割り当てられている。VAIOボタンに割り当てるアプリケーションや動作を選択することも可能だ。

キーボードバックライトは、標準では暗い場所で起動すると自動的に点灯し、一定時間キーボード操作をしないと自動的に消灯する(写真=左)。キーボードバックライトの点灯ルールは「VAIOの設定」で変更できる(画面=中央)。VAIOボタンに割り当てる動作も「VAIOの設定」からカスタマイズが可能だ(画面=右)

ボタンのない「マルチジェスチャータッチパッド」を採用

 ポインティングデバイスは、従来の2ボタン式タッチパッドから、ボタンをタッチパッドに統合したいわゆるクリックパッド型に変更された。パッド全体が沈んでクリックボタンの役割を果たすもので、右下部分を押し込むと右クリックとなる仕様だ。

 ソニーはこのクリックパッドを「マルチジェスチャータッチパッド」と名付けており、2012年夏モデルのVAIOノートで積極的に採用している。

 名前の通り、マルチタッチジェスチャーに対応したシナプティクス製のドライバが導入されており、2本指を並べて上下/左右になぞることでの上下/左右スクロール、2本指を開閉することでの拡大/縮小、3本指を並べて左右にフリックすることでのページ戻し/送りといった機能が利用できる。

 パッドのサイズは実測で119(横)×67(縦)ミリと広く、2本指や3本指を並べての操作も狭い印象はない。パッド上での指の滑りも良好だ。ただし、パッド全体を押し込んでクリックするボタンは、押し心地がいまひとつで、パームレストに少し振動が伝わるのが気になった。

2つのボタンとタッチパッドを統合した「マルチジェスチャータッチパッド」は大型で複数の指を置いても狭く感じない(写真=左)。シナプティクス製のドライバが導入されており、2本指や3本指を使ったジェスチャー操作が可能だ(画面=中央/右)

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2024年04月25日 更新
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