直販モデルの基本スペックは、CPUがTDP(熱設計電力)17ワットのCore i7-3517U(1.9GHz/最大3.0GHz)、チップセットがIntel HM76 Express、メモリが4Gバイト(4Gバイト×1、PC3-12800)、ストレージは256GバイトSSD、グラフィックスはCPUに統合されたIntel HD Graphics 4000となる。直販モデルと量販店モデルの違いは、CPUの種類とストレージ容量だ。量販店モデルのCPUはCore i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz)で、ストレージは128GバイトSSDとなる。
Windowsエクスペリエンスインデックスのスコアは、メモリが4Gバイトのシングルチャンネルということもあり、メモリのスコアが5.9と一番低くなったが、それ以外の項目は6.4〜7.9とおおむね優秀で、Windows 7が快適に動かせるパフォーマンスを備えている。
ENVY SPECTRE XT 13-2000が搭載するSSDの性能については、CrystalDiskMark 3.0.1で確認した。Folio 13-1000に搭載しているSSDと結果を比べたところ、おおむねリード速度は約2倍、ライト速度が約1.5倍という結果になったが、4K QD32のライト速度については5倍以上の数値となった。OS操作の使用感はよく、アプリケーションの起動も早くて快適だ。
ベンチマークテストは、総合ベンチマークテストのPCMark 7、PCMark Vantage(x64)、3D系ベンチマークテストの3DMark06、ストリートファイターIV ベンチマークなどを行った。参考として、同社の第1世代UltrabookであるHP Folio 13-1000、第2世代Ultrabook「HP ENVY6-1000」のスコアを併記する。
HP Folio 13-1000の基本スペックは、CPUがCore i5-2467M(1.6GHz/最大2.3GHz)、チップセットがIntel HM65 Express、メモリが4Gバイト(PC3-10600、4Gバイト×1)、ストレージが128GバイトSSD、グラフィックスがCPU統合のIntel HD Graphics 3000だ。
HP ENVY6-1000のスペックは、CPUがのCore i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz)、チップセットがIntel HM76 Express、メモリが8Gバイト(4Gバイト×2、PC3-12800)、ストレージが500GバイトHDD+32GバイトSSD(Intel Smart Response Technology対応)、グラフィックスがCPUに統合されたIntel HD Graphics 4000となる。OSはどちらも64ビット版のWindows 7 Home Premium(SP1)だ。
測定結果を比較すると、全体的に「ENVY SPECTRE XT 13-2000」が高い。CPUが高クロックのCore i7で、SSDの性能も高いためだろう。Intel HD Graphics 4000により3D系、ゲームタイトルベンチマークのスコアも悪くはない。描画品質設定を工夫すれば、多くのゲームタイトルもプレイできそうだ。
ENVY SPECTRE XT 13-2000は、ベンチマークテスト中などシステムに高い負荷がかかると、底面奥側にある排気口から温かい排気が吹き出す。PCMark 7を実行している最中は、ファンが高速回転し、騒音レベルは50デシベル(環境騒音30デシベル、本体手前5センチの位置で計測)に達した。もちろん、これだけの騒音が出るのは負荷が高い3Dゲームを行う場合の話で、Webブラウズにおいては、騒音レベルは高くても35デシベル程度で、気にならない。
高負荷時には、キーボード中央奥側の温度が上がることにも注意したい。室温約27.5度の環境下で、PCMark 7を実行中に表面温度を測ったところ、左右のパームレストはそれぞれ36.4度、34.8度だったが、Yキーの表面温度は46.8度まで上昇した。
搭載するバッテリーは4セル式で、容量は45ワットアワー/14.8ボルト。ユーザーによる着脱は行えない。バッテリー動作時間の公称値は約7時間30分だ。実動作時間の測定は、BBench 1.01(海人氏・作)を使用した。「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」の設定で、PCは無線LANに常時接続、電源プランは「バランス」(液晶の輝度は11段階中の6レベル)でテストを行ったところ、バッテリー残量5%で休止状態へ移行するまで、5時間31分だった。
公称値よりも2時間ほど短く、5時間台となるとモバイル用途のUltrabookとしては少し物足りないかもしれない。移動時間や空き時間に作業をする程度ならば、バッテリーは持つだろうが、外出時に仕事などで長時間作業する場合は、ACアダプタを持ち歩く必要がありそうだ。
付属のACアダプタは、実測のサイズが約45(幅)×106(奥行き)×30(高さ)ミリだった。電源ケーブルが3ピンで太いので少しかさばるが、コンセントに直接差せるウォールマウントプラグも付属する。ACアダプタと電源ケーブルを合わせた重量は397グラムだが、ウォールマウントプラグを使えば274グラムまで軽くなる。
ENVY SPECTRE XT 13-2000の価格は、直販モデルが11万4450円(税込み)から、量販店モデルはオープンプライスで、実売価格は10万円前後の見込みだ。本機はオフィススイートを搭載せず、SSDを搭載するUltrabookとしては標準的なスペックだが、Photoshop ElementsとPremire Elementsが付属することを考慮すると価格の印象は変わる。
両ソフトのセットパッケージをAmazonで買おうとすると、1万8816円(2012年9月5日現在)だ。今回レビューした直販モデルの場合、この価格を差し引くと約9万6000円となる。「Core i7+256GバイトSSDでフルメタルボディのUltrabookが9万円台」となるわけだ。これであれば、コストパフォーマンスは高いといえる。加えてデザインや質感といった付加価値もあるのは大きな魅力だ。
量販店モデルと直販モデルのどちらを買うかのポイントは、「SSDの容量」だ。Photoshop ElementsとPremire Elementsをフル活用し、動画や画像の編集に使いたいのであれば直販モデルを(そう考えると、メモリ容量は8Gバイトが望ましいが)、文書作成などサイズが小さいデータしか扱わないならば、量販店モデルでもこと足りるだろう。
性能も価格もちょうどよく、実用性が高い仕様だからこそネックになるのが英語キーボードだ。普段日本語キーボードを使っている場合、慣れないキー配置に戸惑う可能性があるので、購入前に店頭で実際にタイピングを試した方がいいだろう。逆に英語キーボードを望むユーザーにとっては、数少ない英語キーボードのUltrabookとして購入する価値は十分にある。
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