BRAVIAを吸収してテレパソの完全体となったか?――「VAIO L」を今こそ見直すZとは違う最強がココに(3/5 ページ)

» 2012年09月24日 20時30分 公開
[都築航一(撮影:矢野渉),ITmedia]

ワンランク上のテレビ機能を提供する「Giga Pocket Digital」

 Windowsの起動と関係なく利用できるスグつくTVが搭載されてはいるが、VAIO独自アプリ「Giga Pocket Digital」によるWindows上での高度なテレビ視聴・録画は、やはり本製品の機能面でのハイライトといえる。

Giga Pocket Digitalでは、録画済み番組データと、外部の情報提供サービスを利用したメタデータとの組み合わせにより、番組中で紹介された商品の情報やテレビCMの情報などを抽出、提供元の情報へのアクセスや、こうした情報そのものをフックとした番組の検索など、多彩な楽しみ方を実現している

 Giga Pocket Digitalは、外部の情報提供サービスとの連携により、番組放送後に作成される詳細なテキスト情報(メタデータ)を取り込み、録画済み番組をフル活用できるのが最大の特徴だ。テレビ機能搭載のVAIOではおなじみのアプリなので繰り返しにはなるが、ざっと紹介しておこう。

 例えば、録画した番組のテレビCMが流れているとき、「続きはWebで」に興味を持ったら、再生中のCMの下には商品名とWebサイトへのリンクが張られているので、すぐ目的のWebサイトへ飛ぶことができる。

 また、CMだけでなく、番組本編の中で紹介されているお店や商品の情報についても同様にリンクが設置され、いわばGiga Pocket Digitalが興味を持ったユーザーに対して「下調べ」を済ませておいてくれる。あるいは逆に「この商品のCMが流れた番組は何だったっけ?」と、商品情報やCMから番組を検索することも可能だ。

 録画番組とWebサイトの情報がメタデータを介して自動的に結び付けられる世界は、多機能・高性能なPCならではのもので、一度体験すると手放せなくなる利便性を持つ。ただし、操作のうえでユーザーが意識する部分はほぼゼロながら、録画済み番組の解析をバックグラウンドで行なう必要から、予約録画した番組の数が著しく多いときなど、PC全体の操作感がややもっさりしているように感じる場合もある。

 とはいえ、テレビ機能を中心に本製品を利用するのなら大きな問題にはならず、むしろ他社製品にはないこのVAIOオリジナルアプリの機能を、ぜひとことんまで使い込んでほしいというのが筆者の感想だ。

 2系統の3波デジタルチューナー搭載による裏番組の同時録画をはじめ、ジャンルやキーワードなどの組み合わせを登録しておくと、合致する番組を検索して自動的に予約録画する「おまかせ・まる録」、音声解析の結果から重要な場面を自動で抜粋するダイジェスト再生、音声付きでの1.5倍速再生、Blu-ray Discや各種携帯機器への書き出しなど、そのほかのテレビ機能も全方位的にカバーし、いずれも完成度は非常に高い。

 VAIOの2012年夏モデルにおいては、ノートPCにテレビチューナー内蔵モデルがなくなり、同社の3波デジタルチューナー内蔵NASである「nasne」との組み合わせを前提としたアプリ「VAIO TV with nasne」を用いることで、テレビ機能をオプションとして提供する仕様に変わった。

 そのため、ワイヤレスでnasneのテレビ機能を利用可能になった一方で、メタデータとの連携がもたらす多彩な視聴機能は使えなくなった点に注意したい。VAIO Lは、Giga Pocket Digitalによるテレビ番組データの活用を今でも楽しめる貴重な存在でもある。

ジャンルやキーワードを登録すると、該当する番組を自動で検出し、延長や時間変更なども反映しつつ自動録画する「おまかせ・まる録」を引き続き搭載する(画面=左)。録画番組の再生中は、映像のサムネイルを表示させて見たいシーンを素早く見つけられる(画面=右)

録画番組の再生中には、音量の解析結果を表示したグラフをもとに、重要な場面かどうかを判定したり(画面=左)、このグラフを利用して盛り上がっていると予想される場面を自動で抽出するダイジェスト再生などが利用できる(画面=右)

地デジを手軽に楽しめる「スグつくTV」も大幅に進化

 Giga Pocket Digitalに比べるとサブ的な位置付けではあるが、スグつくTVも進化している。こちらは1系統の地上デジタルチューナーのみとはいえ、前述の高画質化に加えて2012年夏モデルでは録画機能も搭載。録画先としてUSB 2.0接続の外付けHDDを最大8台まで登録でき、電子番組表やキーワード検索結果からの予約録画なども行なえ、単体の録画機能付きテレビとして十分な仕様となった。

 ただし、Giga Pocket Digitalとは完全に独立した機構ゆえに、利用上の注意事項もいくつかある。まず、録画用のHDDはスグつくTVの設定画面での初期化と登録が必須で、録画したデータは録画したPCのスグつくTVでしか再生できない。別メディアへの書き出しはサポートされず、録画時の画質も選べない(DRモードのみ)。

 さらに、このHDDはMONITOR端子と呼ばれるスグつくTV専用のUSBポートに接続する仕様で、MONITOR端子はWindowsから見えないだけでなく、一度スグつくTVで利用したHDDは、通常のUSBポートに接続してもWindowsからは利用できない(専用形式でフォーマットされるため)。

 ないないづくしではあるが、3つめの地上デジタルチューナーと考えれば、録画機能はあるに越したことはないし、Windowsが立ち上がるまでの何十秒かでも見逃したくない場合には心強い存在だろう。Giga Pocket Digital側の3波ダブルチューナーと合わせて、最大3番組の同時録画まで対応できるのもありがたい。

スグつくTVは、番組を視聴しながら裏番組(放送中および1時間以内の番組)をチェックできる「現在番組表」を画面下部に表示できる(画面=左)。スグつくTVの番組表は1画面に最大9チャンネルを表示できる(画面=右)

スグつくTVは、テレビの映像とPCの画面を同時に表示できる。表示方法は左右に分割(画面=左)か、親子画面(画面=右)が選べる

 さらに、DTCP-IPに対応したDLNAクライアント機能もWindowsとは独立して搭載しており、家庭内ネットワーク上の各種メディアファイルやレコーダー上の録画済みテレビ番組を再生することまでできてしまう。メディアクライアントとしての機能は、Giga Pocket Digitalなしでも品質・機能ともにかなりの充実ぶりだ。

 なお、この項で紹介したテレビ機能やスグつくTVの機能は、本製品だけでなく下位モデルでも同様に楽しめる。

スグつくTVでは、家庭内ネットワーク上の動画ファイルを再生できる機能も持つ(画面=左)。Windows上でも、DTCP-IPに対応したDLNAクライアントソフトが「VAIOホームネットワークビデオプレーヤー」の名称で搭載されている(画面=右)。写真は家庭内LANにある別のレコーダー内の録画番組一覧を閲覧しているところ

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