ついにというかようやくというか──デスクトップPC向けTrinityのグラフィックス性能をチェックするイマドキのイタモノ(2/2 ページ)

» 2012年09月27日 20時00分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]
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A10-5800KのGPUはA8-3870Kに対し約1.5倍のスコア

 今回の評価構成では、外付けのグラフィックスカードを用いず、統合するグラフィックスコアの比較に限定して測定した。評価に使ったA10-5800KとA8-5600Kは、Socket FM2に対応したAMD A85XマザーボードのGIGABYTE「GA-F2A85X-UP4」に搭載し、比較としてA-3870KとAMD A75チップセットを搭載するマザーボードのMSI「A75A-G35」を用意した。

3DMark Vantage:3DMarks
3DMark Vantage:Graphics

3DMark 11
3DMark 11:Graphics

 3DMark Vantageでは、A10-5800KがP6083 3DMarks、A8-5600KがP5045 3DMarksというスコアだ。対してA8-3870KはP4388 3DMarksと、Trinityに統合するグラフィックスコアは、Llanoから大幅に結果が向上している。なお、Performanceプリセットでは、A10-5800KのスコアはA8-3870Kの1.39倍程度だが、Extremeプリセットでは約1.49倍になった。A8-5600Kのスコアに関してはA8-3870Kの約1.15倍前後といったところだ。

 3DMark 11でも、A10-5800KのスコアはA8-3870Kに対し約1.4倍前後だった。また、A8-5600KのスコアはA8-3870Kに対し1.1倍程度である。先の3DMark Vantageと比べると、伸びが鈍化している。これは、GPUコア数がA10-5800Kに比べ少ない点が影響していると考えられる。

DirectX 11対応ゲームは実用なるかならぬか?

Last Planet 2(DirectX 11)
F1 2011

Just Cause 2(Concrete Jungle)
Last Planet 2(DirectX 9)

ストリートファイターIVベンチマーク
ファンタシースターオンライン2:キャラクタークリエイト体験版

 ゲームタイトルを使ったベンチマークテストは、国内の比較的負荷の低いゲームタイトルを中心に測定してみた。まず、軽量級といえるストリートファイターStree IV ベンチマークテストで、エクストラタッチ以外の項目についてすべて「高」設定を適用した。この状態でフレームレートは、A10-5800K、A8-5600Kともに、1920×1080ドットまで60fps以上をキープする。一方、A8-3870Kは、1920×1080ドットで60fpsを割っていた。

 カプコンのMHFベンチマーク【大討伐】では、1920×1080ドットでスムーズな動作とはいかなくなるものの、A10-5800Kなら1680×1050ドットでなんとか快適に動作するスコアを出している。このように、負荷の軽いゲームタイトルであれば、実用的なフレームレートに動作すると考えていいだろう。A8-3870Kと比べると解像度や画質設定を一段階上げられそうだ。

 The Last Remnantも、A10-5800K、A8-5600Kともに解像度1920×1080ドットの設定で30fpsを超えた。特にA10-5800Kは、解像度1280×768ドットの設定で60fpsを超えている。A8-3870Kは、30fpsを超えるために解像度の設定を1680×1050ドットまで落とさなければならなかった。

 今回は、比較的新しいゲームタイトルで、ファンタシースターオンライン2のベンチマークテスト「キャラクタークリエイト体験版」でも計測している。解像度などは標準設定のままで、画質設定を変えた数パターンでスコアの変動をチェックしてみた。こちらは、すべてのAPUで最も低い画質設定でなければ動作が厳しいという結果だ。A10-5800Kのフレームレート推移は、標準の画質設定3で平均30fps程度。しかし、負荷の重いシーンでは10fps台まで落ち込んでいる。

 DirectX 10対応のゲームタイトルとして、Just Cause 2もテストした。A10-5800Kであれば、解像度1280×768ドット設定で29.87fpsとほぼ30fpsに近いスコアを実現した。しかし、快適なプレイは難しいだろう。A10-5800KとA8-5600Kの差は1fps程度だった。

 DirectX 11に対応するゲームタイトルのLOST PLANET 2、F1 2011は、どちらも実用的に動作をするレベルではなかった。DirectX 9動作に画質設定を落としていけば30fps程度まで引き上げられるが、このクラスのゲームタイトルを動かすなら、外付けのグラフィックスカードを追加するのがいいだろう。

 ゲームタイトルのベンチマークテストの結果から考えると、A8-3870Kを1とする相対スコアで、A8-5600Kは1.14前後、A10-5800Kは1.45程度となる。統合グラフィックスコアの世代間比較とすれば十分に向上したといえるが、さすがに、外付けのグラフィックスカードと比べると2世代前のローエンドGPUといったあたりだろう。過度な期待はできないが、軽いゲームタイトルであれば快適に楽しめる、という評価は従来と変わらない。

消費電力はアイドル時でやや増加

 消費電力の測定は、3DMark VantageのGT1とGT2の実行中における最大値と、アイドル時(ベンチマークテスト終了後10分間経過)で計測している。最大消費電力では、A10-5800Kが140ワット、A8-5600Kが110ワットとなった。(マザーボードが異なるとはいえ)A8-3870Kが122ワットだったことから、A10-5800Kでは増加、A8-5600Kは削減になる。A10-5800KとA8-5600Kには30ワットの開きがある。アイドル時は、A8-3870Kが28ワットという低い値を出したのに対し、A10-5800K、A8-5600Kは30ワット台半ば〜前半で微増という結果だった。

システム全体の消費電力

グラフィック性能は確実に向上したTrinity

 今回の評価作業では、グラフィックス性能と消費電力に限ってTrinityの性能を検証してみた。APUとしての総合的な性能はまだ分からない。アーキテクチャが変わり、動作クロックを大幅に引き上げたCPUコアがどのような性能を見せてくれるのか。それについては、時期が来たときに改めて検証する予定だ。

 グラフィックス性能については、最上位モデルのA10-5800KでLlano世代の最上位モデルA8-3870Kから約1.5倍の性能向上が確認できた。消費電力に関しては一喜一憂な結果だが、マザーボードの違いで5ワット程度の差を見積もれば、そこまで大きな違いはないのかもしれない。

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