前置きが長くなったが、実際の転送速度をベンチマークで確かめていこう。普段からWiMAXを使って不満に思っていたのは、建物の中に入るととたんにネットが遅くなるということ。過去、鉄筋ビルの喫茶店で奥の席に座ってWiMAXが入らなくなるという経験してきたため、出先で作業するならなるべく入り口か窓ぎわに陣取るのが習慣になってしまった。それでも電波が1本になって、WiMAXの速さを体感できないこともしばしばだ。
建物に弱い原因の1つは、周波数帯域だ。auのWiMAXであるUQ WiMAXは、2.5GHz帯で通信している。一方でau版iPhone 5のLTEは2.1GHz帯だ。ものすごく簡単にいえば、周波数帯域は高いほど電波が回り込みにくく、室内でつながりにくくなる。インターネット速度の検証では、いくつかの駅を回って測るのが定番だが、テザリングは喫茶店など座れる場所で使うことがほとんどのため、今回は新宿という電波がどこにいても入りそうな土地で、建物の条件を変えつつ検証することにした。
テストに利用したサービスは「SPEEDTEST.NET」で、東京のサーバにつないで5回計測した平均を出している。通信速度は基地局から端末までの距離だけでなく、同時に接続している人数によっても大きく変わってくる。9月にサービスを開始してiPhone 5しか使っていないLTEはユーザーが少ないため、どう考えても有利な状況だ。また、同じLTEやWiMAXでもスマートフォンによって感度が微妙に異なる。今回の結果は数値ではなく、傾向としてとらえてほしい。
この差がネットの視聴にどれくらい影響するのか、Safariのキャッシュを消しながらTwitterを表示してみたところ、WiMAXでは背景やアイコンの画像読み込みが一瞬滞ったが、LTEではすんなり読み込まれていた。さらにYouTubeでフルHD(1080p、1920×1080ドット)の動画を再生してみたところ、WiMAXではデータのダウンロードが追いつかずに途中で何度か途切れたが、LTEでは最後までノンストップで再生できた。「LTEって速い!」と実感できた瞬間だ。
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