エイスースのUltrabookは「ZENBOOK」だけじゃない――大画面Ultrabook「S56CM」を試すGeForce+Office搭載で10万円切り(2/2 ページ)

» 2012年10月11日 21時00分 公開
[池田憲弘(撮影:矢野渉),ITmedia]
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GeForce GT 635Mの恩恵は?

photo S56CMは、Ultrabookに多いユニボディではないものの、その分楽にメモリスロットにアクセスできる。アクセスするには底面にあるネジを2本外すだけでいい

 基本スペックは、CPUがTDP(熱設計電力)17ワットのCore i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz、3次キャッシュ3Mバイト)、メモリが4Gバイト(4Gバイト×1、PC3-12800)、データストレージが750GバイトHDD+キャッシュ用24GバイトSSDを組み合わせたハイブリッド構成、グラフィックスがGeForce GT 635M(グラフィックスメモリ2Gバイト)、プリインストールOSが64ビット版Windows 7 Home Premium(SP1)となる。

 CPU統合グラフィックスを使うUltrabookが多いなか、S56CMは外部グラフィックスを搭載する。NVIDIAのOptimus Technologyにより外部GPUと内蔵GPUはPC側が自動的に切り替えるため、GPUの存在をあまり意識することはないが、ゲームや画像処理といったシーンでの恩恵は大きい。

photophotophoto Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア(写真=左)。CrystalDiskMark 3.0.1の計測結果。SSDキャッシュが有効になる2回目(写真=右)では1回目(写真=中央)と比較してリードのスコアが向上する
photophotophoto デバイスマネージャでS56CMの構成を確認した。ストレージはHDDがHGST製のHTS547575A(750Gバイト、5400rpm)、SSDはサンディスクのi100(24Gバイト、SATA 6Gbps)だ

 ベンチマークテストは、総合ベンチマークテストのPCMark 7、PCMark Vantage(x64)、3D系ベンチマークテストの3DMark06、ストリートファイターIV ベンチマークなどを行った。GeForce GT 635Mの効果を確かめるため、CPUやメモリ容量、データストレージの構成(HDD+SSDというハイブリッド構成)といったスペックが共通するHPの14型Ultrabook「HP ENVY4-1000」とデルの14型Ultrabook「Inspiron 14z」(グラフィックスにIntel HD Graphics 4000を利用するプレミアムモデル)のスコアを併記する。なお、S56CMのスコアはすべて外部GPUを利用した場合のスコアだ。

photophoto PCMark 7(グラフ=左)とPCMark Vantage(グラフ=右)のスコア。PCMark 7ではS56CMのスコアが低い
photophoto 3DMark06(グラフ=左)、3DMark Vantage(グラフ=右)のスコア。GeForce GT 635Mの実力が発揮されている
photophoto ゲームタイトルベンチマークのスコア。ストリートファイターIV ベンチマークの設定は、低負荷が解像度1280×720ドット、アンチエイリアス:NONE、垂直同期:OFF、モデル:高、背景:高、ソフトシャドウ:低、モーションブラー:低、パーティクル:中、エクストラタッチ:OFFに設定。高負荷は解像度1366×768ドット、アンチエイリアス:4x、垂直同期:OFF、モデル:高、背景:高、ソフトシャドウ:最高、モーションブラー:高、パーティクル:高、エクストラタッチ:OFFとなる(写真=左)。モンスターハンターフロンティア ベンチマーク【絆】のスコア(写真=右)は、どちらも、やはりS56CMのスコアがInspiron 14zを大きく離した

 PCMark 7では、グラフィックスにIntel HD Graphics 4000を利用するHP ENVY4-1000やInspiron 14zのスコアが高くなった。Intel HD Graphics 4000に搭載されたハードウェアエンコード機能「Intel Quick Sync Video 2.0」の恩恵で、Creativity、Computationといった、ビデオ編集機能やトランスコード性能を測る項目のスコアが高くなったことが主な原因だ。

 一方、PCMark VantageのスコアはS56CMが上で、3D描画の性能を計測する3DMark06や3DMark Vantage、ゲームタイトルベンチマークテストでは、やはりGeForce GT 635Mを搭載するS56CMのスコアが高くなっている。

 S56CMは、ベンチマークテスト実行時など、システムに高い負荷がかかると、左側面にある排気口から温かい排気が吹き出し、キーボード左側や中央部が熱を持つ。PCMark 7を実行している最中の騒音レベルを計測したところ、約45デシベル(環境騒音32デシベル、室温26度、本体手前5センチの位置で計測)となった。起動時やWebブラウズなどの普段使いにおいてもファンが回ることが多いので、総じて騒音は気になると言える。

 温度については、室温約26度の環境下で、PCMark 7実行中に表面温度を測ったところ、「スペース」キーの表面温度が最も高くなり、約39度まで上昇した。しかし、普段使いでは表面温度はほぼ上がらず(室温26度で約31度まで)、パームレストの温度もさほど上がらないので、問題はないだろう。

全部入りの据え置き型Ultrabook

photo S56CMは、ZENBOOKシリーズに負けないコストパフォーマンスを持ったUltrabookだ。PCの入門機としてもお勧めできる

 S56CMの価格は9万4800円(税込み)。Ultrabookのエントリーモデルとしては、標準的な構成に、外部グラフィックスを加えた仕様でこの価格なら、他の海外メーカーが販売する大画面Ultrabookと同等のコストパフォーマンスと言える。家庭用マシンということで、インタフェースが充実しており使いやすく、デザインや使用感も悪くない。

 さらに、本製品にOffice Home and Business 2010が付属していることを考慮すると、印象は一変する。海外メーカー製のPCはオフィススイートをオプションとして用意する場合が多い。オフィススイートを付属した価格を比較すれば、S56CMの安さがより実感できるはずだ。また、2012年10月11日現在、オンラインショップでの実売価格は8万円台となっており、買い得感はさらに増している。

 今はWindows 8の発売が近く、Windows 8搭載PCが登場するまで、PCを買い控えるという動きもある。ただ、Windows 8搭載PCを安く手に入れたいなら、価格が下がったWindows 7搭載PCを購入し、Windows 8発売後に、優待購入プログラムを利用して、1200円でWindows 8 Proにアップグレードするという方法もアリだ。コストパフォーマンスが高い本機に向く買い方だろう。

 仕事に使いたいし、DVDで映画も見たい。いや、写真や動画の編集もできたら……そんな欲張りなユーザーのニーズを満たす、オールインワンのUltrabookとしてお勧めの1台だ。

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