で、Xiテザリングがどこまで使えるのか。ごく限られた活動範囲の一部で計測した参考値は、あるファミリーレストラン(東京・杉並区)で下り1.3Mbps前後、羽田空港出発ロビーで下り3.1Mbps前後。昨今、値としては決して高速ではないが、下りMbps単位が出ればちょっとした仕事なら特に支障はない。
もう1つ、名古屋行きの東海道新幹線車内でもトンネル以外はほとんどつながっていた。きちんとした計測はしなかったが、高速で移動中ながらも感覚としては平均500kbpsくらいは出ているかなというところだった。ちなみにN700系新幹線は車内で無線LANサービスが利用できるので、それを活用するのもいいのだが。
しかし、前回の名古屋遠征の際に利用したホテル室内とファミリーレストラン(デニーズ名駅西口店)では残念ながら使いものにならなかった。ホテルの部屋では下り28kbpsとまさに虫の息、ファミレスも約128kbps前後と、とりあえずつながっている程度だった。これくらいでもメールチェックなどはできるが、Webサイトをガシガシ表示しつつ、裏でクラウドストレージとデータ同期を行いながら仕事をするのはややツライ速度である。
一応ホテルでは有線LAN/無線LANのサービスも用意されていたが、LaVie GタイプZに有線LANポートは非搭載、無線LANサービスは速度こそそこそこ出る(下り4M〜5Mbpsほど)が、ちょくちょく再現性なく切断されるので、実質使い物にならなかった。
……そこでPC用データ通信環境のスーパーサブ「WiMAX+1 Dayプラン」だ。こちらは快適そのもので、ホテルでは下り7.048Mbps、ファミレスでも下り3.315Mbpsほどの速度を実現し、自宅環境とほぼ同じようにストレスなく仕事できた。やはりWiMAXは電波さえ入れば数Mbpsは出るので、とても頼りになる。
さて、WiMAXは“入れば”速くていいが、USB接続のWiMAXアダプタとなるとPCのUSBポートが1つふさがる。このLaVie GタイプZもそうだが、スリム志向のUltrabookはUSBポートがやや少ない機器も珍しくないので、これが痛いという人もいるだろう。さらに筆者はワイヤレスマウス(USBレシーバー)も使うし、デジタル一眼レフで撮影するためCFリーダーも必要とする。最大でUSBポートが3基必要である。
しかし、CFリーダーは一度写真を転送・コピーすればそれで終わる。その間だけ通信しなければいいだけの話だ。ちなみにLaVie GタイプZはしっかりUSB 3.0ポートがあるので、同じくUSB 3.0対応のカードリーダー(とそもそも使用している高速タイプのCF)を使えば大量・大きなデータの転送もこれまでより高速に済ませられる。参考として、16GバイトのCFほぼいっぱいに撮ったRAWデータの転送時間は4分弱というところだった。それくらいならガマンするまでもない時間だと思う。
どうせWiMAXを使うなら、内蔵されていたほうが確実に便利であることは否定しない。ただ、筆者のようにすでにメインのデータ通信回線とルータ/テザリング環境が整っているのであれば、WiMAX内蔵モジュールはさほど必要ない。もちろんあるに越したことはないが、そんなことは言っていたらキリがない。こういう1つ1つを「こういう人もいるから……」と追加していったらどんどん重く、高額になってしまいかねない。
何を割り切って、何を残すか。そのへんのさじ加減、センスといったものがメーカーの手腕として問われる部分だ。確かにNECにはプリインアプリてんこ盛りとか、何でも入りのオールインワンといったシリーズがあるのだが、それは一般ユーザーを幅広くまかなえるニーズを満たすため。一方、このLaVie GタイプZおよびLaVie Zについては、軽さ・モバイル性を徹底して望む層に向けて、軽量化を最重視しつつ、バランスよくまとめてあると思う。
実際、決して一般的とはいえない使い方をする筆者も、WiMAX内蔵でなくても、USBポートが2基しかなくても、ちょっとした対処だけで実用上困らずに運用できている。これは落としどころが妥当であることの証明だろう。もちろん仮にUSBポートが1基だけだったりしたら、いくら軽くてもとてもなんとかなるとは思えない。そういう点で、このLaVie GタイプZはかなり絶妙にできていると改めて感じた次第だ。
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