QMobileは、マルチメディアステーションのクライアントという位置づけであり、QMobileが再生に対応していないファイルはブラウジングもできない。マルチメディアという名から想像されるとおり対応フォーマットは画像・映像・音声であり、PDFやテキストファイルには非対応だ。そのため、書籍を自炊した場合、JPEGであれば通常の画像として閲覧可能だが、QMobileが対応していないPDF形式にしてしまうと外出先からは閲覧できなくなってしまう。
そこで登場したのが「Qfile」だ。QMobileがマルチメディアステーションのクライアントであるのに対し、QfileはWebファイルマネージャのクライアントという位置づけになる。TurboNASをファイルサーバとして接続するため、ファイルの形式を問わない。その半面、ストリーミングに対応しておらず、動画などもいったんファイル全体をダウンロードしてからローカルで再生することになる。QfileはQMobileを置き換えるものではなく、QMobileが対応している形式はQMobileを使用し、それ以外のものをQfileで補完する、といった使い分けをすることになるだろう。
1.Webファイルマネージャの有効化
前述した通り、QfileはWebファイルマネージャのクライアントとして動作するため、まずはWebファイルマネージャを有効化させる。TurboNASの管理画面からアプリケーション>Webファイルマネージャを選択し、「Webファイルマネージャを有効にする」にチェックを入れればよい。Webファイルマネージャでのユーザーは共有フォルダに対するユーザーなのでWebファイルマネージャ用に個別に設定する必要はない。
Webファイルマネージャが有効化されたらマルチメディアステーション同様、LAN内からWebインタフェースで動作を確認する。設定ページからリンクをクリックするとWebファイルマネージャの画面が開き、ログインIDとパスワードの入力ダイアログが表示される。
2.スマートフォン用アプリQfileのインストール
次にスマートフォンにQfileをインストールし、LANからの利用を確認する。設定はQMobileと同様なので迷うところはないだろう。サーバ設定後、ログインして利用できることを確認する。
3.外出先からのアクセスの有効化
外出先からのアクセスもQMobileと同様だ。MyCloudNASウィザードで公開するサービスに「Webファイルマネージャ」を追加すればあとの手順は同じ。Qfileでサーバの手動追加を選択し、MyCloudNASのFQDNを指定すればよい。
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最後に紹介するQmanagerは、TurboNASそのものの管理をリモートで行うスマートフォン用アプリだ。対応するサービスはWeb管理だが、これは通常有効になっているのでスマートフォン用アプリQmanagerのインストールと外出先からのアクセスの有効化を行うだけでいい。
ファームウェアの更新によるTurboNASの多機能化はめざましいものがある。その背景には、新しい技術の標準化、仮想環境をはじめとする新しい利用形態、高まるセキュリティへの要求などさまざまなテクノロジーの進化とそれをとりまく環境・意識の変化がある。
そしてそれを支えるのはエンタープライズ向けから個人向けまで、広いレンジのラインアップを一元的に取り扱うことのできるQNAPの技術力だ。エンタープライズのみを対象とする企業であれば、QMobileのようなアプリケーションはターゲットとなり得ないし、個人向けのみを対象とする企業ではここまでファームウェアの更新・保守にコストをかけることはできないだろう。
特にスマートフォンの高性能化、コモディティ化がめざましい昨今においてはQNAPのようにスマートフォン用アプリに積極的な企業というのは頼もしいことこのうえない。今後の展開にも期待したい。
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