SSD 840 PROとSSD 840は9月24日に発表されたが、日本では10月24日に代理店のITGマーケティングを通じて販売が始まった。250Gバイトクラスのモデルにおける実売価格は、SSD 840 PROベーシックキットで2万2000円前後、SSD 840ベーシックキットで1万6000円前後となっている。SSD 840シリーズに関しては、7ミリ厚/9ミリ厚スペーサーや2.5インチ/3.5インチ用マウンタ、SATA/USB変換ケーブルなどが付属するオールインワンキットも1万8000円前後で販売中だ。
SSD 840 PROの性能は、SSD 830の正統進化といってよいだろう。今回比較用に使ったCrucial RealSSD C300は、Serial ATA 6Gbpsに対応した初のSSDである。そして、このSSD 840 PROは、おそらくだが、Serial ATA 6Gbps対応としては最後の世代になるだろう。
Serial ATA 6Gbpsの理論データ転送速度は600Mバイト/秒で、プロトコルオーバーヘッドを考慮すると550Mバイト/秒前後が限界だ。シーケンシャルリードはすでに前の世代でこれにあと一歩というところまできていた。
残るはシーケンシャルライト性能とランダムのリード/ライト性能をどこまで高められるかということがこの世代の課題といえたが、SSD 840 PROはそれを見事にクリアし、PCMark VantageでC300の1.5倍という高スコアをマークし、最新世代の威力を見せつけている。利便性の高いユーティリティが付属していることや省電力も魅力で、しばらくはSSD市場の主役を務める存在になりそうだ。
一方、SSD 840は、SSD 840 PROに迫るスコアを見せる部分がありつつも、一部テスト項目で振るわない面があり、総合的には先代のSSD 830と互角か、少し見劣るかもしれない。スコアがいまひとつ出ない部分がシーケンシャルライト中心の処理だけでなくリード中心の処理でも発生していることから、おそらくランダムアクセスが集中する場面があまり得意でないと思われる。これまで高速なSSDを乗り継いできたようなパフォーマンス志向のユーザーには物足りないだろう。
もっとも、SSD 840がターゲットとして想定しているのはあくまでもメインストリームユーザーだ。HDDからの乗り換え目的や、ライトユースPC向けのSSDとしては十分な性能を備えている。SSD 830の後継ということを強く意識せず、位置付けや価格を考えれば妥当なところだ。
ベーシックキットの場合、秋葉原などでは先代のSSD 830がかなり低価格で販売されている。現状ではSSD 840の実売価格を見てもあまり安いと感じないのが正直なところだが、終息する製品と比べてしまえば、当面多少の割高感があるのは仕方ない。
それでも、オールインワンキットの上乗せは1500円程度と安く、HDDからの乗り換え目的など、キットの付属品を必要としているユーザーには魅力的な価格設定だ。また、ファームウェアのアップデートなどが行えるユーティリティやデータ移行ソフトが使える点も、そういうユーザー向けには、より強調できるストロングポイントといえる。
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