「VAIO Duo 11」を“お絵かきマシン”として使ってみるこいつ……描けるぞ!(2/3 ページ)

» 2012年11月14日 09時30分 公開
[山田胡瓜,ITmedia]

対応さえしていれば魅力的な筆圧機能

 VAIO Duo 11のデジタイザスタイラスは筆圧検知レベルが256段階で、本格的なペンタブレットと比較するとスペック的には見劣りする。

 しかし使ってみるとそこまでの不足は感じず、「こいつ……描けるぞ!」と思わず感動してしまった。力の入れ具合に応じて、十分かつ滑らかに線が変化し、線の入りと抜きの感触にも不満はなかった。「筆圧のレベルの違いが、表現力の決定的差でないということ」を教わった気分だ。

 人によって感じ方や画風はそれぞれなので断言はできないが、今回筆者がIllustStudioで試した限りでは、筆圧レベルの粗さが表現において大きなストレスにつながることはなかった。

線の太さや濃淡を筆圧によって柔軟にコントロールできる
スケッチしてみた。頬の赤みの繊細な表現などは、筆圧対応ならではだと思う

 VAIO Duo 11のデジタイザスタイラスには2つのボタンが設けられており、ペン先から遠いほうのボタンには消しゴム機能が割り当てられていた。消しゴム機能はペンの“お尻”についているケースも多いが、ボタンで操作できるとペンを持ち変える必要がなく便利だと感じた。

 また、デジタイザスタイラスのペン先が2種類から選べるのもうれしい。ブラックが硬め、グレーが柔らかめになっている。ペン先は手でつまんで簡単に着脱できる仕組みだ。筆者の場合はグレーのペン先が使いやすかった。ツルツルした感じをさらに減らしたい場合は、純正の液晶保護シート(実売2000円前後)を付けることでも多少摩擦が強くなる。ペンの使い心地を左右するのはむしろこの“滑り具合”のほうだと思うので、店頭などで試してみてほしい。

デジタイザスタイラスには2つのボタンが設けられている。ペン先は2種類から選べる(写真=左)。タブレットモードだと安定感があって描きやすい(写真=右)

 デジタイザスタイラスの操作時には指でのタッチ機能が反応しなくなるので、画面に手を乗せながら作業できる。とはいえ、ペン先を画面近くまで寄せないと、指でのタッチ機能はオフにならない。慣れないうちは、ペン先を近づけるより先に手が画面に触れて、誤操作してしまうこともしばしばあった。解決案として手を浮かせながら描き始める方法もあるが、安定せず使いづらい。

 そこで、紙のマンガの執筆時に使っている軍手を持ち出してみた。ペンを持つ手の汗や油が原稿に付くのを防ぐためのもので、小指以外の指の部分はハサミでカットしてある。この軍手をしていれば、手の側面が画面に付いてもタッチ機能は反応せず、安心して作業ができた。また、小指以外の指を使ったタッチ操作も可能で、なかなか便利だ。

軍手をしたほうが誤操作の心配がなく安心して作業できる。指先が出るようにしておけば、タッチ操作も可能だ

PCとしての“素性のよさ”がお絵かきにも生きる

表示が細かい分、アイコンも小さくなる

 VAIO Duo 11が搭載するフルHD(1920×1080ドット)の11.6型ワイド液晶は、約190ppiという高い画像密度を誇り、液晶ペンタブレットとしてはトップクラスといっていい精細な表示を実現している。

 その半面、表示が細かすぎて、慣れないうちは小さなアイコンやメニューをデジタイザスタイラスでタッチするといったことが少々煩わしくもあったが、ペン先は細く、狭いエリアを正確にタッチできるため、気を付けてペン先を近づければ、細かい操作なども問題なく行えた。

 何より、紙に近い感覚で絵が描ける感動があったのは特筆できる。ペンで触れるディスプレイのガラス表面と、実際に線が描かれる液晶パネル表面の見た目のズレ(視差)が少ないのも好印象だ。これには「オプティコントラストパネル」の採用も効いている。通常、空気層となっている液晶パネルとガラスの間に透明な樹脂を流し込んで埋めることで、外光の反射や黒浮きを抑えつつ、ガラス面と液晶パネルの距離をグッと縮めて視差を減らしているのだ。

 そもそも、ペンと本体さえあれば、どこでも絵がかけるのが素晴らしい。本体の重さは約1.305キロ、バッテリー駆動時間は約7時間(いずれも標準仕様モデルの公称値)で、小脇に抱えてラクラクと持ち運んで使える。この機動性は、PCに接続する必要がある通常の液晶ペンタブレットでは実現できない。

 デスクから離れ、リビングのソファなど屋内でリラックスできる場所に持ち出せるのはもちろん、Ultrabookとしての携帯性も備えているので、外出先で素早く起動して気軽にお絵かきを楽しめる。できればペンの収納機構を本体に設けてくれればありがたかったが、些細(ささい)なことだ。オプションのキャリングケースやシートバッテリーにペンの収納機構があるので、必要に応じてこれらも検討するといいだろう。

本体にペンの収納機構はないが、純正のキャリングケース(実売4000円前後)にはペンの収納ポケットが設けられている(写真=左)。またシートバッテリー(実売1万5000円前後)にも収納機構がある(写真=右)。シートバッテリーを装着すると総重量が1.6キロを上回り、実測での最厚部も34ミリまで膨らむが、駆動時間を約2倍に延ばせる

 液晶ディスプレイを閉じたタブレットモードで膝の上に本体を置き、だらだらとお絵かきをする。筆者が一番気に入ったのはこうした使い方だったが、タブレットモードは排熱しにくいようでファンがブンブンと回る。バッテリー駆動時間への影響も考えられるので、特に外出先では気をつけよう。

VAIO Duo 11をタブレットモードの状態にして、IllustStudioでお絵かきしてみた様子。筆圧検知のレベルは256段階と、本格的なペンタブレットと比較するとスペック的には物足りないが、実際に描いてみるとペンで触れるディスプレイのガラス表面と、実際に線が描かれる液晶パネル表面の見た目のズレ(視差)が少なく、書き味はなかなかのものだ。動画ではオプションの液晶保護シートを貼り付けているため、よりペンが滑らずにしっかり描ける

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