ハードウェアの面でUIの核となる20型ワイド液晶ディスプレイには、特にテーブルトップスタイルでの視認性を確保するため、見る角度が変わってもコントラストと色の変化が少ないIPS方式の液晶パネルを採用した。バックライトは白色LED、画面には硬度の高いガラスが装着されている。
画面解像度は1600×900ドットだ。標準的な1366×768ドットより高い解像度だが、VAIOの場合、はるかに小さな13.1型や11.6型のワイド液晶パネルでもフルHD(1920×1080ドット)に対応したモデルが製品化されていることを考えると、少し物足りない気もする。
ディスプレイのグレードとしては、VAIOシリーズでは中位に属する「VAIOディスプレイプラス」を名乗り、表面の光沢処理による映り込みもやや見られるが、目視の印象ではテレビ番組なども見やすく好印象だった。
どうしても映り込みが気になる場合には、オプションで提供されるアンチグレア処理を施した液晶保護シート(VGP-FLS11)を追加するとよいだろう。ソニーストアでの直販価格は3480円だ。
タッチパネルは同時に複数のユーザーが触れる機会が多いことや、デザイン上スマートに内蔵できること、レスポンスがよいことなどから静電容量式のタッチパネルが採用され、10点までのマルチタッチに対応している。
これらのハードウェアによって、複数の人が同じ1枚の画面に、各自の指で同時に触れるシーンであっても、人によってユーザー体験の質に偏りが生じることのないように配慮されている。
付属のキーボードとマウスは前述の通り、ワイヤレスで接続する仕様だ。キーボードは日本語配列でアイソレーションデザインを採用する。キーピッチは約19ミリ、キーストロークは約2ミリを確保しており、テンキー、ワンタッチボタン(WEB、MAIL、スリープ、音量調節)も備えるなど、使い勝手に不満はない。マウスは、スクロールホイール付きのレーザーマウスだ。
VAIO純正アクセサリでおなじみの薄型キーボードカバー「キーボードウエア」は、VAIO Tap 20にも用意されている。ツートーンカラーのモデルも加わり、全6色から選択可能だ。ソニーストアでの直販価格は、各色2980円となっている。
VAIO Tap 20は、どちらかというとコンテンツと気楽に向き合うことを想定した製品だが、画質や音質への配慮もきちんとなされている。
動画の高画質化機能としては、コントラスト比の向上と輪郭強調の処理を自動で行なう「モバイルブラビアエンジン2」の搭載がポイントだ。YouTubeなどのネット動画や、後述のnasneによるテレビ番組の視聴時に、よりくっきりと鮮やかな映像を楽しめる。
具体的には、Windows Media Player、DVD再生ソフトのPowerDVD、デスクトップ版のInternet Explorer 10、そして後述する「VAIO TV with nasne」の各ソフト(いずれもデスクトップアプリ)で動画を再生している際、モバイルブラビアエンジン2が自動的に有効になる。
また、音質を確保するための工夫としては、本体背面にステレオスピーカーとサブウーファーを搭載。テーブルトップスタイルでもちゃんとユーザーに音が届くよう、設置面に反射させて音を広げる仕組みがとられている。
また、高音質化技術として、Dolby Home Theater v4とS-FORCE Front Surround 3Dに対応することに加えて、ソニー独自の信号処理技術をワンタッチで最適化する「ClearAudio+」というモードが新たに搭載され、重低音や高音を鮮明に再現できる。
実際にYouTubeのHD動画やテレビ番組などをリビングや個室で視聴してみた印象では、画質の点で大きな不満はなく、十分に堪能できた。音声はテーブルトップスタイルでもかなりクリアに聞こえたのが印象的で、テーブルを利用した音の反射がうまく機能しているらしく、どの位置にいても聞き取りやすかった。
半面、デスクトップスタイルでの利用時は音の反射する要素が存在しないため、前面にいるユーザーが十分な音量と感じるまでボリュームを上げると、背面からは思いのほか大きな音が出てしまっている、といったこともあった。
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