ソニーが挑んだ家庭用PCの再創造――「VAIO Tap 20」特大レビューいよいよ12月8日発売(7/7 ページ)

» 2012年12月05日 11時00分 公開
[都築航一(撮影:矢野渉),ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4|5|6|7       

リアルなコミュニケーションを豊かにする新スタイルPCが誕生

 気になる価格は、店頭モデルが上位機から順に18万円前後、16万円前後、14万円前後だ(いずれも家電量販店の実売価格)。Microsoft Office Home and Business 2010の標準搭載もあり、際立って安価というわけではないが、ソニーストア直販のVAIOオーナーメードモデルは最もスペックを抑えた構成ならば、7万9800円からと一気に価格が下がる。

 直販モデルでは、店頭モデルには存在しない上位のCore i7や512GバイトまでのSSDも選択可能なハードウェアスペックのカスタマイズはもちろん、オフィスアプリのMirosoft Office 2010シリーズを3種類から選べるうえ、アドビシステムズの「Adobe Creative Suite 6 Production Premium」付属モデルまで用意されるなど、通常のWindowsアプリも数多くの選択肢から好みの構成での購入が可能だ。

 7万9800円の最小構成でも、20型ワイドのIPS液晶ディスプレイや静電容量式タッチパネル、内蔵バッテリー、64ビット版Windows 8といったVAIO Tap 20の核をなすコンポーネントは上位モデルと基本的に変わらないため、極力安価に購入するのも面白い。

 VAIO Tap 20は、家庭向けPCをリビングへ持ち込むアプローチとして「テーブルトップスタイル」という形態を採ることができたほとんど初めてのPCだ。従来のPCの概念では想像もできなかった世界が開ける可能性を持っているが、これに魅力を感じるかどうかも、テーブルトップスタイルでの利用自体に価値を見いだせるかどうかにかかっている。

 筆者は、このとき決め手となるポイントは2つあると考えている。1つは「同時に複数人で使うシーンが具体的に思い浮かぶか」ということ。テーブルトップスタイルは、目の前にいる人とのコミュニケーションツールとして、PCを使うための形態だからだ。

 もう1つには「Windows 8のタッチUIに最適化されたアプリの充実ぶり」が挙げられる。ツールとしてのVAIO Tap 20と、OSとしてのWindows 8の相性に文句はないが、従来のクラシックなデスクトップアプリは、タッチ操作で使う積極的な意味があまりなく、VAIO Tap 20の強みが発揮されないからだ。

 だからこそ、ソニー独自のタッチUI対応アプリの完成度が気になるところだが、Family Paintに加えて、Internet Explorer 10やBingの地図アプリを使うだけでも、その魅力は十分体感できたことは付記しておきたい。

 家庭向けPCが担ってきた役割は、ワープロの代替をはじめ、年賀状や家計簿の作成といった「生産のための道具」に始まり、現在はSNSを通じて「ネットの向こう側にいる誰かとつながるための手段」という面が急速に重要度を増している。ここへきて、Windows 8とVAIO Tap 20の登場を迎えたことで、「リアルな世界で目の前にいる人たちとコミュニケーションを行なうためのより代」という役割が新たに付与された。

 これはタブレットデバイスがすでに担いつつあった役割なのかもしれないが、20型という大きなサイズの、しかも本格的なコンテンツ制作を行なうことが可能なフルスペックのPCで(ようやく)実現できたというところに決定的な意味がある。VAIO Tap 20が切り開く新たなカテゴリーとは、これほどのインパクトを持ったものなのだと感じる。

前のページへ 1|2|3|4|5|6|7       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年03月28日 更新
  1. Synology「BeeStation」は、“NASに興味があるけど未導入”な人に勧めたい 買い切り型で自分だけの4TBクラウドストレージを簡単に構築できる (2024年03月27日)
  2. 「ThinkPad」2024年モデルは何が変わった? 見どころをチェック! (2024年03月26日)
  3. ダイソーで330円の「手になじむワイヤレスマウス」を試す 名前通りの持ちやすさは“お値段以上”だが難点も (2024年03月27日)
  4. ダイソーで550円で売っている「充電式ワイヤレスマウス」が意外と優秀 平たいボディーは携帯性抜群! (2024年03月25日)
  5. ミリ波レーダーで高度な検知を実現する「スマート人感センサーFP2」を試す 室内の転倒検出や睡眠モニターも実現 (2024年03月28日)
  6. 次期永続ライセンス版の「Microsoft Office 2024」が2024年後半提供開始/macOS Sonoma 14.4のアップグレードでJavaがクラッシュ (2024年03月24日)
  7. いろいろ使えるFireタブレットが最大7000円オフ! Echo Budsは半額以下で買える! (2024年03月26日)
  8. 2025年までに「AI PC」を1億台普及させる――Intelが普及に向けた開発者支援をアップデート ASUS NUC 14 Proベースの「開発者キット」を用意 (2024年03月27日)
  9. 15.5万円の有機ELディスプレイ「MPG 271QRX QD-OLED」に指名買い続出 (2024年03月25日)
  10. サンワ、Windows Helloに対応したUSB Type-C指紋認証センサー (2024年03月27日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー