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5色展開のスリムボディで攻めるA4複合機――キヤノン「PIXUS MG6330」徹底検証“6色W黒”で文書も写真もOK(6/6 ページ)

» 2012年12月31日 13時45分 公開
[榊信康(撮影:矢野渉),ITmedia]
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プリント/コピーのスピードは?

 印刷速度のテストについては、PCからA4モノクロテキスト、A4カラーチャート&テキスト、L判フチなし写真、L判フチなし写真ダイレクトプリント、A4カラーコピーなどの出力を行い、所要時間を計測している。

 測定方法は、接続したPCの処理速度に左右されないように、PCからのプリントでは用紙を引き込むと同時に計測を開始し、排紙が完了した時点で計測を終えた。ダイレクトプリントとコピーについては、処理速度も製品の性能に含まれるので、スタートボタンを押すのと同時に測定を開始している。

印刷/コピー速度のテスト結果
設定 出力時間
A4モノクロ(PCから印刷) 普通紙1枚
標準(3) 6秒1
速い(4) 5秒0
A4カラー(PCから印刷) 普通紙5枚
標準(3) 1分2秒0
速い(4) 44秒3
A4カラー(PCから印刷) 普通紙5枚/自動両面印刷
標準(3) 1分20秒0
速い(4) 1分6秒8
L判(PCから印刷/フチなし) 光沢プロ[プラチナグレード]1枚
最高品質(1) 1分38秒3
きれい(2) 37秒5
標準(3) 16秒5
L判(メモリカードから直接印刷/フチなし) 光沢プロ[プラチナグレード]1枚
きれい 44秒1
標準 19秒7
A4カラーコピー 普通紙1枚
標準 22秒5

 A4モノクロテキストの普通紙印刷では、JEITAのプリントテストパターン「J1.DOC」を使用した。印刷モードは「標準」と「速い」の2通りで試したが、いずれも高速だ。顔料インクのおかげで速いモードの出力でもなかなか印刷品質が高いが、標準モードとの時間差はわずか1秒程度しかない。これならば、素直に印字がシャープな標準モードを用いるのがベストだ。

 カラーチャート&テキスト混在データの普通紙印刷テストではJEITAのプリントテストパターン「J9.DOC」(5ページつづり)を使用し、片面印刷と両面印刷を行った。印刷モードは先ほどと同様に標準と速いの2モードだ。

 標準モードはさすがに高画質だが、1分2秒の時間を要す。対して速いモードは44秒3で完了するが、色の抜けが大きいために色分けされたチャートが判別しにくくなっていた。どちらを取るかは難しいところだが、やはり標準で出力するのが無難だ。

 一方、J9.DOCの自動両面印刷では、片面印刷時の時間に20秒前後を上乗せしたスコアとなった。この程度ならば、個人的には許容できるレベルだ。

 L判印刷では、用紙をキヤノン写真用紙・光沢プロ[プラチナグレード]に変更し、最高品位から標準までの3通りのモードで計測を行った。結果はそれぞれのモードで時間の開きがかなり出ている。標準で16秒5、きれいで37秒5、最高品質で1分38秒3というスコアに不満はないが、PIXUS MG6230より少し速度が低下した。

 最高品質モードは時間がかかる割に、きれいモードと印刷品質に大きな差がないように感じる。最高品位のほうがわずかに階調表現が勝るものの、L判という小さなサイズでは目立ちにくい。L判の写真印刷では基本的にきれいモードを使用し、大きめの用紙や階調の再現性が求められるデータを用いるときは、最高品位モードという使い分けがよいかもしれない。

 メモリカードからのダイレクトプリントは、最高品質の設定がないため、きれいと標準の2モードで測定した。結果は、ダイレクトプリントであるにもかかわらず、PCからのプリントに数秒程度を上乗せしたスコアで出力できている。画質についてはPCからの印刷と同様なので、きれいモードを用いるのがよい。

 最後にA4カラーコピーの印刷速度は、標準モードのみを計測している。こちらの結果は22秒5で、まず満足できるレベルだ。

L判フチなし写真印刷のコストは1枚あたり16.2円

 PIXUS MG6330ではインクタンクの変更および大容量インクの追加に伴い、ランニングコストは2011年モデルからかなりの変動が見られる。

 PIXUS MG6230のランニングコストは、L判印刷時にキヤノン写真用紙・光沢 ゴールドを用いた場合だと約18.8円、キヤノン写真用紙・光沢プロ[プラチナグレード]を用いると約29.8円だった。これがPIXUS MG6230だと光沢ゴールドで約22.0円、プラチナグレードで約34.1円となる(いずれも新基準でのインク+用紙コスト)。1枚あたりのコストは光沢ゴールドで3.2円、プラチナグレードに至っては4.3円も上昇している点に注意したい。

 しかし、新たに用意された大容量インクタンクを使用した場合、光沢ゴールドで約16.2円、プラチナグレードで約27.4円と、PIXUS MG6230よりも安価になる。大容量インクタンクとなればヘッドクリーニングを経る回数が増えるので、単純にこの値のままというわけにもいかないが、標準インクタンクとの差が大きいので、プリンタの使用頻度が高いならば、大容量インクタンクを選択するのが賢明だ。

 なお、省電力や環境に配慮した「ECO設定」を用意しているのも特徴だ。液晶モニタのホーム画面に置かれたECO設定メニューから、待機電力を抑える「自動電源オフ」への移行時間設定、電源オフからスタンバイ状態へ移行して印刷ジョブ受信時に自動で印刷を開始する「自動電源オン」設定、紙資源の節約に貢献する自動両面印刷の設定が行える。

6色独立インクタンクは、BCI-351/350シリーズを新たに採用(写真=左)。大容量インクタンクのBCI-351XL/350XLシリーズも用意している。操作パネルから、両面印刷や省電力の「ECO設定」も行える(写真=右)

静音性が高まる「サイレントモード」を用意

騒音レベルを抑える「サイレントモード」は健在だ

 PIXUSシリーズのプリンタは、もともと動作音が大きくないほうだ。とはいえ、電源オン時の立ち上がりには大きな音が出る。PIXUS MG6330の動作音は公称値で約51.6デシベルと、一般的なオフィス環境に近い騒音だ。夜間の使用時など、周囲に気を使わなくてはならないシーンもあるだろう。

 このような状況のために、キヤノンが前々から用意しているのが、印刷速度と引き替えに動作音を抑える「サイレントモード」だ。サイレントモードの使用時は動作音が約39.6デシベルまで下がる。印刷速度は遅くなるものの、単に騒音が抑えられるだけでなく、音の起伏も低減されるので、使い心地はかなりよい。

5色から選べるロースタイルデザインに“6色W黒”の魅力を凝縮

 PIXUS MG6330の特徴は、やはりボディデザインと本体の仕様が大きく変わったことだ。5色から選べる高さを抑えたロースタイルの新ボディ、インクタンクが交換しやすい専用カバーの新設、タッチパネルが付いた大型液晶モニタの採用およびメニューのブラッシュアップ、前面給排紙の復活などにより、快適な使用感に磨きがかかった。

 ただし、スマートデバイスおよびクラウドサービスとの連携に大きな変更がなかった点、後部トレイの廃止をはじめ、一部機能の削除をどう評価するかという点は、意見が分かれるだろう。また、競合機種と見比べた場合、本体サイズの小型化がまだ物足りなく思えるかもしれない。

 とはいえ、6色W黒のインクシステムにより、普通紙のモノクロ文書印刷も写真用紙のフォトプリントも高い品質を両立できるのは、相変わらずPIXUS上位機種ならではの魅力だ。印刷ボリュームがある程度多い環境であれば、大容量インクを使うことで、ランニングコストをグッと抑えられるのも見逃せない。

 実売価格は大手量販店で2万円前後まで下がっている(2012年12月30日)。写真も刷るが、文書の出力はもっと多いというユーザーにとって、有力な選択肢になるだろう。

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