初春に、NUCを「何に使って、どう自作するか」を考えてみたイマドキのイタモノ(2/4 ページ)

» 2013年01月07日 09時30分 公開
[石川ひさよし(撮影:矢野渉),ITmedia]

ベアボーンキット「DC3217BY」でNUCを考える

 ここからはベアボーンキットの「DC3217BY」をベースに、NUCを実際に使ってみる。評価で用いたDS3217BYのパッケージを開けると、いきなり、インテルのサウンドロゴが鳴り響く。このサウンドロゴをならすセンサ(光センサと思われる)が敏感で、センサ部にちょっと手をかざしてどかしただけで、サウンドロゴがなってしまう。

 DC3218BYで使っているPCケースのサイズは、116.6(幅)×112(奥行き)×39(高さ)ミリで、その大きさは、2.5インチSSDよりわずかに長いくらいで、3.5インチHDDと比べると明らかに短い。2.5インチSSDにしても、DC3218BYの内部に搭載するのは難しいだろう。PCケース内部にほとんど余裕はない。そのため、データストレージはmSATAを採用している。ベースカラーはブラックで、DC3217BYの天板は光沢レッド、これがDC3217IYEだと光沢ブラックになる。天板には電源ボタンとアクセスLEDを搭載する。

約12センチ四方で4センチ厚のコンパクトなPCが完成する。内部へのアクセスは底面の四隅にあるネジを回してカバーを開ける

 底面には四隅のネジに加え、もう2つネジがある。四隅のネジは内部にアクセスするためのもので、もう2つのネジはVESAマウンタに装着するためだ。付属のマウンタに装着し、さらに液晶ディスプレイなどのVESAマウンタに装着すれば、液晶ディスプレイ一体型PCのように利用できる。

VESAマウンタが付属。付属ネジを2カ所のネジ穴にねじ込めば、その皿の部分に引っ掛けられる仕組み(先にマウンタをVESA対応機器に装着し、その後NUCをかける)

 インタフェースは、マザーボードに搭載したものが直接露出する仕組みだ。前面にはUSB 2.0、背面にはACアダプタコネクタ、2基のUSB 2.0、HDMI、Thunderbolt(Mini DisplayPort形状)があり、さらにセキュリティロックスロットを用意する。インタフェースの上には排気スリットを設けている。

前面にUSB 2.0、背面に2基のUSB 2.0と、HDMI、Thunderbolt(Mini DisplayPort)。Thunderboltを利用すれば、2画面出力が可能だ

 内部へのアクセスは、底面四隅のネジを回すだけだ。ネジは完全には外れない設計で、紛失防止に効果がある。外装はプラスチック素材だが、内側はアルミフレームを採用しており、放熱効果も狙っているようだ。

 カバーを外すとマザーボードのSODIMMメモリスロットやMini Cardスロットがある面にアクセスできる。CPUは裏面に実装している。なお、マザーボードに2つのネジを確認したが、このネジを外してもマザーボードは外せない。CPU側にはヒートシンクと冷却ファンを搭載している。マザーボード裏面を見る限り、コンデンサやチョークといった部品は、ノートPCなどで採用する背の低いものを実装する。また、ACアダプタコネクタの付近にはThunderboltのコントローラが確認できた。ほかに、無線LAN用にアンテナケーブルが2本設けてあった。

内部に見えるマザーボードは、ちょうどCPUの裏側がっ露出する。アクセスできるスロットは、2基のDDR3 SODIMMとPCI Express Mini Card(ハーフサイズとフルサイズ)だ(写真=左)。ケース内側はアルミ素材を使っている。通気性を高めるスリットも確認できる。ネジは完全に抜けないので、なくす心配はない(写真=右)

 Serial ATAインタフェースはなく、データストレージはmSATAを利用する。ベアボーンキットにSSDは含まれないが、評価キットには現在のところ製品情報がない「SSDMCEAC180A3」なる180Gバイトのデバイスが付属していた。インテルの資料によれば「Series 525 mSATA」というシリーズに属するらしい。

 mSATA SSDは、秋葉原に限れば少ないながらも購入可能だが、それ以外の場所ではネット通販サイトで探すことになるだろう。販売しているmSATA SSDのほとんどがUltrabookやNetbookの交換用ストレージだが、初期のNetbookに用いられていたmSATAと同じ形状で特殊なインタフェースのSSDは利用できないので注意したい。

 また、mSATA SSDのサイズでも、MacBook Airなどで利用している長さのあるmSATA SSDはDC3218BYに搭載できない。一方、ハーフサイズのmSATA SSDはアダプタを介すことで利用できるが、容量を考えると現実的な選択肢とはいえない。

 なお、DDR3 SODIMMは通常のDDR3 DIMMと比べてそれほど割り高でなくなってきた一方、mSATA SSDの価格は2.5インチSSDと比べると高い。NUCによる自作では、このmSATA SSDのコストを考慮しておく必要があるだろう。

 mSATAスロットの下にあるハーフサイズのMini Cardスロットは、実質的に無線LANモジュール専用となる。ハーフサイズのMini Card自体が無線LANモジュール以外ほとんど流通していない。民生用だけでなく対象を工業用製品まで拡大してみれば、USB 3.0やSerial ATA(チップを搭載するもの)があるが、直上にmSATAカードを搭載すると利用できないことに加え、こうしたインタフェースカードの多くは外部電源を必要するのに、NUC内部には電源を取れそうなコネクタがない。micro SDカードスロットを追加するのは可能だが、これも、内部ストレージをほんの少し増強できる程度で終わってしまう。こうした制限のため、NUC内部はあまり大きな拡張ができそうにない。結局はインテルが推奨する「無線LAN+mSATA SSD」という構成に落ち着くのではないだろうか。

 ACアダプタは、FSP GROUPの製品が付属していた。出力は19ボルト×3.42アンペアの64.98ワット。かなり小容量だが、CPUのTDPが17ワットで、内部拡張はほとんどできないことから、十分に間に合っているようだ。

評価キットに付属した「SSDMCEAC180A3」とハーフサイズの無線LANモジュール「Centrino Advanced-N 6235 IEEE802.11a/g/n 2x2+Bluetooth 4.0」は、ベアボーンキットに含まれないので、各自用意する必要がある(写真=左)。評価キットに付属したACアダプタは、出力が約65ワットのFSP GROUP製だった(写真=右)

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