Windows 8世代のスタンダードPCが見えてきた――「VAIO Tシリーズ15」実力診断Ultrabookでもタッチパネル付きの大画面フルHD液晶を搭載(4/4 ページ)

» 2013年02月04日 17時30分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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パフォーマンス、バッテリー、騒音、発熱をまとめてテスト

 ここからは、各種ベンチマークテストの結果を見てみよう。参考までにテスト結果のグラフには、「VAIO Tシリーズ13」の2012年秋冬モデル(SVT13129CJS)「VAIO Duo 11」の2013年春モデル(SVD1122AJ)のスコアも併記した。

今回テスト結果を比較したVAIOノート
製品名 VAIO Tシリーズ15(SVT15119CJS) VAIO Tシリーズ13(SVT13129CJS) VAIO Duo 11(SVD1122AJ)
CPU Core i7-3537U(2.0GHz/最大3.1GHz) Core i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz) Core i7-3687U(2.1GHz/最大3.3GHz)
チップセット Intel HM76 Express Intel HM77 Express Intel HM76 Express
メモリ 8Gバイト(4Gバイト×2/PC3L-12800) 4Gバイト(4Gバイト×1/PC3L-12800) 8Gバイト(4Gバイト×2/PC3L-12800)
ストレージ 1TバイトHDD+キャッシュ用24GバイトSSD 500GバイトHDD+キャッシュ用32GバイトSSD 512GバイトSSD
グラフィックス Intel HD Graphics 4000
液晶ディスプレイ 15.5型ワイド(1920×1080ドット/タッチパネル) 13.3型ワイド(1366×768ドット/タッチパネル) 11.6型ワイド(1920×1080ドット/タッチパネル)

 今回評価した店頭モデルのSVT15119CJSは、SSDキャッシュ+HDDのハイブリッドストレージを採用しているため、高速なSSDを搭載したVAIO Duo 11の2013年春モデル(SVD1122AJ)に比べるとスコアが低いのは否めない。

 しかし、Core i7にデュアルチャンネルアクセス対応の8Gバイトメモリを搭載していることもあって、PCMark 7のスコアは健闘しており、3D描画系のテストでは肉薄、ゲーム系テストのスコアでは上回る場合もあった。

 さらに、タッチパネルが備わったVAIO Tシリーズ13の2012年秋冬モデル(SVT13129CJS)と比較すると、かなりスコアがよい。PCMark 7のSystem storageスコアは若干下がっているが、それ以外のスコアではすべて勝っており、ハイブリッドストレージ搭載のUltrabookとしては、最高レベルのパフォーマンスだろう。

 なお、CrystalDiskMark 3.0.2を2回実行してみたところ、シーケンシャルリードのみ2回目のほうが若干速くなったが、ほかはほとんど変わらなかった。なお、起動時間(電源ボタンを押してからスタート画面が表示され、ウェイトマークが消えるまで)は17秒弱だった。高速なSSDを搭載したモデルは同じ計測方法でだいたい10〜12秒程度で起動するため、それらには負けるが、Windows 7搭載PCと比べれば、十分に高速で快適だと感じられる。

今回試用したVAIO Tシリーズ15(SVT15119CJS)のデバイスマネージャ画面。内蔵HDDはWestern Digital製で9.5ミリ厚、1Tバイト、5400rpmの「WD Blue WD10JPVT」、BD-REドライブはパイオニア製で「BDR-UD2」だった

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア(画像=左)。CrystalDiskMark 3.0.2のスコア1回目(画像=中央)と2回目(画像=右)

PCMark 7のスコア(グラフ=左)。3DMark Vantageのスコア(グラフ=中央)。3DMark06(1024×768)のスコア(グラフ=右)

ストリートファイターIVベンチマークのスコア(グラフ=左)。MHFベンチマーク【絆】のスコア(グラフ=右)

 バッテリー駆動時間は、海人氏のBBench 1.01を利用して測定した。設定は、無線LANで常時接続し、Bluetoothはオフ、電源プランは「バランス」を利用、バッテリー駆動時の液晶ディスプレイ輝度は40%に設定した。BBenchの設定は「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」、WebブラウザはInternet Explorer 10を指定し、タブブラウズはオフに設定している。

 この条件でのテスト結果は、バッテリー満充電の状態から残量5%で休止状態に移行するまで、4時間40分動作した。公称値の約5.5時間には届かないが、このサイズのノートPCとしては十分に長いといえる駆動時間だ。

 動作音もアイドル時や低負荷時は静粛だった。高負荷時には騒音がそれなりに大きくなるが、それも控えめな音だ。ボディが大きいぶん、放熱設計には余裕があるのだろう。発熱の処理も優秀で、本体左側面の排気口付近が最も熱くなるものの、それでも室温22度の環境でボディの表面温度が33度弱と、熱いというほどではない。手がよく触れるパームレストはほとんど熱を帯びることがなく、気温が上がる夏場でも発熱で不快にはならないと思われる。

暗騒音32デシベル/室温22度の環境において、本体手前5センチに騒音計を設置し、動作音を測定した結果(グラフ=左)。室温22度の環境において、3DMark Vantageを実行した直後のボディ表面温度を放射温度計で測定した結果(グラフ=右)

これぞ、Windows 8時代のスタンダードPC

 Ultrabookというと「MacBook Airに対抗しうるような薄さを追求したモバイルノートPCの究極形」のイメージが強いことだろう。このVAIO Tシリーズ15は、そういったUltrabookのイメージで見ると、ピンとこない製品だ。

 一方、据え置き型ノートPC、大画面ノートPCとしては、これまでにないほどスリムだ。モバイルノートPCがベースなだけあって、これまでのスタンダードクラスの大画面ノートPCにはない剛性感、上質感も兼ね備えており、バッテリー駆動時間も長い。騒音、発熱も低く、実にスマートに仕上がっている。

 CPUに低電圧版を採用しているので、通常電圧版のCPUを搭載した、いわゆる「昔ながらの据え置き型ノートPC」よりもCPUパワー自体は譲る場合もあるが、それと引き替えに得られたものは大きい。

 インテルがUltrabookで目指しているものは、モバイルノートPCのみに限らない。もともと要件に薄さの規定はあっても、画面サイズや重量はなく、こういったモバイルノートPCの技術を大画面ノートPCに転用した薄型ノートPCも含まれる。ユーザー数を考えれば、むしろVAIO Tシリーズ15のようなスタイルの製品こそが、Ultrabookのメインストリームといえるかもしれない。

 そして、大画面の液晶ディスプレイにはタッチパネルを搭載しており、Windows 8との相性も抜群だ。欲をいえば、広視野角のIPSパネルを採用してほしかったところもあるが、前述したさまざまな長所と合わせて、VAIO Tシリーズ15の仕上がりは「これこそWindows 8世代のスタンダードPC」だと納得させるだけのレベルにある。

 気になる実売価格は、17万円前後となっている。安くはないが、Core i7や8Gバイトのメモリを搭載するハイスペックな構成で、Office Home and Business 2013もプリインストールされることを考えれば、仕方がないところだ。

 一方、ソニーストアで販売されているVAIOオーナーメードモデルは、8万4800円から販売されており、基本スペックを柔軟にカスタマイズできる。おトクなキャンペーンも実施されており、これをうまく利用すれば買い得感がある構成に組み上げることも十分可能だ。

 例えば、Core i5-3337U(1.8GHz/最大2.7GHz)、8Gバイトメモリ、フルHD液晶、128GバイトSSD、DVDスーパーマルチドライブ、Windows 8、Officeなしといった構成で11万3800円と、かなりリーズナブルな価格になる(2013年2月4日時点の価格)。キャンペーンの内容は随時変わるので、チェックしてみるとよいだろう。

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