実際にプリント、スキャン、コピーを行った様子は、以下の動画を参照していただきたい。プリント時は後部の給紙トレイから前方へ紙を移動させて印刷するスタンダードな仕様(背面給紙/前面排紙)だが、スキャン時は逆に前方の給紙口から後方へ原稿を移動させて読み取る仕様(前面給紙/背面排紙)となっている。
さらにコピーの動作はユニークだ。原稿が後方へ移動するとともに、給紙トレイの用紙が前方へ移動していく。スキャンの速度はゆったりしているが、コピー時のプリント動作は原稿の読み取り動作と平行して行われるため、それほど待たされる印象はない(印刷速度のテスト結果は後述)。
基本スペックは据え置き型の複合機にも引けを取らない。プリントエンジンはOfficejet 100と同様だ。最近のHPプリンタ/複合機は4色独立インクを採用するモデルが増えているが、Officejet 150では顔料ブラックと染料3色カラーの2カートリッジ/4色構成を採用している。ノズル数はブラックが672ノズル、3色カラーが600ノズルだ。印刷速度の公称値(ISO)は、モノクロが約5枚/分、カラーが約3.5枚/分とされている。
インクカートリッジの型番は、ブラックがHP 129(またはHP 131)、3色カラーがHP 135(または大容量のHP 134)だ。いずれもプリントヘッドとインクタンクが一体化したカートリッジを採用する。こうした一体型カートリッジのメリットはヘッドの故障にも直ちに対応できることで、トラブル処理の即時性が求められ、かつ代替手段を確保しにくいモバイルユースには向いている。
一方のデメリットは、プリントヘッドを搭載するぶんだけカートリッジの単価が上昇してしまうことだ。同社直販のHP Directplusにおける販売価格は、ブラックが2730円(HP 129/131とも)、カラーは3276円(HP 135)もしくは4536円(大容量のHP 134)となっている(2013年2月6日現在)。A4カラープリント1枚の公称インクコストは13.1円と、各色独立インクを用いた同社の据え置き型A4複合機に比べて高めだ。
なお、同系のプリントエンジンを採用した他モデルと同様、ブラックカートリッジはオプションのフォトカラーカートリッジ(HP 138)と交換して利用できる。ビジネス向けのモデルで、専用紙へのフォトプリント機能が必要なシーンは少ないだろうが、選択肢が用意されているのはありがたい。
一方のスキャンエンジンは、モバイル機ということもあって小型化に有利なCIS方式を採用する。光学解像度は600×600dpiで、昨今の複合機としてはやや低いものの、主なスキャン/コピー原稿がA4文書となるビジネスユースでは必要にして十分だ。
インタフェースについては、背面にUSBポート(PC接続用、USBメモリ/PictBridge対応デジタルカメラ接続用)、側面の奥にSDHC対応SDメモリーカード/MMCスロットを備えている。小型ボディにこうしたインタフェースも盛り込んでいるのはさすがだ。
USBメモリやSDメモリーカードに保存された画像ファイル(JPEG)を本体だけでダイレクトプリントできるのはもちろん、スキャンしたデータ(JPEG/PDF)をUSBメモリやSDメモリーカードに直接保存することもできる。
Bluetooth 2.0+EDRも内蔵しており、ワイヤレスでのプリント操作も可能だが、残念ながらBluetooth接続でのスキャン操作には対応していない。とはいえ、バッテリーとBluetooth接続によって、外出先で完全にワイヤレスでプリントできるのは便利だ。状況に応じて、単体でのスキャン機能を利用するとよいだろう。
なお、iPhoneやiPadといったiOS端末ではBluetoothでプリンタと接続できないため、Officejet 150と組み合わせての利用はできない。Android端末の場合、Bluetooth接続はできるものの、現状でOfficejet 150用のプリントアプリなどをHPが提供しておらず、汎用のプリントアプリで使えるものを探してくる必要がある。せっかくのモバイル複合機なのだから、今後はiOS端末のAirPrintに対応できる無線LANの内蔵も含め、スマートデバイスへの対応を進めてほしいものだ。
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