ラトック「RAL-DSDHA2」でヘッドフォンのバランス接続を試す! あとルビジウムも野村ケンジのぶらんにゅ〜AV Review(2/2 ページ)

» 2013年02月26日 20時37分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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バランス駆動はヤミツキに

 さて、実際のサウンドはというと、システム的なメリットから想像できてはいたものの、バランスと標準で、かなり表現のダイナミックさにレベル差があることに驚いた。ダイナミックレンジそのものが拡大したことに加え、SN感も良好になっているのだろう、バランス駆動の方が明らかに抑揚表現が豊か。解像度感も高まっており、ライブ音源などは、会場の雰囲気が良く伝わってくる。特にゼンハイザー「HD600」で聴くと、低音の押し出し感がとても強く、素晴らしいグルーブ感になる。標準は純正ケーブル、バランスはオヤイデ製「HPC-HD650BAL」を使ったため、イコールコンディションではないかもしれないが、アコースティック楽器の演奏、特にグルーブ感の良さを存分に味わいたいライブ演奏などは、絶対にバランス接続で試聴することをオススメする。

オヤイデ製「HPC-HD650BAL」

 イコールコンディションといえば、サエク製ケーブルを使い、シュア「SRH1840」でバランス v.s. 標準の音質比較を行ってみたところ、こちらは総合的にはバランスに軍配が上がったものの、標準接続の良さも際立って聴こえた。「あれ、サエクにSRH1840用標準ケーブルってあったっけ?」と、詳しい人ほど思ったかもしれない。実は、サエクから先日バランスヘッドフォン用リケーブル「SHC-B300」シリーズ(シュアSRH1840用、ゼンハイザーHD650/HD800用の3タイプ)が発売されたが、今後標準プラグ用もラインアップ予定となっていて、その最終サンプルもいっしょに借用することができたのだ。

サエクのバランスヘッドフォン用リケーブル「SHC-B300」シリーズ(シュア、SRH1840用)

 全くイコールコンディションのケーブルで、同じヘッドフォンで試聴してみると、両接続の特徴差が良く分かった。「HD600」の時にも感じたのだが、両者ではダイナミックレンジの幅と階調の細やかさが大きく異なってくる。バランス駆動の方が幅広くそれでいて細やかな表現なので、音のリアリティが明らかに向上するのだ。それと同時に、標準接続もなかなかに検討していると感じた。確かにリアルさではバランス駆動に一歩及ばないものの、キレの良さやフォルテッシモの押し出し感は拮抗するレベル。それでいて解像度感はかなりの細やかさを持ち合わせているのだから面白い。

 この迫力と細やかさの両立こそ、「RAL-DSDHA2」本来の実力といえる。だからこそ、ケーブル交換でバランス接続できるヘッドフォンは是非そうしてほしいし、お気に入りのヘッドフォンがバランス化できなかったとしても、「RAL-DSDHA2」の音は満足のいくものだろう。優秀なサウンドを持つ製品だ。

価格は高いが効果も高いルビジウム

ラトックのクロックジェネレーター「RAL-RbOSC1K」。水晶クロックに比べて1万倍も精度が高いとされるルビジウムクロックを採用した。価格は49万8000円

 ちなみに、ラトック製のルビジウムクロック「RAL-RbOSC1K」を接続して、外部クロックによる音の違いも確認してみたところ、これがさらに素晴らしかった。フォーカス感がさらに向上し、わずかに感じていた音荒れまでもが払しょくされ、とてつもなくピュアなサウンドへと生まれ変わったのだ。

 外部クロックはあまりに高価なので(RAL-RbOSC1Kの価格はRAL-DSDHA2の4倍ほど)、あまり現実的な話ではないかもしれないが、この音を一度聴くと、もう外部クロックなしではいられないしれない。そう思ってしまうほどの変化があったことは確かだ。

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