ボディの薄さを追求した半面、給紙機構はシンプルだ。前面下部の給紙カセットは1系統で、A4普通紙の給紙容量は最大80枚となっている。前面での2系統給紙に対応した機種が多い中、1種類の用紙しか給紙できないのは惜しい。従来機と同様、Blu-ray/DVD/CDレーベル印刷機能も省いている。排紙トレイの容量も最大25枚と、大量部数を印刷するのには向かない。ここは自動で開閉するカッコよさとのトレードオフとなる。
PCとの接続インタフェースはUSB 2.0とIEEE802.11b/g/nの無線LANを標準装備。PC環境の対応OSは、Windows XP(SP3以降)/Vista/7/8、Mac OS X 10.6以降だ。
ダイレクトプリントで使用するカードスロット(メモリースティック デュオ、SDHC対応SDメモリーカード、MMCをアダプタなしで利用可能)とUSBポート(PictBridge非対応)も備えている。普段は隠れており、フラットな前面カバーを開けて使う仕組みだ。メディアを差した状態ではカバーが閉まらないので、抜き忘れも防げる。
プリントエンジンは従来から変更がない。インクシステムは染料のシアン、マゼンタ、イエローに顔料ブラックを合わせた4色構成だ。普通紙やはがきに濃くシャープに印字できるように、ブラックのみ顔料インクを採用し、ほかの3色は写真印刷に配慮した染料インクとしている。
インクカートリッジはインクタンクとプリントヘッドを一体化した「HP 121」(または大容量の「HP 121XL」)だ。最近主流の各色独立式インクカートリッジではなく、ブラックと3色一体型の2カートリッジ構成のため、カラーの1色が切れてしまうと、ほかの2色が残っていても交換しなければならない。フォトカラーカートリッジが使用できないため、写真印刷での階調表現などもやや不得意といえる。
プリントヘッドのノズル数はブラックが336ノズル、カラーが全1248ノズルと速度面での不満はない。公称の印刷速度は、L判写真が1枚あたり約45秒、A4普通紙カラーが毎分4枚、A4普通紙モノクロが毎分7枚とされている(印刷速度の測定結果は後述)。
大きく設計を変えたスキャナだが、スキャンエンジンにも変更はない。CISセンサーを採用し、光学解像度は1200dpiだ。昨今の主力複合機に比べると解像度が低いほうだが、フィルムスキャンに対応した機種でもないので、1200dpiもあれば大抵の用は足りる。
前面の操作パネルは、大型のタッチパネル付き液晶モニタが目を引く。前モデルのENVY110は3.45型液晶モニタを搭載していたが、ENVY120ではこれを4.33型に大画面化し、視認性を高めている。液晶モニタは明るく見やすい。
液晶モニタの周囲には操作の状況に応じてホーム、戻る、ヘルプ、キャンセルといったタッチセンサー式ボタンがLEDで浮き上がる仕組みだ。電源を含めてすべてのボタンがタッチセンサーで統一されており、ここでも高級感に配慮している。
タッチパネルは指でなぞるフリック操作にも対応しており、スマートフォンやタブレットを使用している人ならば、すぐに慣れるだろう。ただし、動作が少々重たいのが難点で、スマートフォン感覚で素早く操作すると、誤操作になることも少なくなかった。
メニューの構成は従来のHPプリンタ/複合機のスタイルを踏襲しており、表示エリアを3段に分割したレイアウトを採用する。最上段がステータスや基本設定用のボタン、中段が「Print Apps」のショートカット、下段がダイレクトプリント、コピー、スキャンのショートカットとなる。いずれもアイコンをタップすることで、専用のメニューが表示される仕様だ。
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