8.9型ワイド液晶ディスプレイは、視野角の広いIPSパネルを搭載したことに加えて、液晶パネルに偏光フィルターを採用することで、どの角度から見ても鮮やかな発色とコントラストが得られるよう工夫している。
ディスプレイは光沢仕上げだが、タッチセンサー層を表面ガラスに直接搭載し、通常は表面ガラスと液晶パネルの間に存在するタッチセンサー層と空気層を省いており、そのうえで低反射防止コートも施すことによって、外光の反射や映り込みを少し抑えている(それでも照明やユーザーの姿はかなりはっきり映るが)。
8.9型でフルHDを超える1920×1200ドット(WUXGA)表示に対応し、約254ppiという高い画素密度はiPadの約264ppiには負けるが、「13インチMacBook Pro Retinaディスプレイモデル」の約226ppiを上回る精細さだ。
Kindle Fire HDは1280×800ドット表示で画素密度が約216ppiと、7型クラスでは高レベルのディスプレイだったが、比べて見るまでもなく、Kindle Fire HD 8.9の表示の美しさはすぐに感じられる。HD映像のゲームや高解像度の写真コンテンツを見れば、その実感はさらに深まるだろう。2台を見比べてみると、精細度だけでなく発色でもKindle Fire HDを上回っている印象だ。ただし、色味はやや黄色が強めの傾向がある。
液晶ディスプレイは10点マルチタッチに対応している。表面の摩擦が低く、ツルツルとした手触りで操作性は非常によい。前述したタッチセンサー層と空気層の排除によって、表面ガラスと液晶パネルの表示面が近くなっていることもあり、タッチの感度、精度もまったく問題ない。
画面上でタップして文字入力を行うソフトウェアキーボードは、シンプルなQWERTY配列(フルキーボード)が初期設定だが、テンキー配列(テンキーボード)も選べる。キーボードを横長に表示できる横位置ではQWERTY、表示スペースが狭くなる縦位置ではテンキーといった使い分けも可能だ。
QWERTY配列は数字、日本語、英語が混在する文章を打つ場合、左下の「文字」を連打する必要があり、少々煩わしい。テンキー配列は、フリック入力(キーを上下左右になぞって文字選択)やトグル入力(同じキーを続けてタップして文字選択)にも対応する。
電子書籍のイメージが強いかもしれないが、サウンド面にもこだわっている。高音質化技術の「ドルビーデジタルプラス」に対応したステレオスピーカーとヘッドフォン出力を搭載。ステレオスピーカーは、迫力のあるサウンドでコンテンツが楽しめる。音量を上げても音割れがなく、迫力があり、艶っぽい表現も可能なレベルの高いサウンドだ。音質面ではタブレットデバイスとして屈指のデキだろう。
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