dynabook KIRA V832最大の特徴はやはり液晶ディスプレイだ。標準的な13.3型ワイドの画面サイズながら、他機種を圧倒する2560×1440ドット(WQHD)の高解像度表示に対応し、10点マルチタッチ対応の静電容量式タッチパネルまで内蔵する。
画素密度は約221ppi(pixel per inch:1インチあたりのピクセル数)と「13インチMacBook Pro Retinaディスプレイモデル」の約226ppiに迫る値を実現した。画面に目を近づけてもドットの1つ1つが判別できないほど表示は精細だ。なお、東芝はV832が使用しているパネルについて公開していないものの、TNパネルを搭載しているV632よりも視野角は広かった。
東芝の超解像・映像補正技術「Resolution+」の新機能である「テクスチャエンハンスメント」も写真や動画表示の美しさに貢献している。輪郭の強調や色補正を行うことで写真・被写体本来の質感を再現し、より鮮明な表示を可能とした。映像の場合はフレームごとに解析して補正をかける仕組みだ。
また、同社製テレビのREGZAシリーズと同じく、製造工程で1台1台ディスプレイのカラーキャリブレーションを行っている。ここまでディスプレイの発色にコストをかけたUltrabookは他に類を見ない。Windows 8のスタート画面から精細な表示が味わえるのはもちろん、高画素の写真やHD動画を表示したときの美しさは、他のUltrabookとは比べものにならない驚きがある。ぜひ一度店頭などで確認してもらいたい。
本機のように画素密度が221ppiもあるディスプレイでは、Windows 8標準のスケーリング設定(描画密度)のまま利用するとデスクトップモードでフォントやアイコンが非常に小さく表示されてしまう。スケーリングの設定が100%だと、アイコンの大きさが約10ミリ四方となってしまい、さすがにクリックしにくく、文字も小さくて読みにくい。
そのため、dynabook KIRA V832ではスケーリングの初期設定が166%(カスタム)となっている。スケーリングの変更はコントロールパネルから行えるが、東芝独自の「画面設定ユーティリティ」を使えばさらに簡単に設定可能だ。スケーリングを「大きいテキスト」(185%)、「最適」(165%)、「小さいテキスト」(150%)、「表示領域を最大化」(100%)、「カスタム」の5種類から選べる。
解像度が上がれば作業領域も広がる。2560×1440ドットの場合、表示画素が1920×1080ドットの約1.77倍、1366×768ドットの約3.51倍となる。もちろんスケーリングを調整すればこの差は縮まるものの、広い作業領域を確保できるのは魅力だ。
この広大な作業領域を分割して使うならば「東芝スプリットスクリーンユーティリティ」が便利だ。これは画面の表示領域を仮想的に分割し、アプリケーションのウィンドウを分割した領域の最大サイズに合わせる機能で、画面いっぱいに複数のウィンドウを広げることができる。分割スタイルは4:3(12:9)+4:9とする左右分割タイプ(Windows 8のスナップ機能による画面分割と似ている)のほか、任意のパターンをユーザーが設定できる。
多少使い方に工夫がいる面もあるが、これまでのUltrabookにおいて、フルHDを超える解像度の選択肢を提供しているWindowsマシンはなかった。個人向け用途を意識したUltrabookとして他のマシンにはない価値を提供してくれるのは間違いない。Adobe Photoshop Elements 11、Adobe Premiere Elements 11が付属するので、写真/動画編集用として使うのもよさそうだ。
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