インタビュー
» 2013年04月24日 16時20分 UPDATE

“何となく”なスピーカーで聞く音楽、それは……とても悲しいこと:NEC×ヤマハの国内タッグが追求するPC内蔵スピーカーのクオリティ、そして「ナチュラルサウンド」 (1/3)

NECとヤマハが開発・監修した高品位スピーカーシステム「YAMAHAサウンドシステム」を搭載するPCがある。AV機器ライターの野村ケンジ氏が「AV機器として評することが可能なレベル」というクオリティは、いかにして実現できたのか。NEC×ヤマハの開発担当者に話を聞いた。

[野村ケンジ,ITmedia]

PCは、自宅での音楽再生でもっともよく使われる機器──という事実

photo 「YAMAHAサウンドシステム」を搭載する高性能AVPC「VALUESTAR W」シリーズ

 NECのPCにどんな期待を持っているだろう。PCを選ぶポイントはいくつもあるが、実は「サウンド性能」を追求し、時間とコストをかけてじっくりていねいに開発していること──意外にあまり知られていない。

 中でもハイエンドAV液晶一体型モデル「VALUESTAR W」、デザイン性荷優れる液晶一体型モデル「VALUESTAR N」、そしてハイエンドAVノートモデル「LaVie L」の各シリーズに、「YAMAHAサウンドシステム」と呼ぶスピーカーシステムを搭載する。音響機器・楽器メーカーのヤマハと共同開発し、PC内蔵用としてチューニングされた高品位なスピーカーシステムである。

 それは、「現時点、これ以上やることがないくらい満足のいく完成度に仕上がっている」(NECパーソナルコンピュータ コンシューマ商品企画部の石井宏幸主任)ほどすでに熟成が進んでいるようだ。筆者もVALUESTAR Wを導入し、長期ロードテストを行ったが、よくあるPC内蔵スピーカーとは別格の上質なサウンドを聴かせてくれること、そして(PCのカジュアルプレーヤーではなく)「AV機器」として聞いても、オーディオPCの母艦として導入しても大丈夫と思えるほどの完成度に驚いた。また、自宅での音楽再生でもっとも使われている機器(プレーヤー)はPCとする調査結果もあり、PC利用用途に映像・音楽を楽しむシーンは、もはやあたり前になっている。

 そんな中、NECが「サウンド性能の追求」に至った理由は何か、改めて「YAMAHAサウンドシステムとは何か」。NECパーソナルコンピュータとヤマハ、それぞれの「YAMAHAサウンドシステム」開発チームに話を聞いた。

photo 左から、NECパーソナルコンピュータ コンシューマ商品企画部主任の石井宏幸氏、ヤマハ エレクトロニクス事業本部技術開発室技術補の新井明氏、ヤマハ エレクトロニクス事業本部技術開発室主幹技師の野呂正夫氏

SR-Bass:このサイズで、ここまでの音質が実現できるのか──と驚いた

photo SR-Bass(中央)と既存方式のバスレフ型(左)、密閉型(右)。エンクロージャーの形状はそれぞれ異なる。SR-Bassはバスレフ型のデメリットを補うスイングラジエータと呼ぶ弁を設け、小型でもより効率よく動作する工夫を取り入れている

野村 NECのPCで、「sound by YAMAHA」のロゴが与えられたシリーズは、液晶一体型デスクトップ型の「VALUESTAR W」と「VALUESTAR N」、そしてノート型の「LaVie L」があります。中でも最初に登場したのはVALUESTAR Wでしたね。

NECパーソナルコンピュータ コンシューマ商品企画部主任の石井宏幸氏(以下、石井氏) はい。最初はVALUESTAR Wへ「SR-Bass」と呼ぶ技術を取り入れたYAMAHAスピーカーシステムを、続いてVALUESTAR N、そしてLaVie Lへ、より搭載スペースが限られる省スペースなPCにもインストールできる「FR-Port」技術を用いたシステムを採用しました。とはいえ、モデルチェンジごとにそれぞれ進化していますので、2013年現在の現行モデルもすべて最新バージョンといえます。

野村 何がきっかけでヤマハのスピーカーを搭載しようということになったのでしょうか。

石井氏 最初のきっかけは「この先、デスクトップPCの付加価値をどう考えていくか」を社内で議論・検討していた時のことです。そのプランの1つとして、スピーカーのクオリティを徹底して上げよう=サウンドでも、どのメーカーにも負けられない──が固まりました。以前からコーデック関連などでつきあいのあったヤマハさんに、PC内蔵用として可能な限りいいものを載せたいが何かありませんか、音を聞かせてくれませんかとお願いしたわけです。

野村 そのときあったのが、のちにVALUESTAR Wに採用される「SR-Bassウーファー」を使ったシステムだったのですね。

石井 はい。その音を聞いてまずびっくりしました。このサイズ(キャビネットサイズ)で、ここまでの音質が実現できるのかと。音楽や映画コンテンツをPCでも楽しむ人が急増していましたし、基本的な音のよさ、とくに低音の迫力感へのニーズも総じて高まりつつありました。ぜひこれを、と企画を進めました。

野村 なぜVALUESTAR Wからだったのですか?

石井 高いAV性能を望むユーザー向けとして展開するVALUESTAR Wシリーズにとって、サウンド性能は特に重要な要素です。また、デスクトップ型であれば、設置スペースにも比較的余裕がありますし。そこで、デモで聞いた音をそのまま実現できるようさまざまなトライをしました。

photo VALUESTAR Wは、このSR-Bassウーファーを後面スタンド部に搭載する。かなり強固そうななダイキャストフレームも見える

野村 例えば、どのあたりに苦労されたのですか。

石井氏 SR-Bassウーファーはスペース効率が非常によいシステムです。数ある苦労の中であえて述べると、振動発生を抑えることは特に苦労しました。これほど小さいウーファーから盛大な低音が出るパフォーマンスがあるので、ボディの強度が負けてしまい、ビビリ音が出てしまうのです。

 そこでSR-Bassウーファーの設置場所を工夫かつ強化しました。本体脚部(裏面)にダイキャストフレームを設け、そこに設置しています。これにより迫力の低音出力性能を損ねることなく、PCスピーカーシステムとしてインストールすることに成功しました。

野村 PC内蔵スピーカーは、空いた場所へただ搭載しているだけで普通に音が出ればよい、本体の軽さ・薄さを追求するには設計上のお荷物──的な存在なのかと思っていましたが、それとは違う、いわば「AV機器的な開発」をされているのですね。

石井氏 この時点で、すでに普通のPCとは考えていませんでしたね。おっしゃるとおり、オーディオ機器であるという気持ちで開発を進めていました。こと音質に関しては妥協がないよう、ひたすら高いクオリティ追求していったのは確かです。

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