2点めの特徴として挙げたいのは、高解像度への対応だ。横1920ドット、すなわちフルHDを超える画素数を持ったディスプレイが買いやすい価格になってきているが、当然こうしたディスプレイでも、動画鑑賞時は全画面表示したいもの。
そこでPowerDVD 13では、従来SDのコンテンツのみの対応にとどまっていた超解像技術「TrueTheater」を、HDのコンテンツにも対応させた。と同時に、フルHDを大きく超えるサイズ、例えば4K(3820×2160ドットなど)の動画再生にも対応。対応ディスプレイや高速なPCといったハードウェア上の条件はあるものの、フルHDを超える解像度の動画体験がぐっと身近になった。
今回は2560×1440ドット表示に対応したiiyamaブランドの27型液晶ディスプレイ「ProLite XB2776QS」を使い、ファイルメディアやBlu-ray DiscメディアでフルHDサイズのアクション映画・テレビのバラエティ番組・アニメを何本か見てみた。ちなみにProLite XB2776QSは、フルHDを大きく上回る解像度を実現しつつ、実売6万円台という手ごろな価格で入手できるため、ワンランク上のディスプレイが欲しい人にうってつけの製品だ。
早速、強化されたTrueTheaterを有効にすると、アップスケールだけでなく明るさなどの設定も調整され、精細感が増しつつ、よりメリハリのきいた映像を楽しめた。特に、もともと解像感・コントラストともに高めに作られたアクション映画などのコンテンツはより効果を実感しやすいと感じる。一方、描画があまり緻密でないアニメ作品は効果を実感しにくいかもしれない。
なお、TrueTheaterは、オン/オフはもちろん、各パラメーターの強弱も自分で調整できる。自動設定のままでは、素材によってはエッジが立ちすぎ、ジャギーが強調されて見えるものもあったので、解像感の設定は好みに合わせて調整するとよいだろう。
次に、同じディスプレイで4Kを含むさまざまな高解像度の動画を再生してみた。試用したPCは、Ivy Bridge世代のCore i7と8Gバイトのメモリ、それに「映れば何でもいい」というノリで今年初めに4000円ほどで購入した、PCI Express x16接続のグラフィックスカードを積むデスクトップPCだ。
動作の軽さを身上とするフリーの再生ソフトで同じファイルを再生してみたところ、再生自体はできたもののコマ落ちが激しいものや、そもそも映像部分を認識できなかったものもあり、まともに再生できなかった。もちろん、Windows Media Playerも現時点ではフルHD超の解像度には非対応だ。一方、ソフト自体の動作のキビキビ感はこれらのソフトとほぼ同じ印象のまま、PowerDVD 13は、3K相当や4Kの動画ファイルもさらりと再生してみせた。これはすごい。
フルHDを超える高解像度動画の世界は、テレビを中心に考えると現実にはまだまだ先の話だが、4Kまではいかなくても、PCでHD超の解像度を楽しむ、という範囲であれば、本製品で再生環境を簡単に整備できる。また、3万円台で購入できる「GoPro HERO 3」といったカメラも登場していることをあわせて考えると、すでに身近な存在になっていることを改めて実感させられる。
こうした大きな特徴に加えて、Windows 8のタッチUIへの最適化(Windows 8対応自体は前バージョンから)やユーザーインタフェースのカスタマイズ対応、リモコン操作で動画鑑賞を楽しめるシネマモードの拡張、同一フォルダ内にある動画・静止画の連続再生といった、使い勝手に直結する改良も随所で施され、動画再生を日常的に楽しんでいる人から、PCで動画を見るのは初めてというユーザーまで、幅広い層が自然に利用できるソフトへと仕上がっている。
製品発表会で同社代表取締役社長のピーター・リン氏が語ったという「光学ドライブがなくても是非持ってほしい」というアピールは、決して大げさなセールストークではないというのが、試用を通じての正直な印象だ。実際筆者は、試用を始めてすぐに個人でUltra版を購入。光学ドライブを内蔵していないメインのノートPCに導入し、その直後から高度かつ安楽な動画再生体験を楽しんでいる。
“動画はPCで見るもの”というユーザーにとって、特にハード・ソフト・コンテンツとも常に新しいものへ注目していきたいのであれば、PowerDVD 13は現時点で有力な選択肢といっていい存在だ。
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