続いては、肝心の「バッテリー動作時間」をチェックしよう。バッテリー動作時間は、スマートデバイスの「実利用時の使い勝手」にかなり響いてくる項目である。特に、かつてのスマートフォンで“バッテリーが1日も持たない/これまでのケータイより持たないなんて……”と嘆いたことのある人ほどそう感じているかもしれない。
7型タブレットはスマートフォンよりサイズが大きい分、バッテリーもそれなりに大容量のものを搭載している。タブレット利用において評価が難しいのは、「とはいえ、利用頻度はスマホのほうが高い」ことだ。携帯していても、いざ使う時に「あれ、バッテリーがなくなっていた」では困るし、逆に大容量だからといって大きく重ければ携帯する機会はどうしても減りがちになる。また「高解像度なのはとてもいいが、その分バッテリー消費量も多い」といったジレンマも存在する。このあたりをユーザーニーズに合わせてうまくバランスさせるのがメーカーの腕の見せどころであり、このバランス具合は「使うモチベーションを高める/使い続けるモチベーションを維持できるか、否か」の指針の1つになる。ぜひ、前回のパフォーマンスチェック編の結果とも見比べながら比較してほしい。
まずはバッテリー容量と、動作時間に関するカタログ値をチェックする。3.7ボルト出力(換算)でのバッテリー容量が大きいモデルは、NTTドコモ(Samsung)「GALAXY Tab 7.7 Plus SC-01E」の5100mAh、小さいモデルはGEANEE「ADP-704」の2400mAhだった。
メーカー/販売 | 製品名 | バッテリー動作時間(カタログ値) | バッテリー容量 | 時間単位の電力消費量 | 重量 |
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アップル | iPad mini(Wi-Fiモデル) | 10時間(Wi-FiでのWeb・動画再生)、9時間(WWANでのWeb利用) | 4440mAh(3.72V)(非公開) | 16.5Wh | 308グラム |
アマゾン | Kindle Fire HD 7 | 11時間(Web・動画・eBook再生) | 4400mAh(3.7V) | 16.4Wh | 395グラム |
エイサー | ICONIA TAB A100 | 約5時間(Web利用時)、約4.5時間(720P動画再生)、約250時間(スタンバイ時) | 3060mAh(3.7V) | 11.3Wh | 410グラム |
NTTドコモ(NEC) | MEDIAS TAB UL N-08D | 11.5時間(3G通話時)、570時間(LTE待受時) (データ通信時動作時間非公開) | 3100mAh(3.7V) | 11.5Wh | 249グラム |
NTTドコモ(NEC) | MEDIAS TAB N-06D | 10.1時間(3G通話時)、500時間(LTE待受時) (データ通信時動作時間非公開) | 3610mAh(3.7V) | 13.3Wh | 349グラム |
NTTドコモ(Samsung) | GALAXY Tab 7.7 Plus SC-01E | 700時間(LTE待受時) (データ通信時動作時間非公開) | 5100mAh(3.7V) | 18.8Wh | 344グラム |
Google(ASUSTeK Computer) | Nexus 7 | 10時間(Web・eBook再生)、9時間(動画再生)、300時間(スタンバイ時) | 4325mAh(3.7V) | 16.0Wh | 340グラム |
KDDI(シャープ) | AQUOS PAD SHT21 | 12時間(動画再生)、24時間(静止画表示)、980時間(LTE待受時) | 3460mAh(3.7V) | 12.8Wh | 272グラム |
GEANEE | GEANEE ADP-704 | 3時間 | 2400mAh(3.7V) | 8.8Wh | 312グラム |
GEANEE | GEANEE ADP-705W | 6時間 | 3500mAh(3.7V) | 12.9Wh | 456グラム |
東芝 | REGZA Tablet AT570 | 10時間(動画再生) | 3940mAh(3.7V)(非公開) | 14.6Wh | 332グラム |
ドスパラ | DOSPARA TABLET A071-D15A | 6時間 | 3700mAh(3.7V) | 13.7Wh | 340グラム |
パナソニック | BizPad JT-H580VT | 4.5時間 | 3900mAh(3.7V) | 14.4Wh | 415グラム |
Mobie in Style | edenTAB WiFi +3G | 10時間 | 3850mAh(3.7V) | 14.2Wh | 338グラム |
レノボ・ジャパン | IdeaTab A2107A | 約10時間(Wi-Fi接続時) | 3550mAh(3.7V) | 13.1Wh | 400グラム |
※並びはメーカー/販売名で五十音順 |
なお、正式スペックとしてのバッテリー動作時間表記はメーカーや通信事業者によって条件がかなり異なる。“動画再生時”での表記が多い傾向だが、実際の使い方は利用者、そして時間帯、いる場所などによってかなり変わる。動画再生はバッテリーを比較的多く消費する使い方になるので“目安”にはなるが、やはりどれが優れるかは比較しにくい。
ということで、条件を統一して比較してみよう。今回は、
に設定・検証環境を統一し、「バッテリーHDプロ」アプリで状態を監視しながらバッテリー切れで電源がオフになるまでの時間を計測した。なお、iOS搭載モデルはPVSTAR+ PROの代わりに同等機能を持つ「LoopTube HD」を使用した以外の条件は同じとなる。
結果は、東芝「REGZA Tablet AT570」が実動約500分(約8時間20分)で唯一の8時間超え。NTTドコモ(Samsung)「GALAXY Tab 7.7 Plus SC-01E」が同470分(約7時間50分)、Google「Nexus 7」が同440分(約7時間20分)、アップル「iPad mini」が同420分(約7時間)。以上が7時間越えのモデルだ。
カタログ値、そして期待値とは少し異なる結果となったモデルもあったが、今回は統一条件として「(バッテリーを多く消費する)ディスプレイ輝度を最大に」を課していることはご理解いただきたい。「第2回 ディスプレイの表示範囲、美しさ、見え方はどう違う?」でも触れたが、例えばKDDI(シャープ)「AQUOS PAD SHT21」のようにディスプレイ明るさに余裕があるモデルは、明るさを自分が見やすいよう調整(暗めに調整)することでバッテリー消費量を低く抑える=実際の動作時間をより延長させられる可能性は高くなる。
実際に外出時含めて数日間活用した感覚としては、上記テストで「300分以上」連続使用できる性能があれば「数日の活動時間はまるごと充電なしで大丈夫」と判断できた。4時間台以下のモデルも「1日の活動時間ならおそらく大丈夫」だが、動画再生時などより多く電力を消費するシーンでは、バッテリー残量が目に見えて減っていることが分かる感じである。
ちなみに、パナソニック「BizPad JT-H580VT」は、防水/防じんのタフな法人向けモデルとして「バッテリー着脱」が可能な仕様、つまり、スペアバッテリーがあれば動作時間を2倍、3倍に延長させられる。また、今後の運用コスト(消耗品の交換など)も低く抑えられるメリットがある。業務シーンへのバッテリー関連の仕様は、実動作時間以外にこういったことも評価ポイントにしておきたい。
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