ソニーの美しき薄型ホームノートPCは中身もスマートか?――「VAIO Fit」実力診断(後編)15.5型/14型の液晶と性能をじっくり比較(3/3 ページ)

» 2013年05月10日 11時00分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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バッテリー駆動時間、動作時の騒音や発熱は?

 バッテリー駆動時間は、海人氏のBBench 1.01を利用して測定した。BBenchの設定は「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」、WebブラウザはInternet Explorer 10を指定し、タブブラウズはオフに設定している。本体側の設定は、無線LANで常時接続し、Bluetoothオン、NFCオン、電源プランは「バランス」、ディスプレイの輝度は40%とした。ただし、今回試用したVAIO Fit 15の評価機はいくら充電しても残量が89%より多くならなかったため、89%からのスタートだ。

 テスト結果は、満充電の状態から残量5%で休止状態に移行するまで、VAIO Fit 15が3時間27分、VAIO Fit 14が4時間47分動作した。VAIO Fit 14に関しては、公称値に及ばないものの、使用条件を考慮すると妥当な駆動時間だ。家庭内で持ち運んで使うノートPCとしては、十分なスタミナといえる。VAIO Fit 15については、やはり評価機のバッテリーまわりに何らかの不具合があり、製品版では改善されているだろう。

 動作中のボディは、どちらも奥側中央部が発熱する。発熱はアルミニウム製のパームレストにまで伝わってこないが、キーボードはそれなりに温まってくる印象だ。とはいえ、熱が不快と感じるほどではない。

 静音性はまずまずといったところだ。アイドル時や低負荷時でも動作していることが分かる程度のファンノイズは認識できる。静かな部屋では、タイミングによってHDDの動作音も気になるかもしれない。高負荷時にはファンの回転音がそれなりに大きくなるが、それでも控えめな音だ。

室温26度の環境において、3DMark Vantageを実行した直後のボディ表面温度を放射温度計で測定した結果(グラフ=左)。暗騒音32デシベル/室温26度の環境において、本体手前5センチに騒音計を設置し、動作音を測定した結果(グラフ=右)

スリムでスタイリッシュに進化した新世代のホームノートPC

 VAIO Fitは2013年5月18日(ピンクのモデルのみ6月1日)に発売される。予想実売価格は、VAIO Fit 15の店頭向け上位モデル(SVF15A18CJS・B・P)が18万円前後、CPUをCore i5-3337U(1.8GHz/最大2.7GHz)に変更した下位モデル(SVF15A17CJS・B・P)が16万5000円前後だ。また、VAIO Fit 14の店頭モデル(SVF14A19CJS・B・P)は15万円前後と予想される。いずれもMicrosoft Office Home and Business 2013やAdobe Photoshop Elementes 11、Imagination Studio VAIO Editionといったアプリを含めた価格となる。

 さらに、ソニーストアで購入できる直販のVAIOオーナーメードモデルならば、VAIO Fit 14が6万9800円から、VAIO Fit 15が7万4800円から購入でき、予算や用途に応じてハードウェアとソフトウェアの仕様をカスタマイズすることも可能だ。

 大画面ノートPCは通常電圧版のCPUを使う製品が多いが、VAIO Fit 15/14ではあえて超低電圧版のCPUを使うことで、ホームノートPCとしての使い勝手を損なわない装備と、Ultrabook級にスリムかつスタイルのよいボディを両立することに成功した。精細な表示の液晶ディスプレイにタッチパネルを搭載し、Windows 8をタッチ操作で楽しめるのもポイントだ。

 Ultrabookの「VAIO T」シリーズで示した進化の方向性をより明確にし、本格的にホームノートPCとして展開したモデルがこのVAIO Fitだろう。1つ1つの要素を見れば特別目立つものではないが、ありそうでなかった組み合わせの製品であり、据え置き利用がメインのホームノートPCとして、このフォルムや存在感は新鮮な印象があるはずだ。

 技術の向上に裏付けられた確かな進化、Windows 8時代を実感できるモデルに仕上がっている。

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