今回の評価機で採用されているGeForce GTX TITANは、NVIDIA製ビデオカードの中では最上位に位置するモデルだ。スーパーコンピュータで使用されているアーキテクチャを元にしていることから、従来のNVIDIA製品とは異なる名称が付けられている。
GeForce GTX TITANも近年のNVIDIA製GPU同様、GPU Boostという冷却状況に応じて動作クロック周波数を上昇させる機能が用意されている。メーカー規定のコアクロックは837MHz、Boostクロック時は876MHzと規定されている。しかし、GPUクーラーの冷却能力が十分に高い場合、こうした規定クロック以上の速度が出るように設計されているのだ。
今回はベンチマークテストを使用して性能を測る以外に、水冷ユニットの採用によりどれくらいGPUの自動オーバークロック機能が有効に動作するかもチェックしてみた。
ベンチマークテストは、総合的なシステム性能を計測するPCMark7、グラフィックス性能を測る3DMark 11および3DMark Vanrageを実施している。
一方、CPUやGPUの温度、動作クロックのモニタリングには、最大値と最小値が簡単に確認できる「Open Hardware Monitor」を使用。さらに水冷ユニットの温度性能を測るため、OpenGLベンチマークソフト「FurMark1.10.6」とシステム負荷ソフト「OCCT4.4.0」を同時に1時間連続で動作させてて水冷ユニットの温度変化を計測した。
まずはPCMark7でのスコアだが、さすがにハイエンド環境だけあって、全体的なスコアは非常に高いものとなった。しかし、それ以上に強烈なスコアとなっているのが3D系ベンチマークだ。3DMark 11のPerformanceの3Dmark値は12974と1万を余裕で越えるスコアを叩き出している。
3DMark 11および3DMark Vanrage、MHFベンチマークソフトすべてで、以前紹介したサイコム製の「G-Master Hydro-GK」に搭載されているGeForce GTX 680と比較しても、頭1つ抜けた性能を持っていることが分かる。なお、ゲームベンチとして行ったMHFベンチマークソフト【大討伐】は、1920×1200ドットの解像度設定で、24607という結果になった。
自動オーバークロック機能の効果についても検証してみる。3DMark 11時のGPUコアの最高動作クロックは993MHzで、定格のBoostクロック時876MHzよりもかなり高いクロック速度だ。ちなみに3DMark 11計測中の平均動作GPUコアクロックは941MHzで水冷ユニットによりオーバークロック機能が安定して効いていることが確かめられた。
次に1時間連続動作の水冷ユニットの温度変化をチェックしてみよう。GPUコア温度は低負荷時では32度、高負荷時では74度という結果になった。比較となる対象物がないため、この動作温度が低いかどうかには言及しにくいが、ネットで公開されているGeForce GTX TITANのコア温度測定では80度前後の数字も見られることから、十分な冷却性能を有していることと予想できる。
続いてCPUパッケージ温度は低負荷時で36度、高負荷時で65度となった。こちらもCPUとテスト環境が異なるので直接の比較はできないものの、「G-Master Hydro-GK」のときにも比較対象にしたCore i7 3770K空冷リテールのCPUパッケージ温度は低負荷時で37度、高負荷時で79度であったことを考えると、水冷ユニットの冷却能力が十分に発揮されていることが分かる。
水冷テスト | 低負荷時 | 高負荷時 |
---|---|---|
CPUパッケージ温度(℃) | 36 | 65 |
GPUコア温度(℃) | 32 | 74 |
動作音(dbA) | 36.2 | 45.3 |
参考Core i7 3770K空冷リテールの温度(℃) | 37 | 79 |
テスト結果からも見て取れるように、水冷ユニットによる高い冷却効果により強力なGPUをさらに生かすシステムになっていることが分かる。水冷ユニットを2台搭載している分、ポンプが冷却液を送り出すための作動音はある程度するが、冷却能力を考えると妥協できる範囲だ。
水冷ユニットがあれば、猛暑になった場合でも十分にCPUやGPUの性能を生かすことができるだろう。自作で水冷ユニットをGPUに取り付けるのは、リテールクーラーの取り外しなどの過程が必要となるため手間がかかるが、サイコムのBTO製品であればこうした手間は不要だ。安定した高性能を求めるのであれば、「G-Master Hydro-X79」は選択に値する製品といえるだろう。
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