「VAIO Pro 11」「VAIO Pro 13」徹底検証(前編)――ソニーがHaswellで実現した“世界最軽量”タッチ対応UltrabookVAIO Z/VAIO Tとの比較も(5/6 ページ)

» 2013年06月12日 12時30分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

システムレベルで大幅な省電力化が可能な第4世代Core

 基本システムには、第4世代Coreを中心としたインテルの新世代プラットフォームを採用。Ultrabook/薄型ノートPC向けとされる低消費電力のUシリーズを搭載している。

 第4世代Coreは新命令のAVX2(Advanced Vector Extensions 2)をサポートするとともに、それに合わせて内部構造を改良し、浮動小数点演算のピーク性能を2倍に向上させた。もっとも、これはAVX2を前提にした数字で、AVX2対応ソフトウェア以外では性能面のメリットはさほど大きくない。

 Uシリーズの大きなメリットは省スペース性と省電力性能にある。CPUパッケージに、CPUのダイとチップセットのダイを実装するため、システムの省スペース化が容易になっているのだ。さらに、C8〜C10というCPUの新たなアイドルステート、およびS0ix(S0i1/S0i3)というチップセットを含めたシステムレベルのアイドルステートをサポートしており、大幅な省電力化が可能となった。

 もっとも、これらの機能による省電力効果はLTR(Latency Tolerance Report)と呼ばれる割り込みを最適化するための仕組みや、LPM(Link Power Management)といったデバイス側の省電力対応など、メーカー側の作り込みに左右される部分も多く、メーカーの設計能力が問われることになる。

第4世代CoreのUシリーズは、CPUとPCHを1つのBGAパッケージに統合し、ノートPCのさらなる省電力化、小型化、薄型化に貢献する(写真=左)。Windows 8のConnected Stanbyには対応しないが、Intel Smart Connect Technologyにより、似たようなことは可能だ(画像=右)。つまり、スリープ時に一定間隔でインターネット接続し、情報更新(メールチェックなど)を行なえる

店頭モデルの基本スペックはVAIO Pro 11/13で共通

 店頭モデルの基本スペックは、VAIO Pro 11とVAIO Pro 13で変わらない。CPUはCore i5-4200U(1.6GHz/最大2.6GHz)を採用している。TDP(熱設計電力)が15ワットのデュアルコアCPUでHyper-Threadingにより4スレッドの同時実行が可能だ。Turbo Boost 2.0に対応し、高負荷時には動作クロックが最大2.6GHzまで上昇する。

 グラフィックス機能はCPU内蔵のIntel HD Graphics 4400を利用する。GT1/GT2/GT3に大別される第4世代Coreの内蔵グラフィックスのうち、GT2グレードに該当するものだ。実行ユニット(Execution Unit)数は20基で、上位グラフィックスの「Iris」ブランド(GT3)が持つ40基の半分となるが、第3世代Core内蔵グラフィックスのIntel HD Graphics 4000(16基)より増えている。DirectX 11.1に対応し、最大動作クロックは1.0GHzだ。

CPU-Zの情報表示。VAIO Pro 11、VAIO Pro 13とも店頭モデルはCore i5-4200U(1.6GHz/最大2.6GHz)を搭載する(画像=左/中央)。TDP 15ワットのデュアルコアCPUでHyper-Threadingにより4スレッドの同時実行が可能。Turbo Boost 2.0に対応し、高負荷時には動作クロックが最大2.6GHzまで上昇する。3次キャッシュは3Mバイトだ。GPU-Zの情報表示(画像=右)。グラフィックス機能には、CPU内蔵のIntel HD Graphics 4400を利用する。DirectX 11.1に対応、実行ユニットは20基内蔵している。最高クロックは1.0GHz(VOMモデルで選択できるCore i7-4500Uの場合は1.1GHz)だ

VAIO Pro 11、VAIO Pro 13ともメモリはDDR3L-1600をオンボードで実装し、店頭モデルの容量は4Gバイトだ(画像=右)

 メモリはDDR3L-1600を用いており、4Gバイトをオンボードで実装している。薄型軽量のモバイルノートながら、デュアルチャンネルアクセスが可能だ。データストレージは128GバイトのSerial ATA 6Gbps対応SSDを搭載している。今回入手した評価機は「TOSHIBA THNSNH128G8NT」を採用していた。

 液晶ディスプレイはどちらもIPS方式で1920×1080ドット(フルHD)表示に対応。独自のカラーフィルターで色域を広げた「トリルミナスディスプレイ for mobile」を採用しており、発色がよい。バックライトの光を正面に集中させる設計で省電力に配慮した「集光バックライト」、超解像技術の「X-Reality for mobile」、用途別の「色モード」設定(あざやか、ナチュラル、テキスト)などの機能も盛り込んだ。

 ボディにはステレオスピーカーとデュアルマイクを内蔵し、CLEAR PHASE、xLOUD、S-FORCE Front Surround 3D、ClearAudio+モードといった音響効果に対応する。

VAIO Pro 11(写真=左)とVAIO Pro 13(写真=右)の液晶ディスプレイ。どちらも1920×1080ドット(フルHD)表示に対応した液晶ディスプレイを採用する。「トリルミナスディスプレイ for Mobile」の採用により、発色がよい

 通信機能は、IEEE802.11a/b/g/n準拠の無線LANとBluetooth 4.0+HS、NFCを標準装備する。NFCはタッチパッドの下に埋め込まれており、タッチパッドに対応製品をかざして使うユニークな仕様だ。一方、WiMAXやLTEのオプションは用意されていない。

 本体装備の端子類は、SDXC対応SDメモリーカードスロット、HDMI出力、2ポートのUSB 3.0(1基はUSB給電に対応)、ヘッドフォン出力(ヘッドセット対応)がある。液晶ディスプレイ上部には、高感度撮影に強い"Exmor R for PC" CMOSセンサーを採用したHD Webカメラ(有効92万画素)も装備している。

VAIO Pro 11の前面にはSDXC対応SDメモリーカードスロットを配置(写真=左)。背面はアルミニウムのヒンジ部で占有され、インタフェース類はない(写真=右)
VAIO Pro 11の左側面にはACアダプタ接続用のDC入力と排気口を用意(写真=左)。右側面には2基のUSB 3.0、HDMI出力、ヘッドフォン出力が並ぶ(写真=右)
VAIO Pro 13の前面(写真=左)と背面(写真=右)にインタフェース類はない
VAIO Pro 13の左側面にはACアダプタ接続用のDC入力と排気口を配置(写真=左)。右側面にはSDXC対応SDメモリーカードスロット、2基のUSB 3.0、HDMI出力、ヘッドフォン出力を装備する(写真=右)
見た目はただの左右ボタン一体型タッチパッドだが、この下にNFCを内蔵している(写真=左)。液晶ディスプレイの上部には、"Exmor R for PC" CMOSセンサー採用のHD Webカメラ(有効92万画素)を内蔵(写真=中央)。HDMIに接続してアナログRGB出力を行うVGAアダプタ「VGP-DA15」(1980円)もオプションで用意する(写真=右)

 OSは64ビット版Windows 8をプリインストール。オフィススイートとしてMicrosoft Office Home and Business 2013も導入している。その他の付属ソフトウェアは、おなじみのVAIO独自アプリを中心としたラインアップだ。

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