……決して責めているのではない。
新しいキーボード(6列プレシジション・キーボード)もこれまでと変わらぬこだわりが宿っているのはよく分かる。7段配列という看板はなくなっても、また新たな神話ができる可能性はあるだろう。そのためには、改めて製品で証明しつつ、アピールしていく必要がある。当然、新しいキーボードをアピールするのはいいが、その際に7段配列を引き合いに出す際には慎重を期する必要がある。
レノボはこれまで「調査の結果、7段配列にこだわるユーザーは少なかった」と言ってきている。配列だけならそうだと思う。常識で考えれば当然のことだ。しかし、それはあくまで7段配列の表面的な部分に対してのことにすぎない。古くからのThinkPadユーザーにとって「7段配列」という言葉は、配列だけでない、こだわりすべてひっくるめた象徴としての「7段配列」になってしまっている(と、筆者は思う)。それに思い入れがないわけがない。そういうユーザーに対する配慮が欠けていなかったか。
はっきり言おう。たとえ配列だけの意味で使われているであろうと理解しているつもりでも、レノボ自身やメディアの人間(といいつつ自分もそのはしくれではあるが)から7段配列を否定されるのは気分がよろしいものではない。ThinkPadのこだわりの象徴であった(と筆者は思っている)7段配列に対するリスペクトが足りないと感じるのだ。そんな風に思ってしまうことが前述したもやもやの原因だと思う。
ThinkPadにおいて「7段配列」という言葉が表現していたもの……それは開発陣、営業部門、メディア、ユーザー、ThinkPadに関わったすべての人によって作り上げられてきた財産であるはずである。捨てるべきものではなく、受け継いでいくべきもの。これからもまだまだThinkPadに7段配列の影はつきまとうだろうが、「(すべてひっくるめて)7段配列への敬意」、何があってもこれだけは忘れないでいただきたいと切に願うわけである。
形としての7段配列はなくなった。ただ「ThinkPad X1 Carbon」の6列プレシジション・キーボードにもその魂はしっかりと宿っていると感じる。時代の変化によるコストダウンだと評されることもあるようだが、改めて触れると過去の製品よりもよくなっている部分にも気づいた。そのあたりは次回以降、掘り下げていきたい。
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