「Iconia W3-810」実力診断――世界初“8.1型”Windows 8タブレットは使えるか?Office付きで6万円前後(2/3 ページ)

» 2013年07月08日 19時15分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

Clover Trail搭載Windows 8タブレットとして標準的な仕様

CPU-Zの情報表示。タブレット向けに開発されたAtom Z2760を採用。2つのCPUコアとGPUコア、チップセットの機能をワンチップに集積したSoCだ

 冒頭で述べた通り、基本システムにはClover Trailの開発コード名で知られるAtom Z2760を採用している。

 Atom Z2760は、Intelが開発したタブレットデバイスに最適化したSoCだ。2つのCPUコアとGPUコア(Power VR SGX 545)、そしてチップセットの機能をワンチップに集積し、省スペースおよび省電力化を実現している。CPUの動作クロックは1.8GHzで、Hyper-Threadingにより4スレッドの同時実行が可能だ。

 メモリはLPDDR2 SDRAMを2Gバイト、ストレージはeMMCを64Gバイト内蔵している。初期状態ではWindows上でストレージ容量が49.39Gバイトと認識されており、約29.7Gバイトがユーザーの使用できる領域だった。やはり中長期で使うことを考えると、microSDXCカードでストレージを増強したいところだ。

 プリインストールOSは32ビット版のWindows 8だ。また、オフィスソフトとしてMicrosoft Office Home and Business 2013を標準で導入している。

 Windows 8ストアアプリは、EvernoteやSkypeのほか、Acer Crystal Eye(Webカメラユーティリティ)、Acer Explorer(チュートリアル)、TuneIn Radio(インターネットラジオ)、Shark Dash(ゲーム)、Cut the Rope(ゲーム)、Skitch(簡易写真編集)、Social Jogger(SNS活用)などを用意。デスクトップアプリは、Acer Recovery Management(リカバリ管理)、AcerCloud(クラウド管理)、AcerCloud Docs(クラウド管理)、clear.fi Media(メディア再生/共有)、clear.fi Photo(写真管理/共有)などを備えている。

Iconia W3-810に付属するアプリ一覧

タッチ操作でWindows 8を楽しめる絶妙なサイズの液晶ディスプレイ

8.1型ワイド液晶ディスプレイは、1280×800ドット表示で画素密度が約186ppiとなる

 内蔵の8.1型ワイド液晶ディスプレイは、表示解像度が1280×800ドット(アスペクト比16:10)、画素密度が約186ppi(pixel per inch:1インチあたりのピクセル数)だ。液晶パネルはTN方式を採用する。

 1280×800ドットという解像度はNexus 7と同じで、約186ppiの画素密度は一般的なWindows搭載ノートPCに比べると高い。しかし、ノートPCよりも目から近い距離で使うタブレットだけに、特に意識せずともドットは意外に視認できてしまう。同じ表示解像度のNexus 7とは画面サイズが1.1インチ違うだけだが、Nexus 7ほどの精細感はない。

 輝度は350カンデラ/平方メートルと高く、表面の光沢仕上げも相まって、正面から見るぶんには十分な明るさがあり、写真なども鮮やかに見える。ただし、視野角は上下/左右とも狭く、画面を見る角度がズレると暗く見え、色味が変化してしまう。光沢仕上げによる照明の映り込みはタブレットとして仕方がないが、表面に粒状の乱反射が生じるので、じっと見ていると少し目が疲れやすい印象だ。色味や階調表現などは素直でそう悪くないが、見る角度が安定しないタブレットとして、特に視野角の狭さはマイナスとなる。

 液晶ディスプレイには5点マルチタッチ対応の静電容量式タッチセンサーを搭載しており、指で画面に直接触れて操作できる。指の滑り具合や感度は、特別優れているわけではないが、小型タブレットとして必要十分な水準を満たしており、総じて滑らかで快適な操作感といえる。

横位置でのWebブラウザは、文字サイズが大きい半面、情報量が減りがちだ(画像=左)。縦位置では、縦に長いWebページも余裕を持って表示できるが、小さい文字は拡大しないと読みづらい(画像=右)
一般的な縦に長いWebページは、横位置よりも縦位置のほうが一覧性が高く見やすい。片手で本体を持ちながら、2本の指で拡大/縮小などの操作も自然にできる
横位置で手に持ってソフトウェアキーボードを使う場合、全体に大きく表示するデザイン(画像=左)より、左右にキーを分割したデザイン(画像=右)にして、2本の親指でポチポチ入力するのがやりやすい。日本語入力では、変換候補がキーボードの直上ではなく、文字入力をしている場所の近くに表示されるため、使っているアプリによって、変換候補を選ぶのに指の移動量が増えるのは難点だ
縦位置では本体の幅が短くなるので、2本の親指を使った入力がよりスムーズに行える(画像=左/中央)。手書きの文字認識によるテキスト入力も可能で、文字を書く十分なスペースがある(画像=右)
横位置でのソフトウェアキーボードによる文字入力は、左右にキーを分割したデザインに切り替えると使いやすい。縦位置表示に変更すると、2本の親指が各キーに届きやすくなるので、標準的なキーレイアウトで無理なく入力可能だ。変換候補がキーボードの直上ではなく、文字入力をしている場所の近くに表示されるため、指で変換候補を確定させるのには少々手間取る

 OSのdpi設定はOS標準の「小(96dpi)」に設定されており、デスクトップのアイコン(中アイコン)サイズは、直径6ミリほどだ。Windows 8タブレットで一般的な10型クラス(1366×768ドット)の表示に比べると少し小さいが、タッチ操作に大きな支障が生じるほどではない。小さな画面での操作がやや苦手な筆者でも、慣れていくうちに、ウインドウの「閉じる」や「最大化」ボタン、右クリックメニューなどのタップもさほどミスせず行なえた。

 ただし、指で操作するならば、これがギリギリのサイズとも感じる。この8.1型ワイドの画面サイズで1280×800ドットの表示画素数、96dpi(どんなアプリケーションでも表示が崩れることがない)は、実は絶妙なところでバランスがとれていると感じる。これで表示が細かすぎてタッチしづらい場合は、dpi設定を125〜200%に変更し、アイコンやメニューを大きく表示することも可能だ。

デスクトップ画面も指でのタッチで何とか操作できる大きさとなっている。ウインドウの小さな「閉じる」や「最大化」ボタン、右クリックメニューなどのタップも、慣れればさほどミスしないで操作できるだろう。dpi設定でより文字やメニューを大きく表示することも可能だ

 なお、Windowsストアアプリのスナップ機能(1つの画面に2つのアプリを表示させる機能)を利用するには1366×768ドット以上が必要なため、Iconia W3-810では使えない。もっとも、スナップ機能自体、現状であまり有効に使われているとはいい難い機能のため、問題になることはほとんどないだろう。

 ステレオスピーカーは、縦位置での底面部に内蔵されているため、横位置より縦位置のほうが自然でよい音に聞こえる。スカスカというほど貧弱ではないが、小型タブレットなりという音質だ。

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