MacBook AirやVAIO Pro 13の高速化に貢献――Samsungの「PCIe M.2 SSD」とは?“3Gバイト/秒”リードの怪物級SSDも(2/3 ページ)

» 2013年07月23日 00時00分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]

SSDインタフェースはSerial ATAからPCI Expressへ

技術セッションに登壇したKeunSoo Jo氏

 続いて行なわれた技術セッション(Next Generation SSD)では、近い将来のSSDの展望などが語られた。

 スピーチを行なったKeunSoo Jo氏(メモリプロダクトプラニング&アプリケーションエンジニアリングチームのシニアエンジニア)は、ストレージとしてのSSDのメリットを改めて強調。SSDの性能が進化したことから、Serial ATA 6Gbpsが速度的にボトルネックになっていると指摘し、今後はPCI Express(以下、PCIe)が使われると述べた。

 同氏は、PCIeのメリットとして、広帯域、スケーラビリティ、低レイテンシ、高エネルギー効率の4点を挙げる。PCIeのデータ帯域はPCIe 3.0 x4で約4Gバイト/秒(片道)と、Serial ATA 6Gbps(600Mバイト/秒)の6倍以上にものぼる。さらに、レーンの増減で帯域を調整でき、必要ならば最大16レーン(PCIe 3.0ならば片道約16Gバイト/秒)まで拡張できるスケーラビリティを備えているため、さまざまな用途へ展開できるという。

 また、これまではCPUとの通信の際にSerial ATAとPCIeのプロトコル変換がオーバーヘッドになっていたため、PCI ExpressでCPUと直結することで、レイテンシを削減できると説明した。また、高速な転送ができるぶんデータあたりの電力が低く、エネルギー効率もよいという。

 Samsungでは既に業界に先駆け、PCIeインタフェースのM.2(旧NGFF)フォームファクタ採用SSD「Samsung XP941」を出荷しており、コンシューマーPCでの採用実績があることをアピールした。M.2とは、mSATAより小型化、薄型化を実現した新しい小型SSD用フォームファクタ。SATAとPCIe接続をサポートするほか、従来はPCI Express Mini Cardで提供されていた無線LANモジュールなどにも利用できる。XP941のサイズは80×22ミリだ。

 実際、第4世代Coreプロセッサーを搭載したアップルの新型「MacBook Air」やソニーの「VAIO Pro 13」(VAIOオーナーメードモデル)において、Samsung製PCIe M.2 SSDの採用が確認されている。

Serial ATAインタフェースがSSDにおける速度向上のボトルネックになっており、PCIeに移行することでデータ帯域は6倍以上にものぼる(写真=左)。次の10年はPCIeがストレージインタフェースの主力になる。PCIeは、広帯域、スケーラビリティの高さ、レイテンシ削減、エネルギー効率改善の点でメリットがある(写真=右)
Serial ATAとPCIe(PCIe 3.0 x1)の帯域の違い。インタフェース帯域を道路の制限速度に例えている。同じ速度が出せる車でも制限速度が遅い道路では速く走れない
Serial ATAとPCIeのレイテンシの違い。Serial ATAとPCIeのプロトコル変換がオーバーヘッドになっている
PCIeはレーンを増やすことで帯域を柔軟に拡張でき、スケーラビリティが高い
HDDとの互換性のために使われていた2.5インチ/1.8インチのレガシーなフォームファクタから解放される(写真=左)。PCIe SSDのために新しいM.2(旧NGFF)フォームファクタを策定しており、薄型ノートPCなどへの実装が容易になった。エンタープライズ向けにも新たなフォームファクタを用意した(写真=右)。ホットスワップを前提に、メンテナンスしやすいモジュラー形式のフォームファクタとなっている
Ultrabook/薄型ノートPC向けにM.2フォームファクタ採用のPCIe SSD「Samsung XP941」が出荷済みであることを紹介し、業界におけるイニシアティブを強調した(写真=左)。しかし、その後には「Have we done enough?」と、意味深なメッセージが……(写真=右)

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