タブレットもUltrabookも1台で済ませたい人へ――。
2013年夏モデルで東芝が発表した「dynabook V713」は、着脱式のディスプレイを採用したUltrabookの新シリーズだ。キーボード部からディスプレイ部を取り外すと、11.6型のWindows 8タブレットとして利用できる。合体した状態ではクラムシェル型のUltrabookとして扱える2in1スタイルのため、シーンに応じて自由な使い分けが可能だ。
本機は同社のコンバーチブルUltrabookとしては2台目だ。2012年秋冬モデルから展開していた最初のコンバーチブルUltrabook「dynabook R822」は、ディスプレイをスライドさせて変形させるというメカニカルな機構が魅力的である一方、タブレットスタイルでも約1.49キロという重量が課題となった製品だった。
その点、V713はタブレット単体での重量が約870グラム(上位モデル「V713/28J」の場合)と持ち運びやすい。CPUには第3世代Coreプロセッサー(開発コード名:Ivy Bridge)の中でも低消費電力を特徴とする「Y」シリーズを採用し、Atom Z2760(1.8GHz)搭載のWindows 8タブレットより高性能を実現しつつ、バッテリー動作時間は公称約7時間を確保した。
デジタイザスタイラスによる筆圧対応のペン入力も見逃せないポイントだ。摩擦抵抗を調整し、紙に書くような書き心地を目指したディスプレイも含め、高性能・高機能なコンバーチブル型Ultrabookに挑戦した意欲的な製品と言える。
ラインアップはデジタイザを搭載する上位モデルの「V713/28J」と、非搭載の標準モデル「V713/27J」の2モデルを用意する。今回は上位モデルをベースに、ストレージ容量などを強化した直販モデル「dynabook V713/W1J」を入手したので、使い勝手やペンの書き心地、性能を見ていこう。本機の主なスペックは以下の通りだ。
dynabook V713/W1Jの基本スペック | |
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CPU | Core i5-3339Y(1.5GHz、最大2GHz) |
メモリ | 4Gバイト(4Gバイト×1、DDR3-1600) |
ストレージ | 256GバイトSSD |
画面サイズ(解像度) | 11.6型ワイド(1920×1080ドット) |
グラフィックス | Intel HD Graphics 4000 |
価格 | 14万9800円〜(税込み) |
タブレット部はボディの外側に高剛性樹脂を、内側にマグネシウム合金を採用しており、100kgf(重量キログラム)の面加圧や76センチからの落下試験、30ccの防滴テストをクリアする高い堅牢性を備えた。本体サイズは299(幅)×189(奥行き)×12.4(高さ)ミリと、11.6型タブレットとしては標準的なサイズだ。重量はカタログ値で約870グラム、評価機は実測で843グラムだった。
片手で持ち上げて使うには厳しいが、Core i5のCPUや排熱ファン、バッテリーを含むシステム一式を収めていることを考えれば、比較的軽く仕上がっている。この薄型化、軽量化にYシリーズの採用が貢献しているのは間違いない。
ボディカラーは光沢を抑えたシルバーメタリックで、落ち着いた印象を受ける。背面は滑り止めとして細かな凹凸のエンボス加工を施しているが、(横位置で持ったときの)上面右側、下面右側、背面右側の3カ所に吸気/排気口のスリットを備えており、やや目立ってしまうところは惜しい。
インタフェースは(横位置での)右側面に集中しており、USB 3.0、Micro HDMI出力、ヘッドフォン出力、SDXC対応SDメモリーカードスロット(MMC対応)を配置する。それなりに薄いタブレットながら、フルサイズのUSBとSDメモリーカードを使えるのは便利だ。Webカメラは100万画素のインカメラと300万画素アウトカメラを実装した。通信機能はIEEE802.11a/b/g/n準拠の無線LAN(Intel WiDi対応)、Bluetooth 4.0を利用可能だ。
このほか、TPM 1.2に対応するセキュリティチップを搭載し、HDDパスワード、BIOSパスワードといったセキュリティ機能も用意するところも見逃せない(店頭モデルの下位機種V713/27Jは非対応)。特にビジネスユースにはうれしいポイントだ。
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