最後に消費電力を調べてみた。アイドル時のほか、テキストファイルと静止画(JPEG)で構成した合計500Mバイトのリード/ライト時における消費電力と、2〜3Gバイトの動画ファイル(MP4)で構成した合計約10Gバイトのリード/ライト時における消費電力を計測している。
アイドル時の消費電力は0.6ワットだった。省電力で定評のある840、840 PROよりもさらに下回ったのは立派だ。ただし、その他は全般に高めとなった。これはターボバッファの影響もある。テキストと静止画の書き込み時は、エクスプローラ上で終了するまでは1.7ワットだったが、その後しばらくして2.3ワットまで上昇した。これはターボバッファから通常記録領域への書き込みによるものだろう。
動画の書き込み時も、エクスプローラ上での書き込みが終わった後に2.5〜3.5ワット程度の電力で推移していた。公称スペックでも動作時の消費電力は840や840 PROより高い(100ミリワット)が、やはり2段階に書き込み作業が行われるだけに多少オーバーヘッドがある。
ただし、ピークの電力は低い。最も負荷がかかる動画ファイルの書き込みが4.2ワットと低いのは最新コントローラ、最新プロセスルールのNANDフラッシュ採用モデルならではといえるだろうか。いずれにしても省電力のレベルは高い。
動作時の消費電力 単位:ワット | |||
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製品名 | Samsung SSD 840 EVO(MZ-7TE250B/IT) | Samsund SSD 840(MZ-7TD250B/IT) | Samsung SSD 840 PRO(MZ-7PD256B/IT) |
アイドル時 | 0.6 | 0.7 | 0.7 |
テキストJPEG読み出し | 1.8 | 1.5 | 1.4 |
テキストJPEG書き込み | 2.3 | 1.6 | 1.5 |
動画読み出し | 2.7 | 2.3 | 2.3 |
動画書き込み | 4.2 | 5.6 | 4.8 |
以上、840 EVOを一通りテストした。TurboWrite Technologyの威力は絶大だが、決してそれだけではなく、ランダムアクセス性能の強化も実に効果的に作用している。特に大容量データの転送も含めてPCの実利用をシミュレートするPCMark系テストでは、好成績を収めたことを強調したい。
先代の840は普及価格帯モデルなりの性能という印象だったが、840 EVOは一気に現行のSerial ATA SSDでトップクラスの性能を持つ存在へと飛躍したといえる。もちろん、ターボバッファは容量に限りがあるため、用途によって向き不向きはあるが、一般的なユーザーならば特に意識する必要もなさそうだ。
また、ファームウェアのアップデートやOS設定の最適化などが簡単に行えるユーティリティ、データ移行ソフトが付属する点も大きなストロングポイントとなる。
このように840 EVOは、価格次第ではSSD市場の勢力図を一気に塗り替えるだけのポテンシャルを秘めるが、7月25日にITGマーケティングから発表された予想実売価格を見ると、840 PROの販売価格とあまり差がなく、840に比べて少々割高感がある。今回テストした256Gバイトモデル(ベーシックモデルのMZ-7TE250B/IT)は2万1000円前後の見込みだ。つまり、性能だけでなく、価格帯も840 PROに近くなっている。
もっとも、発表されたばかりの新製品なので、当面はこうした値付けも仕方がないだろう。840や840 PROでみられたように、少し時間がたてば価格もこなれてくると思われる。19ナノメートルプロセスルールの3ビットMLC、しかも128Gビットチップ採用と、コスト競争力は相当に高そうな構造だけに、今後の推移を期待して見守りたいところだ。
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