従来までのPCであればノートPCやデスクトップPCに据え付けるディスプレイを用いるというのが一般的だった。ところが最近ではスマートフォンやタブレットが登場し、大画面で楽しみたい動画コンテンツは大画面TVを活用するなど、ディスプレイの数が増え、出力先も必ずしも1対1の対応にはならなくなった。
ここで登場するのが「1:多」あるいは「多:1」のディスプレイ共有システムだ。基本的にはWiDi(Wireless Display)の派生技術だが、複数のタブレットの画面を1つの大画面テレビ上に束ねたり、あるいは複数枚のディスプレイ(タブレット)を組み合わせて1つの巨大なディスプレイを作ったりできる。一般にWiDiは「手持ちのコンテンツを大画面TVに投影するもの」という印象があるが、ワイヤレス技術だけにこうした変則的な組み合わせでもいいのかもしれない。
ディスプレイといえば最近では液晶が一般的だが、最近では電子ペーパーに有機ELなど、薄型であったり、折り曲げ可能で低消費電力なものが登場している。だが場所を選ばずに使えるという意味ではプロジェクターにも注目だ。
プロジェクターの特徴は、平坦で白色に近い板やテーブルさえあれば、どこでもディスプレイにできる点だ。さらにモーションセンサーを組み合わせることで、このディスプレイをそのままタッチスクリーンとして活用することもできる。
紹介されていたデモでは、市販の携帯プロジェクターと小型モーションセンサー(Senz3D)を組み合わせ、テーブルをタッチスクリーンとして利用可能にしている。実際にWindowsの各種操作がそのまま可能で、センサーも安価な市販品であり、そう遠くない時期にどこかが商用製品としてリリースすることになるだろう。
プロジェクターの性質を考えれば、こうしたテーブル状での小型タッチスクリーンだけでなく、壁に投影することでそこを巨大なタッチスクリーンにもできる。実は去年のResearch@Intelでも展示されていたのだが、センサーがKinectからSenz3Dに変更されている点で新しい。
また、より高度な技術として、プロジェクターを使ってプロジェクションマッピングも可能だ。プロジェクションマッピングとは凹凸のある物体に対して、その形状を計算してプロジェクターで投影する画像を変形する仕組みであり、つまり投影先が平坦な面でなくても画像を歪ませることなく投影できる。
デモではフォトフレーム状の板を用意し、これを傾けても該当部分だけ板の角度を計算して自動的に投影画像を変形させる仕組みが搭載されていた。こちらは汎用品ではない専用のハードウェアを用いているが、近い将来には前述のような安価な市販ハードウェアとPCの処理能力を組み合わせ、より安価で手軽に実現できるようになるかもしれない。
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