「dynabook V713」実力診断(中編)――ペンで“紙のような書き心地”を味わえるか?デジタイザ内蔵のフルHD液晶を検証(2/2 ページ)

» 2013年08月02日 18時00分 公開
[池田憲弘(撮影:矢野渉),ITmedia]
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書き心地は一度試してみる価値あり

photo 書き心地のよさは特筆できるポイントだ

 本機はディスプレイに張ったフィルムにより摩擦抵抗を調整し、「紙に書いているような書き心地」(同社)を実現したとしている。実際にペン入力をしてみると、確かに通常のディスプレイに書くよりもよい部分が数多くある。

 一般的にタブレットのディスプレイ上でペンを動かすと、表面のガラスのせいでペン先がつるつると滑る感覚があり、(紙にペンで書くときに比べて)違和感を感じやすい。一方、本機は適度な抵抗があるため、違和感が軽減するほか、文字などを速く入力してもペン先が滑ることなく書きやすい。デジタイザのスキャンレートを高速化しているため、筆跡の遅延が起こりにくいところも評価できる。もちろん、パームチェック機能もあるため、手のひらが画面に触れても誤動作しにくい。

 もちろん、紙にボールペンで書く際の「ざらついた感触」などを再現できるわけではなく、さすがに「紙に書いているような書き心地」とは少しオーバーな表現かもしれない。しかし、通常のタブレットに文字を書くよりははるかに書きやすいのは事実なので、ぜひ店頭などで一度試してほしい。今後の展開に期待したくなる技術だ。

Photoshopでも利用可能な1024レベルの筆圧検知

 本機のペン入力は1024段階の筆圧レベルに対応しており、液晶ペンタブレットのように使うことも可能だ。本機も「Surface Pro」と同様にWacomが提供するドライバ(TABLET PC - Enhanced Tablet Driver 7.1.1-12、2013年5月9日現在)を導入すれば、Photoshopなどでも筆圧機能を利用できる。実際にAdobe Photoshop Elements 11で使用したところ、線の太さや濃淡を自在に変えられた。抵抗がありペン先が滑りにくいので、線の入りや抜きもスムーズに表現できる。

photophoto WacomのホームページからWindows 8用のドライバをダウンロードできる(写真=左)。Photoshop Elements 11で使用したところ、1024段階の筆圧レベルで、線の強弱を滑らかに表現できた(写真=右)

 これは多くのデジタイザスタイラスについて言えることではあるが、スタイラスが触れている部分と、画面上のポインタ表示との位置がずれる場合がある。液晶画面のガラス部と表示部との距離に起因する視差があるため、ペンを倒した場合や画面端の操作パネルで誤操作を起こしやすい。特に本機は解像度が高いため、各種操作ボタンが小さくなるところも誤操作の要因ではある。入力位置のキャリブレーションをしっかりと行えば多少改善されるが、基本的にはペンを立ててタッチするように心がけたい。

 ダブルクリックのスピードやボタンの割り当てといったペンタブレットの関連の設定はコントロールパネルから行える。ボタンにはクリック、ダブルクリック、進む、戻るといった操作のほか、キー入力やアプリケーション起動といった操作を割り当てることも可能だ。

photophoto ダブルクリックのスピードやボタンの割り当てといったペンタブレットの関連の設定はコントロールパネルから行える

 最近はSurface Proのほか、デルの「Latitude 10」やレノボの「ThinkPad Tablet 2」など筆圧検知対応のタブレット製品が次々と登場した。今後、筆圧検知対応機器が増えるにつれ、指だけではなくペンもタブレットの有用な入力デバイスとして普及していくと思われる。

 dynabook V713は本体の着脱機構に加えて、ペン先の適度な抵抗感、筆跡の追従性、ペン先とポインタの位置ずれ軽減、筆圧検知機能、そしてフィルムを張ってディスプレイ面の摩擦係数を増やすなど、ペン入力の感触や使い勝手にこだわっており、より幅広いシーンで活用できる懐の深さがある。まだ荒削りな部分はあるが、Windows 8以降のPCが向かうべき1つの可能性を示した意欲的な製品だ。

 レビュー後編では、低消費電力を特徴とする「Y」シリーズの実力や、バッテリー動作時間を検証する。

東芝ダイレクト
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